図表A_業況判断DI
図表B_倒産数見通し
図表C_問題債権の発生状況
図表D_3年間の貸倒れ金額
[調査結果]
(1)景況感は大幅悪化
日本国内の企業に対して景況感に関するアンケート調査を行い1,402社より回答を受領しました。全体では「景況感はよくなった」と回答した企業の割合と「景況感は悪くなった」と回答した企業の割合の差(DI)は▲56.5ポイントでした。2019年調査時(DI値▲10.0ポイント)に比べて、急激に低下しており、景況感の悪化が明らかになっています。RM会員(同▲58.1ポイント)、非会員(同▲54.2ポイント)ともに同程度の悪化であり、大幅に景況感が悪化している様子がうかがえます。(図表A)
業種別に見ると全業種において前回調査時よりも悪化しており、15業種すべてマイナス値となりました。前回プラス値の「情報通信業」(DI値前回+18.6ポイント→同今回▲25.5ポイント)、「運輸業、郵便業」(同前回+7.1ポイント→同今回▲82.2ポイント)、「不動産業、物品賃貸業」(同前回+3.9ポイント→同今回▲56.4ポイント)も軒並みマイナス値に転落しており、業種にかかわらず景況感が悪化している様子がうかがえます。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/240698/LL_img_240698_1.png
図表A_業況判断DI
(2)9割超が「倒産数増加」予想
2021年度の倒産動向予想についてアンケート調査を行ったところ「倒産数は若干増加すると思う」が回答率52.1%、「倒産数は大幅に増加すると思う」が同42.8%となり、全体の94.9%が今後「倒産数は増加する」と考えていることが明らかとなりました。
業種別に見ると15業種中9業種において「倒産数は増加すると思う」が回答率100%となり、特に「農業、林業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「宿泊業、飲食サービス業」において「倒産数は大幅に増加すると思う」が回答率100%でした。
地域別ではすべての地域において75%超が「倒産数は増加すると思う」と回答しており、「北海道」、「近畿」、「中国」においては100%の回答率でした。(図表B)
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/240698/LL_img_240698_2.png
図表B_倒産数見通し
(3)貸倒れ・回収遅延が過半数を超える
直近3年間の貸倒れ・回収遅延の発生状況を調査したところ「貸倒れまたは回収遅延が発生した」(回答率56.3%)が「貸倒れおよび回収遅延は発生していない」(同43.7%)を上回りました。
一方、RM会員においては過半数が「貸倒れおよび回収遅延は発生していない」(同56.5%)と回答しており、非会員(同27.6%)の回答を大幅に上回りました。貸倒れ・回収遅延が増加する中でRM会員においてはリスクを回避できている様子がうかがえる結果となりました。(図表C)
「貸倒れが発生した」と回答した企業に対して直近1年間の貸倒れ発生金額を調査したところ、最も回答率が高い金額帯は「1百万円未満」(回答率52.0%)でした。全体でも「5百万円未満」(同77.4%)の貸倒れが大半であり、比較的少額の貸倒れに留まっている様子がうかがえます。
業種別に見ると「金融業、保険業」、「不動産業、物品賃貸業」において「30百万円以上」の高額債権の貸倒れの割合が他業種に比べ高くなっており、地域別では「関東」、「中国」において「30百万円以上」の高額債権の貸倒れの割合が高い様子がうかがえます。(図表D)
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/240698/LL_img_240698_3.png
図表C_問題債権の発生状況
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/240698/LL_img_240698_4.png
図表D_3年間の貸倒れ金額
(4)与信管理コストは低減傾向
直近1年間の与信管理コスト(※)について調査したところ、全体では「0.5百万円未満」(回答率35.4%)が最も多く、次いで「0.5百万円以上1百万円未満(同19.9%)、「2百万円以上5百万円未満」(同15.2%)、「1百万円以上2百万円未満」(同14.6%)の順となりました。
RM会員、非会員ともに「1百万円未満」の割合が過半数を占めており、与信管理に対して多額のコストをかける企業は少ないことがうかがえます。
業種別では「金融業、保険業」(同23.5%)、「不動産業、物品賃貸業」(同14.3%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(同14.3%)において「10百万円以上」のコストを使用している企業の割合が高くなっています。一方、「農業、林業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「教育、学習支援業」においては1百万円以上の与信管理コストを使用しておらず、与信管理にかけるコストは業種によって違いが見受けられます。(図表E)
※与信管理コスト…与信管理業務において、企業の信用評価を行うために収集する情報や利用するサービスに費やすコスト。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/240698/LL_img_240698_5.png
図表E_与信管理コスト
[総評]
第7回(2020年)調査における業況判断DIは▲56.5ポイントと第6回(2019年)調査(▲10.0ポイント)から大幅にマイナス値が拡大する結果となりました。業況判断DIは業種・地域にかかわらず軒並み大幅なマイナス値となっており、全国的な景況感の悪化が表れています。
日銀が10月1日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観)における業況判断指数(DI)では大企業製造業が▲27となり、景況感の大幅な悪化が見られる中でアンケート回答企業の94.9%が「今後倒産数が増加すると思う」と回答しており、全体の56.3%の企業においてすでに貸倒れまたは回収遅延が発生しているとの結果となりました。
調査結果からは今のところ貸倒れは少額ですが、アンケート回答企業の大半が倒産件数の増加を見込んでいる現状を考慮すると、今後さらなる貸倒れ拡大が懸念されます。
過去6回にわたり実施してきた「企業の取引リスクに対する影響アンケート」の中でも今年度の景況感は過去に類を見ない悪化となっており、緊急事態宣言以降の消費減退が景気に与える影響の大きさを浮き彫りにしています。
一方、与信管理の重要性が高まりつつある状況下で、(3)の調査にてRM会員における貸倒れまたは回収遅延の発生割合が、非会員よりも28.9ポイント低い結果となったことは、RM会員が不測の事態に備えた与信管理体制を構築しており、その運用においてはリスモンサービスが多大に寄与していることを表しているといえるでしょう。
今後も与信管理の重要性を啓蒙し、リスモンサービスを活用して与信管理を行う会社の貸倒れ回避及びリスクのある取引を事前に回避できるよう努力し、会員企業の発展に寄与してまいります。
※ 本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/
[実施概要]
・調査名称 :第7回「企業の取引リスクに対する意識」調査
・調査方法 :インターネット調査およびダイレクトメール調査
・調査エリア:全国
・期間 :RM会員 2020年10月9日(金)~11月10日(火)
非会員 2020年3月2日(月)~10月30日(金)
・調査対象者:RM会員2,920社及び非会員
・有効回収数:RM会員 756サンプル
非会員 586サンプル
■リスモン調べとは
リスモンが独自に調査するレポートのことです。これまでリスモンでは企業活動関連の調査として他にも「100年後も生き残ると思う日本企業調査」「環境への配慮が感じられる企業調査」や「この企業に勤める人と結婚したいアンケート調査」などを発表しており、今後も「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでいます。
掲載サイトはこちら https://www.riskmonster.co.jp/study/research/
■リスモンの概要(東京証券取引所第二部上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要にサービス分野を拡大し、各事業部門・子会社(与信管理サービス、ビジネスポータルサイト(グループウェアサービス等)およびBPOサービス)ごとに取り扱うサービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2020年9月末時点で12,997(内、与信管理サービス等6,587、ビジネスポータルサイト等3,174、その他3,236)となっております。
ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/