
近年の猛暑が、子どものスポーツ活動に深刻な影響を与える可能性が指摘されています。国立環境研究所と早稲田大学の最新の予測によると、2060年までに日本各地で夏の気温が「運動制限レベル」に達し、学校の部活動や地域大会の屋外スポーツが成立しなくなる恐れがあります。すでに高校野球や全国大会では、試合時間の短縮や開催地の移動などの対策が進んでいます。
猛暑が奪う「運動の場」
報告によれば、現在の化石燃料使用が続けば、日本の8地域のうち6地域で夏の屋外活動に制限が必要となり、4地域では全面的に中止を余儀なくされるといいます。すでに小中高で毎年約5,000件の熱中症が報告されており、現場は「命を守る対策」を最優先にせざるを得ません。
高校野球の聖地・甲子園では近年、試合途中の冷却休憩や午前・午後に分けた日程が導入されました。サッカーや陸上競技では、開催地を北海道や東北に移す動きも広がっています。運営側は「時間帯の変更」「氷浴や給水休憩の導入」などを重ねながら、競技の継続と安全確保の両立に努めています。
研究者は「高温環境下では運動そのものが難しくなり、身体活動量の低下が子どもの発育や健康に悪影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らします。屋内競技や新たな運動スタイルへの移行が進む一方で、身体活動不足やメンタル面のリスクにも注視が必要です。
猛暑はすでに観戦やプレーの風景を変えつつあります。気候変動がスポーツ文化や教育活動の未来を左右する中、「環境対策」と「子どもの健康」をどう両立させるかが、社会全体に問われています。
レポート/DXマガジン編集部
