
IHI運搬機械株式会社とジョルダン株式会社は、静岡県沼津市においてスマートシティ実現に向けた交通DXと観光MaaSのサービス提供を開始しました。沼津港には年間約166万人の観光客が訪れる一方、週末には自家用車の来訪により渋滞や駐車待ちが発生し、公共交通の利便性が十分に生かされていないことで観光客の時間が最大限に活用されていない課題がありました。また、沼津駅周辺の中心市街地に沼津港周辺の賑わいがうまく波及していない点も指摘されていました。こうした背景を受け、2021年に発足した沼津版スマートシティ「X-Tech NUMAZU」では、中心市街地をヒト中心のウォーカブルな空間へ再編する取り組みと合わせて、移動の最適化を図る施策が進められています。
本サービスでは、ジョルダンの「乗換案内アプリ」にスマートシティモードとして「沼津市モード」をリリースし、飲食・観光・宿泊・モビリティなどの地域情報を地図上で確認できるようにしました。アプリは鉄道やバスなどの公共交通に加え、タクシーやシェアサイクルを含むマルチモーダル対応の経路検索が可能で、現在地からスポット間を直接検索するスポットtoスポット検索や、地域のイベント情報も掲載されます。さらに、IHI運搬機械のモビリティデータプラットフォームと連携することで、沼津市中心街から沼津港周辺の駐車場満空情報をリアルタイムで閲覧でき、利用者は駐車場探しの手間を減らし、最適な移動手段を選べる設計になっています。これにより、観光で訪れる方や市民の双方にとって利便性の高いワンストップの移動支援が期待されます。

本サービスの構築は、デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)のTYPE1事業として沼津市が採択されたことを背景に、沼津版スマートシティ「X-Tech NUMAZU」のモビリティ部会長であるIHIグループのIHI運搬機械が「令和6年度 交通DXと観光MaaSによる回遊性向上業務」を受託して実施されています。スマートシティモードは地域ごとのニーズに応じて柔軟にカスタマイズ可能で、域移動の案内に加えて目的地到着後の地域内周遊までを一つのアプリでカバーする点が特徴です。利用者は複数アプリのダウンロードが不要となり、地域側はコスト抑制や観光DX・MaaSの推進に資する仕組みを得ることができます。
IHI運搬機械は1973年設立以来、パーキングシステムや運搬機械の製造・販売で事業を展開しており、都市部の生活空間や産業現場で製品が活用されています。ジョルダンは1979年設立で、乗換案内を中心にソフトウェア開発や携帯コンテンツ事業を手がけ、「乗換案内」アプリは累計5,000万ダウンロードを超える実績があります。今回の連携は、自治体と民間企業が協働して地域の移動課題をデジタルで解く取り組みの一例であり、観光客の利便性向上や地域経済の回遊促進につながることが期待されます。
詳しくは「IHI運搬機械株式会社、ジョルダン株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松
