
帝国データバンクの調査で海外進出率は18.3%に低下。中国の重要度低下とベトナム・インドの台頭、米国の関税リスクが企業戦略を揺るがしています。DX視点で事実を整理します。
現状データとDXでの打ち手
帝国データバンクの2025年調査によると、直接・間接を合わせた海外進出企業は18.3%にとどまり、2019年の24.7%から6ポイント下落しました。直接進出は9.5%、間接進出は13.8%で、規模別では従業員1,000人超が59.0%と大きく進出しており、企業規模による二極化が鮮明です。
生産・販売の重点地域はアジアが上位を占め、生産で「中国」16.2%、次いで「ベトナム」7.9%、販売では「中国」12.3%、米国が8.2%で存在感を示しています。ただし中国の重要度は近年低下し、ベトナム、インド、インドネシアといった成長市場への注目が高まっています。
調査では米国による関税交渉が「非常に大きな影響がある」と答えた企業が13.5%、「ある程度の影響がある」が42.5%に達し、関税リスクが進出判断やサプライチェーンに実務的な影響を及ぼしていることが明らかになりました。こうした不確実性の中で、政府・自治体・公的機関による支援強化を企業が求めている点も調査で示されています。
具体的には、カントリーリスクに関するタイムリーかつ詳細な情報提供、外国当局への働きかけ、成長市場への進出支援や中小企業向けのノウハウ・人材育成支援が必要とされています。DXはここでの要請と親和性が高く、公的機関の情報プラットフォームや企業側のデータ分析基盤など、デジタルを前提にした支援・対策設計が進めば、進出のハードルを下げられると調査は示唆しています。
企業側は、調査が示す数値を踏まえ、進出の優先順位を見直すと同時に、デジタルを活用した情報収集やリスク評価の仕組みを整備することが求められます。に生産拠点としてのベトナムの期待値の高さや、販売面で中国と並ぶ米国の重要性を踏まえ、関税・政策変動を想定した複数シナリオでの検討が不可欠です。公的な支援が充実すれば、進出実績の少ない中小企業でも段階的に市場参入が可能となり、日本企業全体の海外展開の底上げにつながると調査はまとめています。 調査は不確実性の高まりを示す一方、成長市場への移行余地を明確にしています。政府と企業のデジタル前提の連携が急務です。
詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
