福井ありがとうございましたBU シーズン2ファイナルBU 21/47 #青春ツアー#momoclo#福井pic.twitter.com/iyvHUyo3Ky
— ももりこぶたZ (@momorikobuta517) 2017年12月3日
ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)が今年春からスタートさせた「ジャパンツアー・青春」。2年をかけて47都道府県すべての会場でコンサートを行うという、ももクロにとっては初の試みで、12月3日、21ヶ所目の福井県で今シーズンを終えた。
このツアー、スタジアムやアリーナのような巨大会場と違い、キャパ1000~2500人程の一般的なホールを使用するためチケット争奪は激戦だ。コンサートチケットが取れなくて、こんな事をした経験のある人も多いはず、それは“コンサート会場へ行って音漏れでもいいから聴きたい”、いわゆる「音漏れ参戦」だ。
チケットがなければ会場内へは入れない。会場の外壁に耳を当てて、かすかに聴き取れるLIVE音を楽しむ人もいる。昔やったことがあるけど結構虚しいものだ(笑)。
ただし、この輩は歓迎されない。おそらくスタッフや警備員もスキを見て侵入してこないかと目を光らせているはず。タダで生音を聴こうという行為は泥棒同然という人もいる。お金を払ってLIVE参加している客からの反感も買いやすい。常識として、音漏れ参戦は疎ましい存在なのである。
ももクロスタッフまさかの神対応
そんな中、今回の「ももクロジャパンツアー・青春」で、陣営はそんな音漏れ参戦者への常識を覆した。
『チケットがないファンを会場ロビーへ招き、音漏れ参戦OKしたのである』
繰り返すが、通常、チケットが無い者は会場内へ入れないものである。グッズ販売のみ受け付けるケースは多いが、大概は会場の外にブースを設置する。またスペースの都合や天候の良し悪しで、ロビー内で販売することもあるが、買い物が終われば退出を促されるのが普通だそうだ。今回のももクロコンサートでは、チケットがなくてもLIVE中にロビーに入れてグッズが購入できる。これはHPでも告知してある。
そんな中、Twitterで、まさかの動画が飛び込んできた。ファンなら誰もが知る、ももクロのマネージャー川上氏が、ロビーで音漏れを聴いているモノノフの映像を生配信したのだ。しかも、「音漏れ参戦してるモノノフさんたちでーす」などとレポートした。モノノフはサイリウムを振って楽しんでいる。
これを見て思わずツッコんだ。
“音漏れ参戦を認めるなんて有り得ないでしょ!? 今回は特別なの!?”
これは確かめてみなくては!・・・
ってことで、実際に潜入してみた
12月2日(土)富山県 高周波文化ホール(新湊中央文化会館) 大ホール。
(図書館など併設した複合施設。ここはエントランスホールで左側がコンサート会場)
富山にももクロ5人が揃って訪れるのは史上初なので地元ファンの喜びは一入だ。そんな会場の前には、チケットが入手できなかった残念モノノフが集まっていた。ざっと100人くらいだろうか。
17時になり、コンサートが始まった。扉の向こうからかすかにももクロの歌声が聴こえる。私達がグッズ購入できるのはこの後からだ。すると係の方が入り口を開放して「どうぞ~」と声をかけた。並んでいたファンがゆっくりと入場する。私もロビーへ足を運んだ・・・
「マジか!?」と驚いた。
音漏れどころの話ではないのだ。ロビー備え付けのスピーカーと明らかにスタッフが特設したスピーカーからホールのLIVE音がそのまま流れているのである。もちろんロビーなので大音量ではなく、適度な音量で。
更に驚いた。スピーカーの前にパイプイスが並べてあるのだ。
つまり、“どうぞ聴いて行って下さい”と音漏れ参戦を堂々と認めているのである。しかも、人が増えてくると、二階へ上る階段に座ることも許可した。「座れない人ごめんなさいね」と謝るスタッフもいた。ファンサービスとはいえ、おそらく、ここまで音漏れ参戦を公然と認め、むしろウェルカム状態にするももクロスタッフの対処は異例だろう。まさに神対応だ。
なぜ、ここまで寛大なのか?
陣営とすれば、沢山ファンが入って、沢山グッズが売れれば嬉しいのは当たり前。だけど、この音漏れ参戦の配慮はそれだけじゃないと感じるのだ。何より、このツアーは、初めて47都道府県を行脚する企画である。でも倍率が高すぎてチケットが用意できず、ナマのLIVEをお見せ出来ないモノノフが沢山いる。これを申し訳なく思う気持ちが強いのだろう。
だから、いつも遠くから応援してくれているお礼に、そしてせっかく会場まで来てくれたお礼に、せめて生LIVEの音だけでも楽しんで帰って欲しい。そんな気持ちを込めての、”音漏れ参戦いらっしゃいませ”なのだと思うのだ。
モノノフが描いた歓迎の大イラスト。ももクロもスタッフも嬉しいに違いない。
音漏れ参戦について少し調べた
“音漏れ参戦”という単語がマスコミで言われるようになったきっかけは、2000年8月に開催したサザンオールスターズの茅ヶ崎公園野球場での野外ライブとされる。6万人を集めたが、野球場周辺に大量の音漏れ参戦ファンが発生した。迷惑行為・トラブルはなかったわけではないが、凡そ穏便に事は済んだとされている。
2013年、嵐の国立競技場公演。この時、約2万人の音漏れ参戦ファンが国立周辺に出没した。ファンが道路を塞ぐなど、多大な迷惑をかけたとして問題になった。この反省を受け、嵐のメンバー5人が「音漏れ参戦はしないように」と訴えかけるコメントを残す事態に。音漏れ参戦にバッドイメージが付いたキッかけはここかも!?
2015年11月1日、代々木第一体育館で開催されたV6・20周年記念公演で、スタッフが会場のドアを解放し、更にメンバーが音漏れ参戦勢に呼びかけるサプライズがあった。音漏れ参戦組は約1万人いたとされ、ファンは咽び泣いたという。
この件に「音漏れ参戦勢を増やしかねない」「グッズだけ買って帰ったファンが怒った」など賛否あった。背景に、会場周囲に民家が少なく騒音迷惑をかけにくいこと、V6ファンはマナーが良いとされていたこと、が大きかったという。あくまでも特例で、今後ジャニーズ系のコンサートではまず行われないと思われる。
2017年11月、東京ドームで開催された乃木坂46の「真夏の全国ツアーFINAL」で、音漏れ参戦に詰めかけた大勢のファンが、大声でコールを叫ぶなどの迷惑行為が発生した。警備員の制止を聞き入れずトラブルになり大騒動に。暴力沙汰もあったそうだ。これにはさすがの乃木坂ファンからも「東京ドームを使わせてもらえなくなるだろ!」といった批判が相次いだ。
例に上げたのは、屋外でのコンサートばかり。音漏れ参戦でのトラブルは、屋外の大型ライブに集まることが多い。V6の代々木体育館のような閉鎖された会場の扉を開け、音漏れを聴きやすくするケースすら前代未聞だ。そう考えると、今回のももクロコンサートで、音漏れ参戦を歓迎する動きは今後のライブ運営とファンサービスの方法に一石を投じる試みなのかもしれない。
これも、ももクロならでは?
では、他のアーチストのホールコンサート会場で、同様の音漏れ参戦を認めたらうまく対処できそうか? というと簡単ではないのかもしれない。ももクロでこれが滞りなく遂行できるのは、名物マネージャーの川上氏の存在が大きい。
推測だが、音漏れ参戦を公認したのも川上氏だろう。この人が、ファンが喜ぶ策を常に考えてくれている事をモノノフはよく知っているので、現場にいる彼の言うことは素直に聞く。だからトラブルも起きにくいはず。他のアーチストで、関係者にこのような権限を持つ方がいれば大丈夫だと思う。
ただ、気になるのはファンのリアクションだ。音漏れ参戦は基本的に良いイメージがないので物議を醸す可能性は大きい。ところがモノノフに関して、SNS関連を調べたが異議を唱える声はほぼ見当たらなかった。むしろ“神対応”とする声が多い。チケットが手に入らなかった経験者が多く、逆の立場なら嬉しいだろうから、と受け止めているからではないだろうか。
モノノフよ勘違いするな、これは御厚意だ
さて、音漏れ参戦して感じたこと、そして私なりの意見を述べる。まず、モノノフが肝に銘ずるべきは…
“御厚意で音漏れを聴かせていただいている”
ということ。お金を払わず、タダで生LIVEの音を聴かせていただける。これを当たり前だと勘違いし甘えてはいけない。この特別な配慮に感謝すべしだ。
そして、この音漏れ参戦の場は異例なので皆が初体験と言え、ルールが定まっていない。でも、大人なら節度を分かって欲しいのだ。そもそもロビーは大声を出して騒ぐところではない、外に音が漏れれば迷惑にも繋がる。
それを象徴するのが、ロビーで流すLIVEの音量だ。大音量ではなく、広いロビーのどこにいても聴こえる最小限の大きさに抑えていた。多くはソレを理解しているのでコールなどは小声で囁く程度に止めていた。
でも、中にはこの御厚意を、通常のLIVE同様に“目一杯楽しむもの”と勘違いする人もいた。コンサートも終盤になり、ももクロから「一緒に歌って!」というシーンがあった。みんな小声で歌っていたが、スピーカーの真ん前に座る男性がしびれを切らしたか急に大声で歌い始め、そして「富山はこんなもんか!?」と吐き捨てた。さらに続けて一人だけ大声で歌った・・・。
――――― 違うのだ。
大声でコールしたい気持ちはわかる。でも、ホールのLIVEとロビーの音漏れ参戦とは場所が違う。みんな場をわきまえ、空気を読んで、節度を持った声を出して音漏れLIVEを楽しんでいるわけだ。あなたのように大声で歌ったら、肝心なLIVEの音がみんなに聴こえなくなるし、みんなが大声を出せば騒音に成り兼ねないではないか。完全な迷惑行為だ。
スペースがあるならサイリウムを目一杯振っても良いし、振りコピ(振り付け)を踊ることもかまわない。でも、他の人に迷惑をかけてはいけない。また、他の会場からは、「団体(仲間)でつるむ人は、気が大きいのかうるさい」という話も出ている。富山でも学生っぽい子達が数人仲間でいて、騒がしいとは思わなかったが若干テンション高めで目立っていた。
あまりにもマナーが悪い場合は、スタッフから注意を受けるだろうし退場もあるはず。その人だけが戒めを受けるなら良いが、その地に悪いイメージが付くのは必至なので、ももクロに二度と来てもらえないかもしれない。自分勝手な楽しみ方で大勢を悲しませる可能性もあることを知って欲しい。
そして何より、音漏れ参戦を認めてくれたファン思いのスタッフさんの気持ちを踏みにじってはダメだ。
2018年3月再スタート
ももクロの「ジャパンツアー・青春」シーズン3は、2018年3月3日徳島県からスタートする。すでに、音漏れ参戦の事は知れ渡っているはずなので、せめて音漏れで…というモノノフが会場に大勢やってくるかもしれない。
ただし、前提は物販エリアの開放であって音漏れのための開放ではない。しつこいようだが音漏れ参戦は厚意である。これが当たり前のように、調子に乗った振る舞いをみせスタッフを困らせるトラブルだけは避けて欲しいものだ。スタッフサイドが「大声禁止」など、マナーを呼びかければ済むことかもしれないが。
とにかく、音漏れ参戦とて、ももクロ5人を悲しませることはしてほしくない。マナーが良いと評判のモノノフなら大丈夫なはずだ。