
TOYOTA GAZOO Racingは2025年9月18日、GRカローラの一部改良モデルを発表し注文受付を開始しました。ボディ剛性強化や吸気冷却の改善、オーディオ強化、供給体制見直しと、ソフトを起点に既存オーナー向けのアップグレードも示した“走りと日常性”を両立する改良です。
ソフト改良とハード改良を組み合わせた「日常と過酷の両立」

TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、GRカローラの一部改良を発表し、2025年9月18日から注文受付を開始、11月3日に発売します。今回の改良はモータースポーツで得た知見を市販車へ還元する方針の具体化であり、改良はハード面とソフト面の両輪で進められています。まずボディ骨格の強化では、構造用接着剤の塗布長を従来比+13.9m、合計32.7mへ延長しました。フロントボディ、フロア、リヤホイールハウス周辺を中心に接着位置を増やし、量増を最小限に抑えつつ高剛性化を図っています。これにより、ニュルブルクリンクのような強烈な上下左右Gがかかる環境でも安定した車体挙動を実現します。
エンジン冷却面では、新たに「クールエアダクト」を追加しました。エアクリーナー下方に配置される2次吸気口へフロントグリルから直接外気を導く経路を設け、吸入空気温度の上昇を抑制します。これにより長時間全開走行など高負荷時においてもエンジンの出力安定性を確保し、G16E-GTSエンジンのポテンシャルを引き出します。高温下での耐久性を意識した施策は、モータースポーツ由来の実走データに基づく改良です。
日常の快適性向上と感情に訴える演出にも手が入りました。JBLプレミアムサウンドシステム(メーカーオプション)にラゲージ設置のサブウーハーを追加し、スピーカー数は8から9へ増加しています。さらにアクティブノイズコントロール(ANC)のチューニング最適化により不快なこもり音を低減しつつ、アクティブサウンドコントロール(ASC)を新たに搭載しました。ASCは走行モードに応じた3パターンのスポーツサウンドをスピーカーから再現し、アクセルオフ時にはバブリング音も発生させるなど、日常で安全にモータースポーツフィールを味わえるよう設計されています。ASCは音量3段階とOFFが選べ、出荷時はOFF設定です。
供給面でも見直しを実施し、2022年発売時の抽選販売に代表される需給逼迫から改善を図りました。より多くの顧客に届けるための供給体制の検討を行い、注文受付と並行して市場への供給安定化に努めます。加えて、既存オーナーへの配慮として2023年発売モデルを対象にソフトウェアを含むアップグレードプログラムを開発中です。このプログラムではエンジン最大トルクを従来の370Nmから400Nmに引き上げ、GR‑FOURの駆動力配分制御も変更します。具体的にはREARモードの配分が前30:後70から前50:後50の“GRAVEL”に変更され、TRACKモードは前50:後50から前60~30:後40~70へ可変制御に改められます。提供は2026年春を見込んでおり、価格など詳細は改めて案内されます。
TGRは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」にコミットし、今回の改良を通じて走行性能の向上と日常の使い勝手、音響演出、供給拡大を同時に進めています。今後もソフトとハードを組み合わせた進化を継続するとしています。
詳しくは「TOYOTA GAZOO Racing」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
