
政府は、日本人の海外出張や旅行の費用負担を抑えるため、パスポート発行手数料の引き下げ方針を固めました。18歳以上は現在の5年用1万900円、10年用1万5900円という区分を改め、10年用に統一したうえで一律約9000円に見直します。18歳未満は5年用のみで約4500円に引き下げます。来年1月に召集される通常国会で旅券法改正案を提出し、7月にも実施する方向です。制度が実現すれば、更新や家族分の新規取得のコストが下がり、留学や観光、ビジネス渡航のハードル低減が期待されます。成人は選択制から10年用へ統一、未成年は年齢区分を跨いだ一律化により、申請時の分かりやすさも高まります。
背景には、オーバーツーリズム対策の財源確保に向けた見直しがあります。訪日外国人と日本人が日本との往来で負担する国際観光旅客税の引き上げを検討しつつ、日本人のパスポート手数料を下げることで、全体の負担バランスを調整します。あわせて、外国人向けビザの発給手数料は1回用で3000円から1万5000円に引き上げる方針です。観光公害対策の財源を確保しながら、国際移動の利便性を維持しようとする狙いが読み取れます。観光や航空、旅行関連の事業者は、出国税やビザ手数料の見直しによる需要変動を注視し、価格や在庫、混雑分散の運用を機動的に調整することが重要です。訪日客向けには付加価値の高い体験の提供を強化し、価格上昇下でも満足度と再訪意向を高める工夫が求められます。
