サーバーワークス:クラウド導入の知見をもとに、AI×セキュリティで成長加速へ
2025年2月期の売上高は357.1億円(前年同期比29.8%増)、営業利益は10.7億円(同19.5%)で着地。売上高は、四半期ベースで見ても17四半期連続で最高値を更新し続けている。2026年2月期の営業利益は、前期比6.4%増の11.4億円を見込み、3期連続の過去最高益を更新する見通し。
2025年2月期の決算では、売上・利益ともに前期実績および上方修正後の業績予想(売上高で355.6億円、営業利益で9.9億円)を上回る好調な結果となった。クラウド市場の拡大に伴うビジネス成長と、円安による為替メリットが売上高と利益に寄与。また、2023年に4年間にわたるAWSとの戦略的協業契約を締結しており、この協業による成果も前期から少しずつ出始めた。持分法適用会社の3社については赤字が先行しており、特に新設した2社においては投資フェーズだが、投資損失のピークは既に脱しており、来期、再来期を目途に利益フェーズに移行する見込み。
同社はAWSを中心としたクラウド関連サービスを展開しており、事業拡大によるGoogle Cloud進出のため、2021年7月にベスピン・グローバル・ジャパン合同会社との合弁会社であるG-genを設立、2022年6月にはGoogle Cloud事業において国内トップクラスのトップゲートを買収し完全子会社化を行ってきた。G-genの案件の最大のパイプラインとしては、Googleからの紹介であり、ある一定規模になると安定的な紹介が見込める。合併前はG-gen、トップゲートともにそれぞれ数十名規模であったが、合併により100名規模に拡大。合併効果によりGoogleからの案件紹介も増え、結果として業績押し上げにつながった。前期のG-genの採用については人員最適化等による採用抑制もあり、計画未達も、今期は採用を強化していく方針。
ここ数年の売上高成長率は20~30%を基本ベースにしているが、その成長を支えるためにはどれくらいの人員が必要なのか、というのを逆算して採用計画を立てているという。急激な採用により組織のバランスが崩れることのないように、適切な成長をするための適切な人数の採用を行う。一方で、利益とのバランスも重視する。中期経営計画の中で、プライム市場への再上場の検討を開始したことを公表した。プライム市場の新規上場基準要件として、「最近2年間の利益合計が25億円以上」という項目があり、その要件を満たすために利益を押さえることがないように、バランスを見ながら人材投資を進めていく。
同社の強みは何といっても「人材」だ。2009年よりAWSに特化したインテグレーション事業を開始し、先進的な取り組みを行い続けてきた。他社が複数サービスを手掛ける中、同社はクラウド領域への一点集中により、エンジニアが専門性を活かせる環境であるため、人材が集まりやすく、採用が好調。また、AWS公式の認定資格保持者が多数在籍し、国内トップクラスの技術力を誇る。
中長期的な成長戦略としては、2028年2月期までに、売上高、各利益全てにおいて2025年2月期比で150%超の成長(売上高で560億円、営業絵利益で16.5億円)を目標としている。AWSとの戦略的協業の更なる推進に加え、セキュリティ・生成AI・海外展開といった戦略領域での事業拡大を狙う。これまで日本国内のクラウド市場で事業を拡大してきたが、東南アジアのクラウド市場が急激に伸びており、海外展開も加速させていく方針。また、生成AIとセキュリティに関しては表裏一体だ。2024年、AWSジャパンは2027年までに日本のクラウドインフラに約2兆3000億円を投資する予定であることを発表。そのなかでも生成AI領域への投資の割合も大きいとみられ、生成AIの拡大により、データがクラウド上に溜まるため、それに伴い、同社のビジネスも拡大していく。一方で、データが漏洩するリスクを回避するためのセキュリティの強化も同時に求められるため、クラウドセキュリティの需要増加が期待できる。市場環境の追い風を背景に、クラウド導入で培った実績と知見をもとに、「クラウド×AI×セキュリティ」を総合支援する戦略パートナーを目指す。
株主還元については、2025年4月30日までに累計22.2万株の自己株式を取得。今後は成長投資とのバランスをみながらEPS向上を目的として、配当についても検討していくという。
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