
三井住友カードは関東の鉄道事業者11社局と共同で、クレジットカード等のタッチ決済による「後払い乗車サービス」の相互利用検討を開始しました。2026年春以降の開始を目指し、改札にかざすだけで乗車できる利便性を拡大します。
サービス概要と各社の役割
今回の共同事業協定には、小田急電鉄、京王電鉄、京浜急行、相模鉄道、西武鉄道、東急電鉄、東京地下鉄、東京都交通局、東武鉄道、横浜高速鉄道、株式会社小田急箱根の11社局が参加しています。三井住友カード、JCB、QUADRAC、オムロンソーシアルソリューションズ(OSS)も技術・決済面で協働します。参加各社は、鉄道の運行や改札システムの提供、運賃計算システムの構築を担い、OSSが運賃計算システムの開発支援を行います。三井住友カードは「stera transit」プラットフォームの提供やVisa・Mastercard・銀聯の導入支援と認知プロモーションを担当します。JCBはJCB、American Express、Diners Club、Discoverの導入支援とプロモーションを担い、QUADRACはSaaS型プラットフォーム「Q-move」を提供します。
サービスの利用イメージはシンプルです。タッチ決済対応のクレジット・デビット・プリペイドカードや、それらが設定されたスマートフォンを改札の専用端末にかざすだけで、事前に乗車券を購入することなく改札を通過できます。対応予定ブランドはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯の7ブランドです。2026年春以降は、11社局をまたぐ相互乗り継ぎにも対応する計画で、複数事業者間の移動を後払いで精算できることが大きな特徴です。ただし、対象駅や路線は事業者ごとに異なり、サービス開始時点での相互利用範囲は11社局のみを予定しています。
導入にあたっては運賃計算の高度な対応が必要です。首都圏では相互直通運転や改札外乗換えが多く、複雑な運賃体系や取り扱いルールを正確に反映するシステムが求められます。そこで鉄道11社局とOSSが協働して新たな運賃計算システムを開発します。このシステムと三井住友カードの「stera transit」、QUADRACのQ-move」を連携させることで、相互利用を実現する設計です。steraの技術は現金や事前チャージ不要による利便性向上に加え、感染症対策やインバウンド受け入れ、地域のキャッシュレス促進などの効果も期待されます。さらに、steraの技術はMaaSやスマートシティの認証基盤としての活用も視野に入っています。
サービスは段階的な導入が想定されます。運賃計算や端末の整備、各社間の仕様調整、利用者への周知を経て、2026年春以降に順次開始する計画です。対象駅や路線の詳細、運用ルールはサービス開始前に改めて発表されます。まずは11社局内での検討と開発を進め、将来的な拡大を見据える構えです。
首都圏の鉄道ネットワークで「カードをかざすだけ」の流れが一歩前進します。運賃計算の整備が進めば、利便性とインバウンド対応の両面で大きな効果が期待できます。
詳しくは「三井住友カード株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
