
三井住友DSアセットマネジメント株式会社は、投資リサーチ向けAIサポートツール「Assistant For Investment Research(AIR)」の本格的な業務利用を開始しました。目的は運用力の向上を通じてお客さまの資産形成に貢献することで、まずは運用部門での活用からスタートしています。AIRは社内独自開発の生成AIを備え、最新ニュースの理解や投資判断に必要な情報提供を支援します。これにより、投資判断の迅速化と精度向上が期待され、投資成果への寄与を見込みます。開発は2年前に基盤構築に着手し、個別ヒアリングや社内アンケートを踏まえて半年間の検証を実施したうえでの導入です。継続的な改良を通じて、運用実務の効率化と高度化を両立させる方針です。
AIRの機能と特徴 投資リサーチのスピードと質を同時に引き上げる
AIRは投資リサーチの業務プロセスに最適化された汎用型サポートツールです。生成AIが最新ニュースを理解し、投資判断に資する要点を迅速に提示できる点が核となります。主要クラウドであるAzure、AWS、Google Cloudが提供するAIモデルを選択して利用でき、閉域接続により企業内部や特定組織内部のみでの安全なアクセスを前提としています。これにより分析の柔軟性とセキュリティの両面で実務要件に適合します。さらに、長文レポート作成やファクトチェック、EDINETやTDnetの開示情報からの抽出、過去ニュースと株価の相関分析といった特化型エージェントを備えています。自動実行を前提としたエージェント機能により、情報収集から分析、アウトプット作成までの一連の作業を効率化します。多様なモデルと機能の組み合わせが、複雑な市場分析と投資戦略の精度向上に資する構成です。
社内活用の現在地と期待効果 年間約5万時間の効率化を見込む
同社は運用部門のみで年間約50,000時間の業務効率化を見込んでいます。マクロ調査グループでは、マクロ経済ニュースの収集と社内向け取りまとめにAIRを活用し、情報更新の速度とドキュメント品質の両立を図ります。円債クレジットグループでは、市場分析と銘柄評価のシステム構築にAIRを組み込み、分析プロセスの再現性と網羅性の確保を進めています。特化型エージェントの活用により、EDINETやTDnetの一次情報から迅速に要点抽出する運用も可能になります。過去ニュースと株価の相関に関する統計的視点の付与は、投資アイデアの検証スピードを押し上げる効果が期待されます。段階導入で実効性を高めながら、社内全体への展開に向けた開発を継続する計画です。
開発の経緯とガバナンス 実務起点の要件整理と検証を経て本格導入
AIRの基盤構築は2年前に開始され、運用担当者への個別ヒアリングや社内アンケートを通じてニーズを収集しました。半年間の検証期間で、投資リサーチの現場に即した要件を反映し、業務適合性を確認したうえで本格利用に移行しています。閉域接続の採用は、機密性の高い投資情報を扱う実務に求められるセキュリティを確保する狙いがあります。複数クラウドのAIモデルを選べる設計は、分析テーマやデータ特性に応じたモデル選択を可能にし、再現性と説明可能性の担保にもつながります。長文レポート作成やファクトチェック機能の標準化は、執筆品質の平準化と監査性の向上に寄与します。三井住友DSアセットマネジメント株式会社は、先端技術の活用を通じて運用力の一層の向上を目指す姿勢を明確にしています。
実務に生きる提言 金融機関のAI導入で押さえるべきポイント
金融機関や運用会社が同様のAI活用を進める際は、まず閉域接続やアクセス制御で情報ガバナンスを確保することが重要です。次に、EDINETやTDnetなどの一次情報を起点にした特化型エージェントを整備し、要点抽出から分析、レポート作成までのパイプラインを自動化すると効果が高まります。モデルは業務ごとに選定し、性能評価と監査ログをセットで運用することで、品質担保と改善サイクルを回しやすくなります。検証段階では、マクロ調査やクレジット評価など限定領域でKPIを設定し、時間削減や精度の向上を定量確認するとよいでしょう。導入後は、ファクトチェック機能を基盤に、投資判断に関わる出力の確認フローをルール化し、責任境界を明確にすることが肝要です。段階的な社内展開で適合性を高め、運用力向上と業務効率化の両立を図ることをおすすめします。
詳しくは「三井住友DSアセットマネジメント株式会社」の公式ページまで。
