IoTとは
IoT(アイオーティー)とは、「Internet of Things」の略称です。「モノのインターネット」という言葉の通り、「モノ」がインターネットに接続できる機能を指します。
従来はパソコン本体やスマートフォン、サーバーなどの通信機器がインターネットに接続していましたが、IoTでは家電や建築設備などの「モノ」もインターネットに接続できるようになります。これにより、IoTに接続されている機器を遠隔で操作したり、状況を監視したりすることが可能になります。
現在は主にエアコンやスピーカーなどのスマート家電、自動運転を行う自動車や鉄道で用いられています。
今までになかった新しい概念のため、今後も従来と比較して生産性の向上が期待できます。
IoTの仕組み
IoT技術により、従来はインターネットに接続されていなかった家電や建築設備などのモノがネットワークを通じて指令を受け、それに応じて機器を操作したり情報を交換したりできます。
これらはネットワークを介して、情報をやり取りするサーバーやクラウドに接続されることで動作します。
ネットワークに接続した上でデバイス間で情報をやり取りする特性上、通信速度の向上や大容量のサーバー・クラウドの整備が急務でした。5G通信技術の確立による、情報通信技術の大幅な進歩やクラウドサービスの高性能化と低価格化の恩恵を受けて、IoTは順調に成長を続けています。
IoTの仕組みを理解する上で、構成要素と働きを意識するとわかりやすいです。
構成要素は単純にモノに限らず、前述の通りサーバーやクラウド、そしてアプリケーションといった細かなカテゴリに目を向ける必要があります。
下記引用でIoTの構成要素についてわかりやすく説明されているので、参考にしてみてください。
<p>IoTの構成要素として、「モノ」「インターネット」「サーバー」「アプリケーション」「ゲートウェイ」の5つがあります。それぞれの特徴を順に見ていきましょう。</p><ul><li>モノ</li></ul><p>自動車、家電、ロボット、施設などのモノを指します。厳密には、画像データや温度データを取得するための「センサー(カメラ)」と、ネットワークを通じて遠隔で作業をするための「デバイス」の2種類に分けられます。</p><ul><li>インターネット</li></ul><p>センサーからデータを集めたり、遠隔でデバイスを操作したりするには、モノをネットワークに接続する必要があります。IoTの場合、モノをネットワークに接続するため、BluetoothやWi-Fi、LPWA(LPWAN)などの無線通信技術が使われることが一般的です。</p><ul><li>サーバー</li></ul><p>ネットワークを通じ、センサーやデバイスから取得したデータをサーバー(クラウド)に蓄積します。取得したデータ量が通常のデータベースで扱えないほど膨大な場合は「ビッグデータ」と呼ばれます。サーバーによっては、ビッグデータをリアルタイムに分析する機能が備わったものもあります。</p><ul><li>アプリケーション</li></ul><p>センターやデバイスから集めたデータを見える化し、人間が利活用できるようにするためには専用のアプリケーションが必要です。近年はPCだけでなく、スマホやタブレットで利用可能なアプリケーションも開発されています。</p><ul><li>ゲートウェイ</li></ul><p>モノをネットワークに接続する方法として、モノ自身に通信モジュールを組み込む方法のほか、ルーターやゲートウェイを活用する方法があります。ゲートウェイを通じてサーバーに接続することで、ネットワークの負荷を調節したり、デバイスの管理を効率化したりすることが可能です。</p><p>このようにモノ同士をネットワークで接続し、取得したデータをサーバーに送信してアプリケーション上で可視化するのが、IoTの基本的な活用イメージです。スマート農場やスマート工場など、広範囲に複数のデバイス(センサー)を設置する必要がある場合は、IoT用のゲートウェイを導入するのが一般的です。</p>
IoTにより実現可能なこと
IoTは従来の技術では実現できなかったことを可能にするポテンシャルを秘めています。
具体的には以下のようなことが実現できています。
遠隔での操作・管理
IoTに対応した機器と操作用のデバイスがネットワークに接続されていることにより、相互間で情報のやり取りを行うことができます。
スマート家電では、外出先でデバイスを操作することにより家に帰る前にエアコンの電源を入れたり、ペットの給餌機を作動させたりすることができます。自宅にいなくても外出先でこれらの作業を行うことができるため、急用や仕事でやむを得ず家に帰れない場合でも対応できるようになりました。帰宅するタイミングに合わせて快適な室温に調節しておいたり、洗濯乾燥機の完了時刻を設定しておいたりと生活の利便性向上にも寄与しています。
また、IoT機器およびそのシステムの情報を診断をし、安全な運用・保守を行うことも可能です。特に工場のオペレーティングシステムにおいては、早期に脆弱性や設定不備などの異常を検知することで重大なトラブルを未然に防ぐことができます。
データの収集・改善
IoTを用いることで遠隔地でも機器の状況やデータを確認することができます。そのため、早い段階で機器の異常を発見することはもちろん、ログを解析すればトラブル発生のパターンを遠隔地からでもリアルタイムに確認することができます。
IoTとAIを用いたデータの蓄積を組み合わせれば、強力なトラブル防止の手段となり得ます。
また、IoTで得られたデータからサービスの改善点や機器の更新ポイントを割り出し、今後の運用に活かすことも可能です。
モノ同士の通信による自動化
センサーにより人の出入りを検知し、照明のオンオフを連動させる機能も、IoT技術の一つです。
また、Uber eatsやピザの出前において、おおよその待ち時間を顧客に共有できるのも、モノ同士の通信による自動化の恩恵の一つです。
IoTの活用事例
IoTは様々な場面で活用されています。具体的な活用事例は以下のようなものがあります。
家電分野
私たちの生活の中で、IoTの恩恵を最も身近に感じるのが家電分野でしょう。
エアコンの遠隔操作は、IoT家電の普及の先駆けといっても良い程に早い段階から普及し、現在ではスタンダードになっています。他にも、帰宅直前に部屋の電気をつけてたり、お湯を沸かしたりすることもできるようになっています。
Apple社製デバイスを所持している場合に限り、貴重品にAirTagを取り付けることで、もしも紛失や盗難にあった時には、モノが現在どこにあるのかをGPSデータから読み取ることができます。
交通分野
交通分野では、バスやタクシーの位置情報の提供や配車管理が可能になった点が挙げられます。
バスでは運行状況や現在位置を、専用サイトや乗り換えアプリを介して利用者に情報提供できます。鉄道に比べて遅延が起こりやすいバスの利用において、利用者に情報の提供が行われることで利便性が大きく向上しました。
タクシーにおいても配車アプリの普及が進み、利用者のスマートフォンでタクシーを手配することが容易になりました。車両の到着待ちの間にも、どこまで車両が近づいてきているのかを把握できるため、タイムマネジメントや効率的な予定の調整が可能になりました。
バスやタクシーのような公共交通機関にとどまらず、交通分野では他にも様々な場面でIoTが活用されています。
マップアプリでは、データの提供に同意した利用者のGPSデータを活用し、道路の混雑状況を解析して渋滞情報を提供します。マップ上に情報を反映させるだけではなく、ルート案内にも情報を活かしてより最適な案内を実現しています。
同じく、高速道路の渋滞情報も同様のシステムが活用されています。また、これらの情報を活用し、混雑緩和対策の材料にも活かされます。
その他にも、IoTは車の自動運転をアシストすることにも長けています。GPSから収集した道路情報と交通状況を総合的に考慮し、適切なルートで目的地まで運転を継続することができます。自動運転は今後、大きな成長を期待できる分野です。
医療分野
医療分野では、医者と患者が離れた場所にいても容体を確認することができる点が挙げられます。
患者に専用端末やウェアラブルウォッチなどを装着し、収集したデータをネットワークを通じて意地のデータベースへと送信する仕組みです。心拍数や呼吸数、血中酸素濃度等の健康状況を監視し、異常が出た際には早急に対応することができます。
リアルタイムで健康状態の把握が可能になるだけでなく、いつ容体が変化したのかを詳細にカルテに記録することができるため、従来よりも正確な医療を提供できます。
訪問看護や在宅看護においても情報を医師や看護師に的確に伝えることができるため、人手不足の解消や医療の効率化に大きく寄与しています。
物流分野
物流分野では主に、輸送車両の位置情報を用いて納品の予想時刻算出や遅延状況の把握を手助けしてくれます。
他にも商品の運送時には適切な環境管理が求められます。特に温度についてはシビアで、冷蔵便や冷凍便において活用されています。収集したデータは、温度の他にも湿度管理にも活用できます。IoTの技術によって、食品をより安全に輸送することが実現できました。
物流業界におけるIoTは、倉庫でのピッキング作業の効率化にも貢献しています。インターネット通販が普及した昨今、注文に応じて全自動ロボットが作業をアシストしてくれます。
農業分野
農業分野では、気圧や天候、日照量やCO2濃度に加えて気温の変化など、ありとあらゆるデータを蓄積した上で分析し、水分や肥料の供給を自動化することに寄与しています。
ビニールハウス内部の室温調整もIoTサポートしているケースもあります。
また、農地の規模を問わず、自動化できる部分を自動化して効率的に農作業を進めることが可能です。
収集した膨大なデータから、収穫量や収穫時期の予測も可能となり、供給量の安定化に貢献しています。
まとめ
IoTは幅広い分野で活用され、私たちの生活をより便利で豊かなものにしてくる技術です。
スマートデバイスの普及により、従来よりもIoTの真価が発揮されやすい環境になりました。より身近な存在となったIoTについて知識を深めることで、恩恵を最大限受けることができるでしょう。
ひとつひとつの独立した技術を多層的に組み合わせることで、より大きな効果を生むことができます。IoTも例外ではなく、既存のものや今後開発される技術とのハイブリッドでさらなる伸び代が生まれると考えられます。今後も成長が見込めるIoT技術はビジネスチャンスのきっかけのひとつになり得るかもしれません。