
NHK交響楽団とNTT東日本グループが宮城の中高生に仕掛けた“音楽×DX”教育。2025年8月22日の仙台リハーサル見学を皮切りに、マルチアングル配信や耳をふさがないイヤホン「耳スピ」、出張レッスン、オンラインレビューまで、学びを五感で拡張する取り組みを紹介します。
マルチアングル・耳スピ・出張指導で変わる学び
NTT東日本とNTT ArtTechnologyは、公益財団法人NHK交響楽団(N響)と連携し、宮城県内の高校2校を対象に音楽教育プログラムを展開しています。初めの接点として、2025年8月22日に仙台銀行ホール イズミティ21でN響のリハーサル見学を実施しました。参加校は宮城県富谷高等学校弦楽合奏部と宮城県仙台第一高等学校吹奏楽部です。生徒は実演を間近で聴くだけでなく、学習用端末で3種類のアングルから視点を切り替えられるマルチアングル配信を体験しました。指揮者アングル、上手アングル、下手アングルの視点切替により、通常の鑑賞では見えにくい演奏の細部を確認できた点が特徴です。
同時にPSZ(Personalized Sound Zone)技術を搭載したオープンイヤー型イヤホン「nwm『耳スピ』」で湯川紘惠氏による楽曲解説を同時視聴しました。耳をふさがない形状のため、生演奏の臨場感を損なわずに解説を重ねて聴くことができ、曲の聴きどころや演奏者間のやり取りが分かりやすく伝わりました。参加した生徒からは、楽曲の変化点や演奏技術に注目できたとの声が出ており、来月の出張レッスンで具体的な奏法や表現を学びたいという期待が寄せられています。
今後は9月にN響メンバーが両校を訪問し、弦楽や管楽ごとのパートレッスンと合奏指導を行います。富谷高では第1ヴァイオリン次席の倉冨亮太氏らが指導にあたり、仙台第一高ではクラリネット首席の伊藤圭氏やトランペット首席の菊本和昭氏が講師を務めます。さらに秋には、N響メンバーが遠隔で生徒の練習成果をレビューするオンラインレビューを予定しています。これにより、生徒は直接指導を受けた後に外部からのフィードバックを得て再学習し、演奏技能の定着を図るサイクルが設計されています。
背景には、NTT東日本とN響が「音楽はコミュニケーション」を掲げて長年にわたりコンサートを通じた社会貢献を行ってきた経緯があります。NTT ArtTechnologyはデジタル技術を活用した文化芸術の保存・発信にも取り組んでおり、今回のプログラムは両社とN響の協力で、地域の生徒に音楽の楽しさと成長機会を提供する狙いです。今後は得られた成果を他地域へ展開し、新たな技術を用いた音楽体験の創出や地域活性化につなげていく予定です。
詳しくは「NTT東日本株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部 權
