
MM総研の2025年8月調査で、楽天モバイル契約者の銀行・証券への“クロスユース”が明確に優位を示しました。ポイント還元や本人確認の簡略化が利用定着を後押しする実態を、最新の数値を基に読み解きます。
調査で浮かんだ「ポイント経済圏」が生む利便性と差
ICT市場調査の株式会社MM総研が2025年8月に実施したWebアンケートでは、15〜79歳の携帯キャリア利用者から合計3万2916件の回答を収集しています。回答の内訳はドコモ1万6073人、au7750人、ソフトバンク4719人、楽天モバイル4374人で、調査の母数はこのように明示されています。まず総じて言えるのは、楽天モバイル契約者における銀行・証券の“まとめ利用”が他社を大きく上回っている点です。


銀行サービスでは、楽天モバイル契約者のうち楽天銀行をメインで利用している比率(クロスユース率)が23.1%で4キャリア中トップを維持しました。楽天はモバイル契約者向けに銀行口座開設で毎月1500ポイントを付与する施策や、既契約者に対する本人確認の「ワンクリック申し込み」対応などで利便性を高め、ユーザーの定着を図っています。対照的にauは「auじぶん銀行」が前年より0.4ポイント上昇して3.7%となり伸び率はトップ、ソフトバンクのPayPay銀行は2.6%(0.3ポイント低下)、ドコモのdスマートバンクは0.1%と限定的な浸透に留まっています。ドコモは2025年10月から住信SBIネット銀行と連携した「d NEOBANK」を開始しており、今後の展開が注目されます。

証券分野でも楽天証券は楽天モバイル利用者の利用率が32.7%、クロスユース率は24.5%で首位を堅持しました。楽天は証券口座開設で2000ポイント、さらにNISA同時開設で追加1000ポイントを付与する施策を続けており、金融サービス間のシナジー形成に成功している様子が数値に表れています。一方、SBI証券は株式売買手数料の無料化の効果からキャリアを越えて支持を集め、ドコモ・ソフトバンク利用者でトップに立つなど、キャリア横断型プレイヤーとして存在感を示しています。
まとめると、本調査は「ポイント還元」と「手続き簡略化」が経済圏内での回遊と定着を強く後押ししていることを示しています。楽天はモバイルと金融の連携で回遊導線を完成させ、他キャは連携強化やサービス再定義で追随を図る段階です。今後は新NISAなど投資環境の変化も踏まえ、単発のキャンペーンから長期的な資産形成支援への転換が各社の競争軸になるでしょう。
詳しくは「株式会社MM総研」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部
