
京都府は10月1日から12月31日まで、ふるさと納税型クラウドファンディングでiPS細胞による再生医療等の技術開発支援を開始しました。市民の寄附を研究開発に直結させる、異色の組み合わせが地域発の医療実装を後押しします。
募集の狙いと具体的な支援先
京都府は令和2年度以降で6度目となるふるさと納税型クラウドファンディングを実施します。募集期間は令和7年10月1日から12月31日までで、寄附はふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を通じて申し込めます。用途は大きく二つに分かれており、第一にiPS細胞による再生医療等の技術開発、第二に社会課題解決に取り組むスタートアップ等への支援です。昨年度は技術開発とスタートアップ支援の双方に寄附が活用されました。行政がプラットフォームを設けることで、市民が税制上のメリットを享受しつつ研究支援に参加できる仕組みです。
寄附金の活用例として、具体的な京都発ベンチャーの取り組みが紹介されています。株式会社Arktus Therapeuticsは他家iPS細胞から立体的な軟骨を作製し、変形性膝関節症などの膝再生を目指しています。HiLung株式会社はヒトiPS肺細胞を用いた「ミニ肺」を量産し、創薬や感染症研究に貢献することを想定しています。リバーセル株式会社は多能性幹細胞からキラーT細胞を作製する技術で、がんやウイルス感染症に対応する他家再生キラーT細胞療法の実用化に取り組んでいます。さらに、株式会社Famileafは妊婦向けの体調管理アプリ等を通じて妊産婦支援の研究開発に取り組んでいます。これらは寄附金で研究推進や実証、製造体制の整備が進められる予定です。
情報発信面では、公益財団法人京都大学iPS細研究財団(iPS財団)によるオンライン配信が予定されています。10月14日と15日にはYanai my iPS製作所見学ツアーが配信され、11月9日には京都大学iPS細胞研究所教授やiPS財団関係者による特別対談「iPS細胞研究と製造、今と未来」が配信されます。配信はiPS財団のYouTubeチャンネルで行われ、アーカイブも公開される予定です。こうしたイベントを通じて、研究の現状や実用化への道筋を広く伝える取り組みが進みます。
自治体が市民寄附と先端研究を直接つなぐ今回の試みは、参加型の研究支援モデルとして注目です。継続的な情報公開と透明な運用が鍵になるでしょう。
詳しくは「京都府」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
