
大腸がんは初期症状が乏しく、気づかぬうちに進行してしまいます。そんななか、定期的な大腸内視鏡検査は命を守る選択のひとつ。かつて「痛い」「つらい」と敬遠されがちだった検査も、最新技術と寄り添う医療により安心して受けられる時代になりました。地域で診療にあたる二人の医師が、その現状と未来を語ります。
「痛そう」「つらそう」を超えて
大腸がんは、日本人のがん死亡原因の上位に位置しています。それにもかかわらず、大腸内視鏡検査は「痛そう」「つらそう」というイメージから敬遠されがちです。
しかし実際には、技術や体制の進歩によって、その印象は大きく変わりつつあります。
今回は、秋葉原と北千住に内視鏡クリニックを構える二人の医師に、大腸がんの現状と検査の重要性、そして患者さんに寄り添う姿勢について伺いました。
増え続ける大腸がんの影に
大腸がんが増加する背景には、食生活の欧米化や運動不足、飲酒・喫煙習慣、そして高齢化があるといわれています。現代の食卓には肉や脂質の多い食事が並び、運動不足が慢性化。アルコールやタバコの習慣が重なることで、リスクはさらに高まります。
早坂先生は「大腸がんの怖さは、初期にはほとんど症状が出ないことです。だからこそ検査が必要なのです」と強調されています。
末廣先生も「体調に変化を感じたときには、すでに進行していることも少なくありません」と警鐘を鳴らします。

早期発見が守るもの
大腸ポリープは、早期の段階であれば、内視鏡による切除だけで根治が可能です。
末廣先生が「早期発見は患者さんの人生を守るだけでなく、家族の安心にもつながります」と語る通り、外科手術を避けられることは、患者さんにとって大きな意味を持つのです。
さらに二人は声を揃えます。「40歳以上の方、家族に大腸がんの既往がある方、便潜血が陽性となった方にはぜひ検査を受けていただきたい」「『症状がないから大丈夫』という思い込みこそ危険です。必ず検査をしてください」。
健診で異常を指摘されても、「また来年でいいか」と後回しにする人は少なくありません。ですが、そこで一歩を踏み出すか否かが命を左右するのです。
進化する大腸内視鏡検査の現在地
内視鏡検査は「痛い」「つらい」というイメージが根強くあります。しかし今や、そのイメージは時代遅れになりつつあるのです。
早坂先生の「大腸内視鏡は痛いものと思われがちですが、今は大きく進歩しています」という言葉通り、両院では鎮静剤を用いた“無痛に近い検査”を導入。眠っている間に検査が終わるケースも増えています。
末廣先生は「前処置と呼ばれる下剤を飲む行程でも、味が合わない方や過去に苦手だった製剤がある方のためにも様々な製剤をご用意しています」と付け加えます。
両院ともに、トイレ付きの個室や半個室を完備しているため、大量の下剤を服用して腸内をきれいにする前処置も、比較的負担を感じずに臨むことができるのです。


「環境を整えたり、声かけや説明の仕方を丁寧にしたりすることで、患者さんの安心感は大きく変わります」と続けます。患者さんが緊張しているとき、看護師や医師が優しく声をかけるだけで表情が和らぐ。その積み重ねが「思ったより楽だった」という体験を生むのです。
思ったより短く、楽に終わる
検査の流れは至ってシンプルです。各院のホームページから希望の日時を予約し、医師による診察から前処置を経て、腸をきれいにした状態で検査を開始。鎮静剤を使う場合、患者さんは眠っているうちにスコープが進みます。
早坂先生は「検査自体は10〜30分ほど。ポリープがあればその場で切除できます」と話します。
実際に受けた患者さんからは「もっと長く苦しいものだと思っていたのに、あっという間だった」「痛みもなく、安心できた」という感想が寄せられています。

クリニック内には検査の流れを図解した掲示や、丁寧に作られたパンフレットが備えられており、初めて受ける人も不安を抱えたままではなく、理解を持って臨めるよう工夫されているのです。
患者の声が支える日々
末廣先生は「実際に受けた方からは『もっと早く受ければよかった』という声を多くいただきます」と伝えます。
早期にポリープを切除できた患者さんは「これで安心できた」と笑顔を見せるそうです。
秋葉原院は駅からのアクセスが良く、仕事の合間に立ち寄るビジネスパーソンも多く訪れます。一方、千住院は地域の高齢者や家族連れにとって、長く安心できる拠点となっています。
二つのクリニックはそれぞれの地域の特性を反映し、異なる役割を果たしています。

地域の未来を見据えて
「もっと多くの方に検査の必要性を知っていただきたいと思います」と早坂先生は呼びかけます。
「地域の健康寿命を延ばすために、啓発や連携を強めたいです」と末廣先生は応じます。
二人に共通するのは、「怖がらず、安心して一歩を踏み出してほしい」という思いなのです。

大腸内視鏡検査を受ける方へ
最後に、まだ検査を受けるか迷っている方への言葉を伺いました。
早坂先生は「一度受ければ、その安心感こそが大きな財産になります。大腸内視鏡は未来の自分と家族を守る選択です」と呼びかけます。
末廣先生も「怖さや不安があっても、私たちが寄り添います。どうか勇気を持って一歩を踏み出してください」と伝えます。
大腸内視鏡は、かつて「つらい検査」と思われていました。けれども今、その姿は「安心できる選択」へと変わりつつあります。
二人の医師の言葉には、患者さんへの誠実な姿勢と、地域医療の未来を見据えた確かな意志がうかがえます。
がんはひとときも待ってはくれません。だからこそ「今」、大腸内視鏡検査受けることが、未来の安心を手にする最初の一歩となるのです。
今回、お話をうかがったふたりの医師

「秋葉原・胃と大腸肛門の内視鏡クリニック」院長 早坂 健司先生
防衛医科大学校を卒業後、新東京病院にて消化器内科診療に従事。2020年にグループの千住院の開院に携わり、2023年からは秋葉原院を中心に診療を行う。ビジネスパーソンをはじめ、海外在住の一時帰国者や外国籍の患者も多く受診しているのが特徴。

「東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」院長 末廣 聡士先生
島根医科大学卒業後、神奈川の救急総合病院などで研修を経て、都内の急性期病院にて消化器内科診療に従事。4年ほど前より現職に従事し、地域に根ざした診療を続ける。北千住院には、地元の方から茨城・埼玉・千葉といった近隣県まで幅広い患者が来院。老若男女を問わず、多様な層を受け入れる「地域の受け皿」としての役割を担っている。
秋葉原 胃と大腸肛門の内視鏡クリニック 千代田区院_大腸内視鏡検査費用
東京千住 胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院_大腸内視鏡検査費用
