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懐かしさを感じやすい人ほど「親友の数が多くなる」と判明


京都大学とニューヨーク州立大学バッファロー校が行った最新の研究によれば、ノスタルジックな気持ちを持ちやすい人は、親しい友人が多いという興味深い発見がありました。この研究は、1500人を対象に行われ、ノスタルジーが人間関係を支える鍵である可能性が示されています。特にノスタルジーは既存の関係を維持する動機を強めることで、社会的つながりを保つ「感情的なセーフティネット」として働く可能性があります。この傾向は年齢や性格に関係なく見られたため、多くの人にとって有効な関係維持のツールとされます。

「ノスタルジー」と「人間関係」に関する興味深い発見が、京都大学と米ニューヨーク州立大学バッファロー校の最新研究により明らかになりました。

研究チームによる1500人を対象とした調査で、ノスタルジックな感情(懐かしさ)を抱きやすい人ほど、親友の数が多いことが判明したのです。

思い出にひたる感情が、実は人間関係を支える重要な鍵になっているのかもしれません。

研究の詳細は2025年3月12日付で学術誌『Cognition and Emotion』に掲載されています。

目次

  • 懐かしい気持ちが教えてくれる「つながり」の価値
  • 懐かしさに浸る人ほど、親友が多くなる

懐かしい気持ちが教えてくれる「つながり」の価値

久しぶりに古い写真を見て高校時代の友達を思い出したとき、「あの頃はよかったなあ」と胸が温かくなることはないでしょうか?

こうした懐かしさは、単なる感傷的な気持ちではなく、心理学的には“社会的な感情”として知られています。

過去の楽しい記憶は、私たちに「自分は誰かとつながっていた」という実感をもたらし、孤独感を和らげ、人生に意味を感じさせる働きをもつとされています。

また最近の研究でも、懐かしさは恋人との関係を深めたり、卒業後の同窓会への参加意欲を高めたりといった、対人関係におけるポジティブな効果が示されてきました。

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Credit: 京都大学 –懐かしさを感じやすい人ほど親しい友人が多い(2025)

しかし、これまでの研究の多くは「懐かしい気持ちが一時的にどんな影響をもたらすか」という点に集中しており、長期的に人間関係にどんな影響を及ぼすかは、はっきりとわかっていませんでした。

研究チームは、この点に注目しました。

「懐かしさを感じやすい人」は、他人とのつながりを大切にする傾向があるのではないか?

それが年月を経ても親しい友人を維持できる秘訣なのではないか?

そんな素朴な疑問から今回の調査を開始しました。

懐かしさに浸る人ほど、親友が多くなる

研究チームは今回、アメリカとオランダの約1500人を対象に、3つの異なる調査を実施しました。

第1の調査では、米国の大学生を対象に「どのくらい懐かしさを感じるか」や「友人との関係をどれくらい大切にしているか」などを尋ねました。

その結果、懐かしさをよく感じる人は友人関係を維持することを重視しており、実際に「親しい友人の数」も多い傾向にあることがわかりました。

第2の調査では、アメリカ在住の一般成人を対象に同様の質問を行い、さらに性格特性(ビッグファイブ)などの影響を取り除いたうえでも、同じ傾向が見られることを確認しました。

そして注目すべきは、第3の調査です。

これはオランダで7年間にわたって行われた追跡調査で、「懐かしさをよく感じる人」と「感じにくい人」とで、親しい関係の変化を追跡しました。

その結果、懐かしさのスコアが高い人は追跡期間の7年が経っても親しい友人の数を保っていたのに対し、懐かしさのスコアが低い人は7年間の間に親しい友人の数が約18%減少していたのです。

人とのつながりは、歳を取れば取るほど自然に減っていくものですが、懐かしさがその減少を防いでくれる「感情的なセーフティネット」のように働く可能性が示されました。

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Credit: canva

研究者たちは、懐かしさが「新たな関係を作る」よりも、「すでにある関係を大切にする」動機を強めることに特に注目しています。

確かに、懐かしい記憶を振り返ると、「あの人に久しぶりに連絡してみようかな」と思うことがあるのではないでしょうか。

まさにそれこそが、懐かしさの持つ“社会的な推進力”です。

この研究では「人間関係を維持したいという気持ち」が、実際に親しい関係の数を増やす間接的なメカニズムであることが統計的に検証されました。

しかもこの効果は、年齢や性格の違いとは無関係に現れており、誰にとっても有効な「関係維持の心のツール」と言えそうです。

研究者は次のようにコメントしています。

「懐かしさを感じる人は、過去に囚われているわけではありません。

むしろ、懐かしい記憶はポジティブな感情や社会的つながりを生み出すことが、心理学の研究で多く示されています。

私たちの研究では、懐かしさを感じる頻度が高く、その思い出を大切にしている人ほど、大切な人間関係を育むことの重要性を認識していることがわかりました。

年齢を重ねて、生活環境や責任が変化しても、こうした友情は長続きしやすいようです」

懐かしい気持ちにひたることが、社会的なつながりを守り、孤独を遠ざけてくれるとしたら、それは現代人にとって大きな希望ではないでしょうか。

私たちは過去を思い出すことで、未来の人間関係を育てているのかもしれません。

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参考文献

懐かしさを感じやすい人ほど親しい友人が多い―約1,500人を対象とした国際調査で判明―
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-03-25-0

元論文

The past that ties us together: nostalgia strengthens social networks
https://doi.org/10.1080/02699931.2025.2451313

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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