猫が二足立ちする理由とは?
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みなさんは猫が二足立ちする様子を見たことがありますか?普通、猫は四本の足を使って四足歩行をしていますが、突然立ち上がったりミーアキャットのように直立姿勢になったりするなどして、二足立ちすることがあります。その様子は思わず笑ってしまうほどかわいく、最近はSNSに画像や動画がよく投稿されています。
可愛い姿に癒されるのですが、そもそもどうして猫は二足立ちするのでしょうか?ここでは猫が二足立ちする理由について取り上げます。また、体への影響がないのかについても見てみくことにしましょう。
相手を威嚇するため
一つ目の理由として、「相手を威嚇するため」二足立ちになることがあります。
自然界の中ではよくみられることですが、威嚇するときに自分を大きく見せることで、「自分は強い」「攻撃態勢にあるんだ」とアピールします。これは猫にも共通していることです。威嚇された相手は戦意を喪失し逃げていくことでしょう。
猫にとって手っ取り早く体を大きく見せる方法は、二足で立つことです。熊も威嚇するとき二足で立って前足を大きく上に広げます。こうすることで実際よりも体を大きく見せることができますし、その後も素早く行動することもできます。
猫の二足立ちも同じといえるでしょう。後ろ足で立って前足を上に広げバタバタ動かして、威嚇攻撃をします。ただしこの姿勢だと急所であるおなかが相手に丸見えなんですよね。二足で立つほかにも、毛を逆立てることで体を大きく見せる猫もいます。
驚いたとき
猫は驚いた時にも二足で立つことがあります。予想外の出来事が起こったり、大きな音が聞こえたり、知らない動物に遭遇したりするとビックリして思わず立ってしまうのです。まずは立ってそのまま威嚇モードに入ることもあるでしょうし、そのまま逃げることもあるかもしれません。
私たちもびっくりしたとき体の筋肉が硬直することがありますが、猫も同じくビックリして無意識に立つことがあるようですよ。
警戒心から周囲を見渡すとき
周囲の気配の違いを察して警戒した時も二足立ちをします。
私たちも周囲の気配を察して警戒することはありますよね。猫も同じなのです。例えばちょっとした物音が聞こえた、何かいつもと違うにおいがする、何かの気配を感じるなどいつもと違う何かを察したときに、周囲を警戒するために、また周りの様子を見るために二足立ちします。
二足立ちすれば、四足で立っているときよりも目線が高くなるため、より高い位置から周囲を観察できますよね。また音も聞こえやすくなるため異変に気付くことができます。本能的に自分の身を守るための行動といえるでしょう。
興味津々から
猫は何か珍しいものを見つけたり興味深いものを見つけたりしたときにも、好奇心から二足立ちすることがあるようです。
「あれはいったい何なんだ?見たい!触りたい!」といった好奇心が膨らみ、興味津々になって目標物に近づくために二足で立つようですよ。特に自分と目標物の間にブロックや車、フェンスといった障害物があるときは、視線を高くするためにも立ち上がって見たくなるのでしょう。
甘えているときやおねだりのとき
猫は甘えているとき、飼い主さんの気を引きたい時にも二足立ちすることがあります。なんともかわいらしい理由ですね。
一緒に遊んでほしい、おやつが欲しい、かまってほしいなど何かの要求があるときに立ち上がってアピールすることがあります。この時の二足立ちは威嚇の時のようなピンっとした感じではなく、ちょっと力が抜けた感じです。
中には後ろ足で立って、前足は合わせてお祈りするようなポーズをとってくる猫もいます。こんなかわいらしいポーズをされたら放っておけませんね。そのため、このポーズをすれば自分の要求が通ると思って確信犯的に立つ猫もいるようですよ。賢いですね。
背伸びをしている
猫がお気に入りのおもちゃやタオルなどをいつもと違うところに置いた時、特にそれが高い場所にある時は背伸びをして取ろうとすることがあります。
例えば普段は床に置いてあるおもちゃがテーブルの上にあった場合、おもちゃをとろうと思って後ろ足で立ち前足を使って取ろうとすることでしょう。体を伸ばせば届くと思っているからです。
踏ん張るとき
トイレでうんちをするときに二足で立つ猫もいます。これは踏ん張っているからなんです。私たちもトイレに行くと踏ん張るのではありませんか?これは人間だけではなく猫を含む動物みんな同じです。特にちょっと便秘気味だったりするといつも以上に踏ん張りますね。
猫はその踏ん張りが最高潮になると、下半身に力を入れるために二足立ちになるようです。他にもトイレのふちに前足をかけて踏ん張ることもあるでしょう。中には踏ん張りすぎて後ろ足が上がり逆立ち状態になる猫もいますよ。
おもちゃに夢中で
猫が好きな猫じゃらしなどのおもちゃを視線よりも高い位置に持ってきましょう。おもちゃに気を引かれた猫は、そのままおもちゃを取るために立ち上がることがあります。
そしておもちゃをそのまま移動させれば、猫も二足のまま歩くことがあります。二足歩行をする猫もかわいらしいですよ。
放心状態
中には二足で立った後に放心状態になり、しばらくそのままになっていることもあります。
威嚇や警戒、驚き、排せつ、甘えるなどいろいろな理由で二足立ちになりますが、この時にあまりにも力が入りすぎるとそのあと力が抜けて、二足立ちのままぼーっとしてしまうのでしょう。
病気!?
猫が二足立ちするのは、もしかしたら病気が原因かもしれません。それは「てんかん」です。てんかんとは脳の中の神経に異常が生じるために発作が起こって体のコントロールを失う病気です。
口から泡を吹いたり、けいれんを起こしたり硬直したりしたらてんかん発作が考えられます。突然起こるため飼い主さんもパニックになりやすいのですが、まずは落ち着いて、可能であれば発作の様子をビデオなどに撮っておくと良いでしょう。
心配になって愛猫に触ろうとしないでください。意識のない猫に攻撃をされる可能性があるため、症状が落ち着くまで近寄らず、発作が止まるのを待つのが賢明です。その後すぐに病院に連れていき撮影したビデオを見せるといいですね。獣医さんも診断の助けになります。
てんかん発作を起こしている猫は見た目は苦しそうなのですが、当の猫は意識がないため苦しくはないようです。とにかく飼い主さんは落ち着いて対処しましょう。
二足立ちは体に悪くないの?
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ここまで猫が二足立ちする理由についてみてきましたが、本来四足歩行の猫が二足立ちをすることで体に負担をかけないのでしょうか?
猫の後ろ足は発達している
獣医師によると猫の後ろ足は発達しており力があるため、二足立ちは無理な姿勢ではないようです。
膝を伸ばしたり曲げたり、ジャンプしたりとあらゆる猫の動作に後ろ脚やお尻の筋肉を使うため、かなり発達しているんですね。それで猫は緊張した時やビックリしたとき、警戒するときなど力が入って体がこわばりますが、このように筋肉が緊張することは猫にとってなんてことはないのです。二足立ちもなんてことないのです。
猫はバランス感覚が良い
猫は他の動物に比べてバランス感覚が良いといわれています。ですから高いところから落ちても、きちんと着地ができるのでしょう。それは三半規管が発達しているため、体のバランスを動きに合わせることができているのです。そのため、後ろ足で立っても前足を使ってバランスを調整し立っていることができるのです。
体に負担がないわけではない
このように猫は筋肉が発達しており、バランス感覚も優れているため二足で立つことは無理なことではありません。ただし、本来猫は四足立ちをする動物ですので、かわいいからといって日常的に二足立ちをさせているとやはり足腰に負担はかかってくるかもしれません。
ですから猫が威嚇のため、警戒のため、踏ん張るためなど猫の意思で二足立ちする以外に、飼い主がただ単に二足立ちが見たいからといった理由でしょっちゅう立たせるといったことは控えた方がよいかもしれませんね。
立てなくなることもある
猫が二足立ちすると多少なりとも足腰への負担があることがわかりましたね。そのためシニア期に入って骨が変形したり、関節炎を患ったりするようになると、立ちたくても痛みがあるために二足立ちできなくなるかもしれません。特に関節のクッション部分である軟骨が減ると、痛みが生じて動きにも制限が出てきます。
また肥満になると、体重が重くて足腰や関節への負担が大きくなるため立てなくなるかもしれません。立つことは猫の本能による行動とも言えるため、自分の意志に反して立てないことは猫にとってもストレスとなりかねません。ですから普段から骨や関節のケアや太りすぎないように配慮してあげましょう。