図表A
図表B
図表C
図表D
今回の調査における業況判断DIは、▲1.1ポイントとなり、2021年実施の第8回調査(+5.8ポイント)のプラス値からマイナス値に転じる結果となりました。
2020年実施の第7回調査では業況判断DIは本アンケート史上最大のマイナス値を記録した後、第8回調査では、経済活動の制限解除や、金融政策によって倒産発生が抑制されたこと等が景況感を押し上げ、プラス値への回復に転じました。一方、今回の第9回調査では、コロナ禍の影響とは別に、記録的な円安やウクライナ危機など不安要素が影響したことで、一進一退の景況感となったと考えられます。
今回の調査では、RM会員において、非会員よりも景況感をポジティブに捉えている傾向がうかがえます。また、RM会員の約7割に回収異常が発生していないこと等を考えれば、不安定な経済環境下においても、リスモンサービスが企業の与信管理に寄与しているといえます。
今後もリスモンでは、与信管理の重要性を啓蒙し、与信管理の新しいスタンダードを提供することで、企業の経済活動の発展に貢献してまいります。
▼本調査の結果は以下掲載サイトでもご覧いただけます。
http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
[調査結果]
(1) 「宿泊業」、「金融業、保険業」、「生活関連サービス業、娯楽業」で景況感回復
日本国内の企業に対して、景況感に関するアンケート調査を行ったところ、全体では、「景況感は良くなった」と回答した企業の割合と「景況感は悪くなった」と回答した企業の割合の差(DI)は、▲1.1ポイントとなりました。2021年実施の前回調査時(DI値+5.8ポイント)に比べて、景況感がやや悪化している様子がうかがえます。RM会員(同+0.2ポイント)は前回調査時から悪化しながらもプラス値を維持し、非会員(同▲6.3ポイント)は前回調査時から改善したものの、引き続きマイナス値で推移しています。
業況判断DIを業種別に見ると、15業種中6業種がプラス値、8業種がマイナス値となりました。また、前回調査時と比較すると8業種は悪化、7業種は改善しており、業種により景況感に差がみられます。特に回復が顕著な業種としては、「宿泊業」(DI値前回0ポイント→同今回+75.0ポイント)、「金融業、保険業」(同前回+4.2ポイント→同今回+57.1ポイント)、「生活関連サービス業、娯楽業」(同前回+30.0ポイント→同今回+62.5ポイント)となりました。宿泊業においては、Go To トラベルの再開が景況感の大幅な回復に寄与したと考えられます。
一方、DI値のマイナス業種としては、「農業」(同前回0ポイント→同今回▲100ポイント)、「複合サービス業」(同前回▲33.3ポイント→同今回▲66.7ポイント)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(同前回▲23.1ポイント→同今回▲60.0ポイント)、「医療、福祉」(同前回+50.0ポイント→同今回▲50.0ポイント)、「運輸業、郵便業」(同前回+5.5ポイント→同今回▲30.0ポイント)が目立ちました。
業況判断DIを地域別に見ると、8地域中2地域がプラス値となり、DI値が改善したのは「九州・沖縄」(同前回▲19.4ポイント→同今回+2.0ポイント)のみとなりました。一方、5地域はマイナス値となり、特に「北海道」(同今回▲46.2ポイント)、「四国」(同今回▲21.4ポイント)はマイナス値が拡大しており、景況感のさらなる悪化がうかがえます。(図表A)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_1.png
図表A
(2) 約8割が「倒産数増加」を予想
2022年度の倒産動向予想についてアンケート調査を行ったところ、「倒産数は若干増加すると思う」(回答率65.3%)と「倒産数は大幅に増加すると思う」(同14.3%)を合わせると、全体の79.6%が今後「倒産数は増加する」と考えていることが明らかとなりました。
業種別では、15業種すべてにおいて「倒産数は増加すると思う(2項目合計)」が過半数の回答率となり、「医療、福祉」では「倒産数は大幅に増加すると思う」が100%となり、「農業・林業」、「複合サービス業」において「倒産数は若干増加すると思う」が100%となりました。
地域別においても、すべての地域において「倒産数は若干増加すると思う」の回答が最多となりました。特に「東北」において、「倒産数は増加すると思う(2項目合計)」(同91.6%)が9割を超えており、危機感の高い様子が表れています。(図表B)
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_2.png
図表B
(3) 約3割の企業に問題債権が発生
直近3年間の貸倒れ・回収遅延の発生状況を調査したところ、31.2%の企業が「貸倒れまたは回収遅延が発生した」と回答し、そのうちの6割以上となる20.4%が「貸倒れが発生した」と回答しています。
「貸倒れおよび回収遅延が発生した」と回答した区分を見ると、RM会員(回答率30.7%)は非会員(同33.3%)に比べてやや低く、よりリスクを回避できている傾向がうかがえます。(図表C)
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_3.png
図表C
「貸倒れが発生した」と回答した企業に対して、直近1年間の貸倒れ発生金額を調査したところ、最も回答率が高い金額帯は「百万円未満」(回答率53.6%)となっており、「百万円~5百万円」(同29.3%)と合わせた「5百万円未満」において82.9%を占めていることから、貸倒れ発生の多くが比較的少額に留まっている様子がうかがえます。
一方で、「10百万円以上」の高額債権の貸倒れについて、業種別にみると、「学術研究、専門・技術サービス業」(回答率20.0%)、「その他のサービス業」(同14.8%)、「製造業」(同13.6%)、「運輸業、郵便業」(同11.1%)において、貸し倒れ時に債権が高額になる傾向がうかがえることから、特に注意が必要な業種といえます。(図表D)
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_4.png
図表D
(4) 問題債権無し企業は「リスモン与信管理サービス」、「反社チェックサービス」を利用
直近1年間の与信管理コスト(※)について調査したところ、全体では、「0.5百万円未満」(回答率36.8%)が最も多く、次いで「0.5百万円以上百万円未満(同20.5%)、「百万円以上2百万円未満」(同15.6%)、「2百万円以上5百万円未満」(同15.2%)の順となりました。「百万円未満」(同57.3%)が約6割を占め、与信管理に対して多額のコストをかける企業は少ないことがうかがえます。(図表E)
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_5.png
図表E
直近1年間の与信管理コストの使い道を調査したところ、最も回答率が高かったのは、RM会員では「リスクモンスター与信管理サービス」(回答率78.7%)、非会員では「調査会社の企業概要データ」(同76.8%)となっており、RM会員においては、リスモンサービスを与信管理の主軸として活用していることがうかがえます。(図表F)
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_6.png
図表F
また、問題債権の発生状況と照らし合わせてみたところ、貸倒れおよび回収遅延が発生していない企業においては、「リスクモンスター与信管理サービス」(同69.5%)、「反社チェックサービス」(同 63.0%)、「売掛債権保証サービス」(同 58.3%)の活用割合が高く、同ツールが貸倒れや回収遅延の発生防止に寄与している結果となりました。特に「リスクモンスター与信管理サービス」の利用者の約7割は貸倒れおよび回収遅延は発生していないと回答しており、他サービスよりも貸倒れや回収遅延の発生防止に寄与しているといえます。(図表G)
※与信管理コスト…与信管理業務において、企業の信用評価を行うために収集する情報や利用するサービスに費やすコスト。
画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/340305/LL_img_340305_7.png
図表G
[総評]
今回の調査における業況判断DIは、▲1.1ポイントとなり、2021年実施の第8回調査(+5.8ポイント)のプラス値からマイナス値に転じる結果となりました。
2020年実施の第7回調査(▲56.5ポイント)では、コロナ禍に終息の兆しが見られない中、業況判断DIは本アンケート史上最大のマイナス値を記録した後、2021年実施の第8回調査では、コロナ禍における経済活動の制限が解除されたことや、金融機関による実質無利子・無担保融資などの政策によって倒産発生が抑制されたこと等が景況感を押し上げてプラス値への回復に転じたが、今回は、コロナ禍の影響とは別に、記録的な円安やウクライナ危機など不安要素が影響したことで、一進一退の景況感となったと考えられます。
アンケート回答企業の約8割が「今後倒産数が増加すると思う」と回答している状況からも、今後の先行きを楽観視している企業が少ないことが読み取れます。
本調査対象となった非会員は、売上10億円以上かつRM格付がD格以上(信用力中程度以上)の企業が中心であり、零細企業や信用力の低い企業は含まれていません。RM会員と非会員の企業規模に大差がない中で、RM会員においては、非会員よりも景況感をポジティブに捉えている傾向がうかがえ、リスモンサービス利用者の7割において回収異常が発生していないこと等を考えれば、リスモンサービスが不安定な経済環境下においても、企業の与信管理に寄与しているといえます。
今後もリスモンとしては、与信管理の重要性を啓蒙し、リスモンを活用して与信管理を行う会社において、貸倒れ回避やリスクのある取引を回避できるよう改善に努め、与信管理の新しいスタンダードを提供することで、会員企業の発展に貢献してまいります。
※ 本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/
[実施概要]
・調査名称 :第9回「企業の取引リスクに対する意識」調査
・調査方法 :インターネット調査およびダイレクトメール調査
・調査エリア:全国
・期間 :リスクモンスター会員(RM会員)
2022年10月12日(水)~11月11日(金)
リスクモンスター会員を除く(非会員)
2022年1月4日(火)~11月28日(月)
・調査対象者:RM会員2,666社及び売上高10億円以上の非会員
・有効回収数:RM会員 990サンプル
非会員 233サンプル
■リスモン調べとは
リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しております。
今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでまいります。
掲載サイトはこちら http://www.riskmonster.co.jp/rm-research/
■リスモンの概要(東京証券取引所スタンダード市場上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPクラウドサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要として、教育関連事業(定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」)やビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)、BPOサービス事業、海外事業(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)にサービス分野を拡大し、包括的な戦略で事業を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2022年9月末時点で13,826(内、与信管理サービス等7,230、ビジネスポータルサイト等3,127、教育事業その他3,469)となっております。
ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/