糖分・糖質・糖類の違いについて知っていますか?
名前が似ているので、ついなんとなく同類視してしまいがちですが、正確な違いをきちんと把握しておきたいですよね。
また、1日当たりのそれぞれの適切な摂取量についても確認しておく必要があるでしょう。
この記事では「糖分・糖質・糖類の違いと各摂取量の目安」について、現役薬剤師が解説します。
日頃の栄養バランスを見直せるよう、ぜひご一読ください。
糖分・糖質・糖類の違いとは
名前は似ていますが、一体何が違うのか分からない方が多いのではないでしょうか。
まずはこれらの言葉が何を指しているのか確認していきましょう。
糖分とは
糖分とは甘い食べ物や、糖質・糖類を総称して指す広い意味を持つ言葉です。
糖質とは糖質とは
糖質とは、体を動かすのに必要なエネルギーを作る栄養素の中の”炭水化物”に分類されます。
炭水化物は体で代謝されて、生きるためのエネルギー源になります。
炭水化物は、炭素と水素で構成された食物で、「糖質」と「食物繊維」に分類されます。
糖質はエネルギー源となり、食物繊維はエネルギー源にはなりません。
糖質は不足するとエネルギー不足になり、疲労感・倦怠感や集中力の減少につながります。
また、不足しすぎると意識障害になる可能性があるため、生きていくために必要な栄養素です。
厚生労働省HP https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
糖類とは
糖類とは、糖質を細かく分類したもので、多糖類、単糖類、二糖類に分けられます。
多糖類が体で消化され小さく分解されることにより、単糖類、二糖類へ変化していきます。
そしてその糖類が体のエネルギー源として働きます。
単糖類には、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)、ガラクトースがあります。
二糖類はスクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)などが代表的です。
糖分・糖質・糖類を分類すると?
以上の通りなので、糖質・糖類・糖分を分かりやすく分類すると
「糖分」:甘味や糖質・糖類の総称
「糖質」:炭水化物に分類される栄養素
「糖類」:糖質を単糖類、二糖類、多糖類に分類したもの
このように「糖分→糖質→糖類」の順に細かくカテゴライズされます。
糖分・糖質・糖類の1日当たりの適切な摂取量に違いはある?
糖質には適切な摂取量があるか確認してみましょう。
糖質の適正量
糖質の適正量は性別、年代、1日の活動量で変わってくるため、一概に「このくらい」とはいえません。
様々な要因により多少の差はありますが、糖質の1日当たり目安摂取量は男性の場合「約320~400g」、女性の場合「約220〜320g」程度といわれています。
年代や1日の活動量によっても変わりますので注意してください。
糖質は1g=4kcalとして計算され、具体的な糖質量は
・ご飯1膳(150g)は約50g
・食パン6枚切1枚は約30g
・パスタ(250g)は約70g
に相当します。
糖質の適量を左右する「活動量」
活動量はその多さから「活動量1~3」の3つに分類され、それぞれの活動量に必要な1日当たりエネルギーは次の通りです。
【30〜49歳女性の場合】
「活動量1」1,750kcal
「活動量2」2,050kcal
「活動量3」2,350kcal
このエネルギーの中には、糖質(炭水化物)だけではなく脂質、タンパク質も含まれており、糖質はこの中の50〜60%のエネルギーを占めるとバランスが良いとされています。
しかし、年齢や性別、活動量だけでなく、身長や体重、妊娠・授乳中でも必要エネルギー量は変動しますので、注意が必要です。
基準となるBMIよりも体重のある方は、糖質を控えめに摂取するよう心がけましょう。
また、妊娠・授乳中ですと通常よりもエネルギー必要量が多い場合があります。
厚労省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
糖分・糖質・糖類の摂りすぎに潜む危険性【各違いはあってもリスクあり】
糖質は、摂り過ぎるとあらゆる生活習慣病になってしまう可能性があります。
・肥満
・糖尿病
・アレルギーや皮膚炎
・精神疾患
糖質の摂り過ぎで起こり得る、これらの疾患について確認してみましょう。
肥満
糖質はエネルギーとして消費されない場合、中性脂肪として体に蓄積されてしまいます。
日頃から必要以上の糖質を取り続けると肥満になりやすく、肥満は糖尿病や高脂血症、高血圧などの原因となり、寿命を短くする可能性があります。
健康寿命を伸ばすためにも、適切な糖質の摂取が必要です。
肥満と健康 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
糖尿病
糖質を摂り過ぎて高血糖の状態が続くと、血糖値を下げる働きに負荷がかかり糖尿病になる原因となります。
糖尿病は、それに付随して起こる網膜症・腎臓病・神経障害、血管の動脈硬化を進行させやすくするため、心臓病や脳卒中のリスクを高めてしまいます。
日頃から糖質を多く摂る方、健康診断で指摘されている方、ご家族に糖尿病をお持ちの方は注意が必要です。
厚労省HP https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b7.html
アレルギーや皮膚炎
糖質は体の様々なホルモンバランスに影響しますが、中でも副腎皮質から放出されているコルチゾールに影響します。
コルチゾールは別名ストレスホルモンとも呼ばれ、体のストレス反応に関係しています。
このコルチゾールは体の免疫力、抵抗力に影響します。
血糖値が急激に上がったり、下がったりすることで、体に負荷がかかりコルチゾールが分泌しにくくなります。
糖質を普段から必要以上に摂っていると、その機構に負荷をかけるので、免疫力が下がりアレルギー症状が起こりやすくなります。
また、皮膚のバリア機能も低下するため肌荒れしやすくなります。
精神疾患
糖質は様々な体のメカニズムに関係していますが、中でも思春期に過剰に摂りすぎると精神疾患になりやすいことが分かっています。
精神疾患には様々な原因がありますが、糖質もそのうちの一つです。
普段気持ちが落ち込みやすく糖質を摂り過ぎていると感じる方は、少しずつ摂る量を減らしてみましょう。
国立精神・神経医療研究センター https://www.ncnp.go.jp/topics/2021/20211111p.html
糖分・糖質・糖類の適切な摂り方【それぞれの違いと合わせて】
糖質は1日に自分の体に合わせて摂る量を調整する必要があります。
また空腹時に急激に甘い物を食べるのも体に負担になりますので、糖質が高いものは食後など、吸収が遅くなるタイミングで摂るようにしましょう。
糖分・糖質・糖類の違いを理解して適量摂取を心掛けよう
今回の記事では「糖分・糖質・糖類の違いと各摂取量の目安」について、現役薬剤師が解説しました。
まとめると次の通りとなります。
・「糖分」:甘味や糖質・糖類の総称
・「糖質」:炭水化物に分類される栄養素
・「糖類」:糖質を単糖類、二糖類、多糖類に分類したもの
・糖質の1日当たり目安摂取量は、男性「約320~400g」女性「約220〜320g」程度
普段身近にある糖質は、摂りすぎると体に様々な害を及ぼすことが分かりましたね。
しかし、生きていくためには必要不可欠な物質ですので、体に合わせて適切に摂るようにしましょう。
今回の記事では、「糖分・糖質・糖類の違いと各摂取量の目安」について現役薬剤師が解説しました。
この記事を、綺麗に健康的に過ごしていくためのきっかけにしてくださいね。