すっきりとしたレモンの香りが特徴のレモングラス。
その香りに惹かれて、ハーブガーデン初心者がレモングラスを育ててみました。その結果、ほったらかしで育ってくれて、気の向いた時に美味しいハーブティーが飲める、お気に入りのハーブに!
レモングラスを実際植えてみて分かった育て方と注意点をご紹介します。
レモングラスとは
どんな植物?
レモングラスは、熱帯・亜熱帯原産のイネ科オガルガヤ属の植物。アロマや虫除け、ハーブティーなど広く使用されるハーブとしても有名です。タイやベトナムでは定番のスパイスで、トムヤムクンをはじめカレーなどの香り付けに使われます。
熱帯育ちの植物なので高温多湿には強いですが、 寒さには弱い です。四国にある我が家ではほったらかしですが、最低気温が0℃以下が続くような地域では冬は室内で取り込んで育てます。
ハーブとしての効能は?
レモンの香り成分であるシトラールを多く含んでいます。またバラに含まれる成分もいくつか含まれていて、少し甘い香りもあるのが特徴です。
リフレッシュ効果や 、 食欲増加・消化不良など胃腸の調子を整えたり 、 強い抗菌効果 もあります。またシトラールの香りには 虫除け効果 もあります。
レモングラスを植えてみたら
ほったらかしで育った
冬は温暖であまり雨が降らない四国では、レモングラスは 地植えでほったらかしOK でした。
ほかにもレモングラスを植えているおうちを何軒か知っていますが、どこもほったらかしのご様子。冬は勢いがなくなるものの、暖かくなるとまた次々と葉が出てきて生い茂ってくれました。
写真は2年目の夏の様子。見えづらいですが、トラノオの後にいます。どんどん大きくなって、直径20cmほどになっているところです。春~秋の間はいつ収穫しても新しい葉っぱが出てきて、気兼ねなく収穫できました。
植えているだけでは香りはしない
レモングラスの葉は折ったり揉んだりして傷付くと香りがするため、植えているだけではほとんど香りはしませんでした。葉からレモンの香りがする植物は、常に香りがするということはあまりないようですね。収穫して香りを楽しむというものが多いように思います。
そのため冬越しして春に葉を収穫したら全く香りがなく、知らぬ間に枯れて雑草と入れ替わっていた…なんてこともあるんだとか。見た目はほぼ雑草なので、葉を収穫する習慣がなければ気付かないこともあるかもしれません。
大きくなりすぎに注意
生育旺盛で、植え付けから1年でどんどん株が大きくなっていきます。うちは3年目になると「このまま放置したら手が付けられない大きさになるかも…」と思い、スコップを割り入れて株を分け、半分ほどに減らしました。
この作業は株張り20~30cmくらいならそんなに難しくありません。ただ一度別のお宅で、植え付けてから何年も経った直径70~80cmのレモングラスを株分けした時には、かなり大変でした。スコップに全体重をかけてもなかなか株が割れなくて…。 ほどほどの大きさに維持するのがおすすめ です。
ハーブティーがすごく美味しい
レモングラスを植えたいと思ったのは、以前知り合いのおうちで生葉のレモングラスティーをいただき、とても美味しかったからです。
すっきりした味わいで、まさにリフレッシュできる香り。少しクセのあるホーリーバジルティーやとうもろこし茶が好きな筆者には、とても好みの味でした。ミントとブレンドしたり、夏は水出しにしても美味しいです。
ただし子宮収縮などの作用もあるため、 妊婦や授乳中には飲用しない ようにしましょう。
猫がたくさん食べた
レモングラスは猫が大好きな植物。
うちは箱庭だったのでペットの猫を自由に出入りさせていたのですが、庭に出るたびにレモングラスにまっしぐら。もしゃもしゃと食べていました。写真は2年目の春の様子ですが、冬の間残っていた葉を食べられてしまっています。それでも新葉をいっぱい出して、5月には生い茂りました。
なお心配になって検索したところ、レモングラス大好きな愛猫の話がたくさん出てきました。もちろん食べ過ぎはよくないですが、生葉を食べることは猫の体にとって悪くはないようです。ただし アロマは猫に有害 なので気をつけましょう。
収穫した葉はルームフレグランスに
地上部がなくなる秋頃、葉を株元からばっさり収穫してドライフラワーとして部屋に吊るしておくと、ほんわりと良い香りを楽しめました。グラスらしい見た目もかわいらしくて、 インテリアとしても優秀 です。冬に生葉が収穫できなくなっても、ここから乾燥した葉をとってハーブティーにしたり。暗い場所に吊るしたほうが鮮やかな色合いを保てるようです。
しかしうちの場合、猫がこの吊るしたレモングラスもどんどん食べるので途中で飾るのを断念しました…。
レモングラスの冬越し
暖地では地植えでOK
レモングラスの耐寒温度は -5℃前後 。0℃以下が連日続くような地域では、地植えでの越冬は難しいかもしれません。
四国の我が家では、防寒対策もなにもせずに3年越冬しました。3年目は地上部を刈り取りもしませんでしたが、冬の間成長は止まっているものの、緑の葉は維持されていました。写真は3年目の冬の様子で、1日だけ雪がちらついた日のレモングラスです。
1、2日ほど雪が降ったり、まれに一晩だけ積もるようなことのある地域ですが、そのままで何年も越冬しているケースをいくつか見ました。雨が少ない地域だからかもしれません。基本的には ワラや枯草を被せてマルチングするほうが確実 です。
冬越し対策
鉢上げ
霜の降りる地域では、鉢上げして室内で越冬させます。
まず秋深くに地上部を根本から10cmほどの位置で刈り取り、掘り上げます。この際、多少根が切れても大丈夫です。鉢上げしてからしばらくは水が切れないように気をつけて、冬の間は水やりを控えめにします。日当たりのいい、5℃以下にならないような室内で管理します。
鉢上げでの冬越しは比較的容易 。越冬初心者なら鉢上げがおすすめです。
防寒
雪が深くない地域では、地植えのまま防寒対策をして越冬させることもできます。
地上部を刈り取るのは前述の通りで、そのあと株にワラや腐葉土などを被せてマルチングします。そして厚手のビニール袋などで株に雪や寒風が当たらないようにしっかりと覆います。飛ばないように重石を置いたら、春まで置きます。
気温が高くなったらビニールを外しますが、春先の急な気温の変化には気をつけましょう。庭の環境によっても成功率が変わるようです。
基本の育て方
基本の生育環境
風通しのいい日当たり~明るい半日陰を好みます。
鉢植え栽培も容易で、極度に乾燥しないよう土が乾いていたら水やりします。地植えでは水やりは不要です。
土も選びませんが、酸性が苦手なので、地植えするときは石灰などを混ぜ込んで中和するといいでしょう。過湿を嫌うので、排水性のいい環境を好みます。鉢植えならハーブ用土でOK。
基本のお手入れ
春~秋の間に緩効性肥料を1ヶ月に一度与えると、葉ツヤがよくなります。ただし肥料をあげすぎると香りが弱くなることもあるようです。肥料を与えなくても枯れることはありません。
株分けをするなら春が適期です。発根しやすいので、初心者でも簡単。1本分の葉を割るように株から分け、ポット苗に挿します。
レモングラスはハーブ初心者におすすめ
レモングラスを植えてよかった!
レモングラスは香りが強く、その爽やかな香りを日常に取り入れやすいのが魅力でした。
気が向いた時に収穫して部屋に飾ってみたり、刻んで乾燥させた葉をサシェに入れて車に置いてみたり。思い立った時にハーブを楽しみたい筆者にはぴったりでした。残念ながらレモングラスの庭からは引っ越してしまって今は育てていませんが、また苗を見つけたら購入したいと思っています。
癒される香りが魅力
日本の高温多湿に強いレモングラスは、冬越しさえできればほとんど手がかかりません。寒冷地なら鉢植え栽培にして、冬は室内に取り込めば、同じように簡単に育てられます。
香りも好き嫌いの分かれにくいレモン系で、取り入れやすいハーブです。収穫したての生葉の香りは本当に癒されますよ。なにか ハーブを育てたいと思っている人 、 レモンの香りが好きな人 はぜひ一度挑戦してみてくださいね。
しまうま
余暇プランナー
田舎暮らしの30代フリーライター。イングリッシュガーデンやオージーガーデンが好きな2児の母です。花屋と園芸店で勤務経験があり、今はガーデンデザインの勉強中。最近ついにマイガーデンに着手し、ゆる〜くかつ素敵なお庭を作るべく、日々試行錯誤しています。かっこよくて魅力的なネイティブプランツや、のびのび育つのに繊細なフォルムのハーブや花々が好き。リアルな庭作りの情報をお届けしたいと思います。