
キリンホールディングスと和歌山県立医科大学らの共同研究で、血中pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)活性と関連する尿中タンパク質・miRNA群が世界で初めて同定されました。非侵襲で免疫状態を把握する可能性が示され、検査サービス化に向けたデータ活用の道筋が見えます。
尿バイオマーカーで描くpDC活性可視化
キリンホールディングス株式会社ヘルスサイエンス研究所は、和歌山県立医科大学主宰の「わかやまヘルスプロモーション研究」に参画し、NPO法人ヘルスプロモーション研究センターと共同で2022年から進めた解析で、血中pDCのインターフェロンα産生能(pDC活性)と関連する尿中因子を複数同定しました。対象は2022年11月の特定健診を基にした51〜55歳の住民223名で、血中pDC割合が中央値以上の参加者のうち、過去1年以内にCOVID-19罹患歴のない者を選び、上位25%(20名)と下位25%(20名)の計40名の尿を網羅解析しました。
解析結果として、7,000種以上のタンパク質から115種、70,000種以上のノンコーディングRNAから96種(miRNA含む)にpDC活性の高低で差が認められました。特にpDC活性が高い群ではIgAをはとする免疫関連タンパク質の尿中存在比が高い点が確認され、pDC活性と尿プロファイルの関連が示されました。これらの成果は日本食品免疫学会第21回学術大会(2025年10月2〜3日)で発表されています。
研究チームは、本成果が非侵襲的な免疫活性評価の手がかりになる可能性を示したと述べています。キリングループは本知見を、2025年5月に発表した「免疫の状態を可視化する独自の検査サービス」へ活用する計画を示していますが、実用化には更なる検証と大規模データでの再現性確認が必要です。
詳しくは「キリンホールディングス株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
