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アメリカの雇用統計が警告する労働市場…高まるインフレへの不安


8月のニューヨーク連銀の月次調査によると、米消費者の1年先のインフレ期待は8月に3.2%に上昇しました。これは、トランプ政権が主要貿易相手国に強力な関税措置を発表した直後である5月以来の高水準となります。なお、3年先のインフレ期待は3.0%で前月と変わらず、5年先は2.9%とほぼ横ばいでした。短期的な物価懸念の高まりが見られる一方で、中長期的な期待は落ち着いている状況です。

調査はまた、求職者を取り巻く見通しが急速に悪化していることを示しています。「現在職を失った場合に3カ月以内に再就職できる」と回答した割合は8月に約6ポイント低下し、2013年にこの設問が導入されて以来の最低水準に達しました。1カ月の低下幅としてはコロナ禍以降で最大となり、年齢・学歴・所得のほぼすべての層で悪化が広がっています。中でも最終学歴が高校卒業の層での悪化が最も顕著でした。

今回の調査結果は、8月の雇用統計の弱さを裏付ける内容でもあります。非農業部門雇用者数は前月比2万2000人の増加にとどまり、過去データの修正では6月の雇用者数が2020年以来の減少となりました。失業率は4.3%に上昇しており、労働市場の下振れが進んでいることを示唆しています。

家計の見通しも悪化しています。過去1年で家計が「悪化した」と答える割合が増えたほか、今後さらに悪化すると見込む人の割合も上昇しました。将来の借り入れ環境に対する期待も弱、今後3カ月以内に債務の最低支払いを滞らせる可能性があるとみる人の割合も増えています。これらは消費の下押し要因となるおそれがあり、家計の脆弱化が進んでいることが読み取れます。

ニューヨーク連銀は、インフレ懸念が関税によるものである可能性はあるものの、インフレ期待自体は中長期で落ち着いているため、関税の影響が一時的な価格ショックにとどまる可能性があると指摘しています。一方で、労働市場の弱さや家計の悪化は景気下押し要因として注視されており、今後の経済指標と政策対応が重要になります。調査は、求職者の見通しの悪化が広範な階層に及んでいる点を強調していますが、自分が1年以内に職を失う、あるいは自発的に辞める可能性については大きな変化は見られないと報告されています。

短期的なインフレ懸念と労働市場の弱まりは、企業にとって即効性のあるDX投資を促す警告サインです。早期に人材と業務の再編を進め、家計・雇用の脆弱化に配慮した持続可能な成長戦略を描くことが肝要です。

レポート/DXマガジン編集部小松

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