株式会社ハルメクホールディングス×著名投資家DAIBOUCHOU氏対談動画文字起こし(8)
ハルメクホールディングスは、営業利益が2024年3月期に一度落ち込んだものの、その後の計画である利益の増加を見込んでいます。営業利益15億から25億円への増加は、堅実な計画に基づいており、新規事業やM&Aによる利益は織り込まれていないとのことです。主な成長要因として、物販事業の収益性改善によるコスト削減が挙げられ、カタログ配布の効率化や原価率の管理が進められています。また、売上増加のためのマーケティング強化も図られる予定です。この計画を通じて配当金も増加し、株主還元を図る方針が示されています。
売上については順調に伸びているものの、営業利益は一度、2024年3月期に大きく落ち込みました。前期は10億円まで回復しましたが、その後の計画である15億、20億、25億と、5億円ずつ増加していく見通しについて、「これは鉛筆をなめて作った数字ではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらの数字は各事業の見通しをしっかり積み上げて算出したものです。現在、さまざまな新規事業にも取り組んでおりますが、そうした新規事業からの利益はこの計画には織り込んでいません。また、水面下で進めているM&Aについても、現時点では数字に上乗せしておらず、あくまで既存事業だけでどこまで利益を出せるかという前提で、比較的堅実に計画を立てています。
今後、利益成長に最も大きく貢献するのは、物販事業における収益性の改善です。分母と分子でいうところの、まずは「コストを下げる」取り組みを進めています。たとえば、当社では現在も大量のカタログを配布していますが、カタログには相当なコストがかかるため、誰に送るのかという配布先の最適化が非常に重要です。これまで、採算性の低いお客様にも広く配布しすぎていたという反省があり、現在はこの点を見直し、媒体(カタログ)効率の改善を図っています。また、インフレ環境の中では、原価率のコントロールも極めて重要です。こうしたコスト面の改善策を、本格的に進めているところです。
もう一つは、当然ながら「売上を増やす」取り組みです。コストを下げながら、売上を伸ばす。そのためには、魅力的な商品・サービスを提供し、それをお客様にしっかり届けるためのマーケティング活動を強化していく必要があります。
こうした取り組みを着実に積み上げた結果として、2028年3月期には営業利益25億円という計画を立てております。加えて、先ほどお話ししたようなオーガニックな新規事業の成長や、M&Aによる収益の上乗せが実現すれば、さらに上振れも期待できると考えています。
●DAIBOUCHOU
今回の増益予想については、社内でのコスト削減など、比較的手堅く、自社の努力だけで実現可能な取り組みの積み重ねによるもの、というイメージでよろしいでしょうか。
実際、2023年3月期には営業利益率7%を達成された実績もありますし、今回掲げられている6.3%への利益率向上も、それほど高すぎるハードルではない、というご認識でよろしいかと思いましたが、その点はいかがでしょうか。
■ハルメクHD 宮澤様
はい、まさにおっしゃる通りです。前期以前にも営業利益率が5.4%を記録しており、現在の利益率は明らかに低すぎるという反省があります。過去にそれなりの水準の利益を出せていた実績もありますので、十分に再現可能な水準だと考えています。特に、コスト削減については、私ども自身の努力でコントロール可能な領域ですので、しっかり取り組んでまいります。
一方で、売上の確保についてはお客様に選んでいただく部分ですので、当然ながら一定の不確実性が伴います。ですので、「絶対にリスクがない」とまでは申し上げられませんが、現時点で具体的な打ち手がしっかり見えており、それらを着実に実行していけば、掲げている利益目標の達成は十分可能であると考えています。
●DAIBOUCHOU
そうですね。先ほどお話に出た百貨店での店舗展開なども、新規顧客の獲得に非常に成功されているように感じました。そういった取り組みが、今後の増益にもつながっていくことを期待しています。
また、これまでの売上も着実に伸びてきており、その流れの延長線上で考えれば、今回の利益目標も決して実現不可能な数字ではないように思います。
■ハルメクHD 宮澤様
おっしゃる通りです。以前、売上が順調に伸びていた時期があったことで、結果的に効率性がやや落ちてしまったという反省があります。当時は、どうしてもトップラインの拡大に意識が向きすぎていた部分がありました。現在はそこを見直し、しっかりと効率性を高める方向へと舵を切り直しているところです。
●DAIBOUCHOU
確かに、株主にとっては利益の水準が非常に重要な要素となりますので、御社が利益率の向上にしっかり取り組まれているのは、大変ありがたいと感じています。
そのような前提を踏まえたうえで、ROE(自己資本利益率)や配当金に関する計画についても、何か方針を示されているのでしょうか。
■ハルメクHD 宮澤様
配当についても、これまでの20円から50円へと、2.5倍に増配する計画を立てています(スライド右側のグラフをご参照ください)。
営業利益が10億円から25億円へと2.5倍になる見通しであることを受けて、配当もそれに応じて増やしていくという方針です。配当性向は35%を目安に、一定水準を維持していきたいと考えています。したがって、掲げている利益目標を達成できれば、50円という配当額も十分に実現可能であり、株主の皆さまへの還元につながると考えております。
●DAIBOUCHOU
確かに、配当性向を36.5%に維持しながら利益が2.5倍になれば、配当も自然と2.5倍になるという構造になりますね。
当然、ROEについても、利益の増加に伴い、現在よりも2倍以上に高まる可能性があるということになります。
■ハルメクHD 宮澤様
最終的には、ROEを15%程度、二桁の中でも高い水準にまで引き上げていきたいと考えています。
●DAIBOUCHOU
そうですね。ROEが15%となると、一般的な平均と比較してもかなり高い水準になりますので、資本効率の高い企業として、投資先としても選ばれやすくなるのではないかと思います。そうした意味でも、今回の中期経営計画は非常に魅力的な内容になっていると感じています。
では次にお伺いしたいのですが、前期および前々期の減益要因の一つとして、次期基幹システムに関する除却損があったと理解しています。こちらについては、今期以降、同様の損失が発生する可能性はもうないのでしょうか。
■ハルメクHD 宮澤様
こちらの件は、株主の皆さまにとってもかなりサプライズとなり、結果的に株価へ大きな影響を与えてしまった要因の一つだったと認識しています。
今回のシステム除却損については、スライドにも詳細を記載しておりますが、少し分かりづらい部分があるかもしれません。内容としては、次期基幹システムの新規凍結に伴い、使用見込みがなくなったソフトウェア仮勘定の除却を決定し、その損失を計上したものです。次期基幹システムは非常に大規模なものであったため、その除却によって多額の損失が発生しました。ただし、今期については、現在見えている範囲では、新たなシステム除却損の発生は予定しておりません。
株式会社ハルメクホールディングス×著名投資家DAIBOUCHOU氏対談動画文字起こし(9)に続く
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