TDSE Research Memo(1):プロダクト事業が好調。中期経営計画達成に向け新たにM&Aを検討
TDSEは、小売業や金融業の大手顧客向けにAI技術を駆使したコンサルティングとプロダクト事業を行っています。特にプロダクト事業が好調で、新製品の「Quid Monitor」や「Cognigy」などが高い評価を得ています。一方、コンサルティング事業では人材不足と大規模案件獲得の難しさが課題となっており、業績の伸び悩みが続いています。2025年3月期の業績予想は、売上高2,680百万円、営業利益185百万円とし、プロダクト事業の貢献に期待が寄せられています。さらに新たなM&Aを通じてコンサルティングチームを拡充し、中期目標の2026年3月期売上高33〜37億円、営業利益率10%以上の達成を目指しています。
1. AI技術によるコンサルティング事業とプロダクト事業を展開
TDSE<7046>は、小売やサービス、金融などの大手顧客向けに、コンサルティング事業とプロダクト事業を展開している。コンサルティング事業では、システム実装まで一気通貫したハイエンドなコンサルティングサービスと、経験豊富なデータサイエンティストやエンジニアによるAI技術を用いたデータ分析サービスを提供している。プロダクト事業では、主力製品のソーシャルアナリティクスツール「Quid Monitor」※や対話型AIプラットフォーム「Cognigy」、自社製の生成AI製品「TDSE QAジェネレーター」やテキストマイニングツール「TDSE KAIZODE」生成AI開発プラットフォーム「Dify」など高度なAI製品を販売している。成長を続けるAIビジネス市場を背景に、安定成長を続けるコンサルティング事業の売上高構成比は現状圧倒的に大きいが、今後はラインナップ強化などによりプロダクト事業が成長加速を開始、構成比を上昇させていく計画である。
※ 2023年10月に同社製品導入元である米国Quid,Inc.のリブランディングにより、「Netbase」を「Quid Monitor」へブランド変更した。
2. プロダクト事業の好調により第3四半期に上方修正
2025年3月期第3四半期の業績は、売上高1,962百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益145百万円(同19.2%減)となった。売上面では、新製品の導入が進むプロダクト事業は好調だったが、課題となっていた営業人員や技術人員を増強する営業強化策の効果が期待されたコンサルティング事業でその解消に至らず、厳しい状況は継続している。利益面でも、売上低迷に加え、人員採用に大きく費やしたことにより減益幅が広がっている。セグメント別では、コンサルティング事業の既存顧客に関しては、大手顧客との関係強化が進む一方、一部顧客の案件収束・縮小が底打ちしたように見えるが、依然大手に次ぐ大規模案件の顧客を育成できていないことが課題と言える。新規顧客に関しては、徐々に獲得は増えているものの小型案件が多く、目標とする大型案件の獲得には至らなかった。プロダクト事業は、良好な外部環境と優位性の高い商品力を背景に好調であり、高成長事業として順調に拡大を続けており、今後も業績拡大が期待される。
3. M&Aの検討など中期目標の達成に向けた取り組みを推進
2025年3月期業績については、売上高2,680百万円(前期比6.3%増)、営業利益185百万円(同31.9%減)を見込んでいる。コンサルティング事業の進捗が弱いため第2四半期(以下、中間期)時点で通期業績予想を下方修正したが、その後コンサルティング事業が想定線の業績を確保できていることに加え、プロダクト事業が引き続き好調に推移しているため、期初の業績予想には届かないものの、第3四半期時点で通期業績予想を上方修正した。2025年3月期までの業績進捗は弱いとはいえ、好調なプロダクト事業の伸長が想定を上回っていること、2026年3月期には営業強化策の効果が期待できそうなこと、加えて新たな梃入れが必要となるコンサルティング領域でM&Aが検討されていることから、中期経営計画で目標とする2026年3月期売上高33〜37億円、営業利益率10%以上を変えずに据え置いた。
■Key Points
・分析ノウハウを軸とするコンサルティングと海外含めたクオリティ高いAIプロダクトを提供
・中期経営計画「MISSION2025」で2026年3月期売上高33〜37億円を目指す
・新たにコンサルティング領域でM&Aを検討するなど、足元の業績は厳しいが中期目標達成に向けた取り組みを推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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