愛犬を肩に乗せてもいい?
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愛犬との触れ合いは気持ちを明るくしてくれたり、温かい気持ちにしてくれますよね。ペットブームの今、毎日の暮らしに愛犬との時間が欠かせないという方も少なくないでしょう。犬は、言葉を話せませんが、飼い主さんとのコミュニケーションを上手に図ります。長年愛犬と暮らしていると、愛犬が何を伝えたいのか、どんな気持ちなのか、なんとなくわかってくる気がしてきますよね。
でも、人間と犬ではやはり社会のルールというものが違います。それで、本当のところ、愛犬がどんな気持ちで自分たちと接しているのかわからないという事もあるかもしれません。例えば、遊んでいるとき、あるいは甘えてくるときに愛犬が肩の上に乗ってくる、という事もありますよね。愛犬がお腹の上や膝の上に乗りたがり、そしてそのまま肩の上にまで登ろうとしてくることがあります。
そのような行動にはどんな気持ち、心理が隠れているのでしょうか?今回は、犬たちが人間の肩に乗ろうとするときの気持ちについて調べてみました!愛犬を肩に乗せてもいいのでしょうか、それともやめた方がいいのでしょうか。ぜひ参考にしてください。
どうして肩に乗りたがるの?
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犬を飼育してみると、犬は本当に多くの表情を持ち感情を表現する力も豊かであることに気づきます。言葉は話せなくても、いろいろな行動や仕草、そして声などで意志を伝えてくれます。私たちは犬の行動を見て、彼らの気持ちや心理を察することができます。例えば、尻尾を振っていれば「うれしい」とか「興奮している」サインだと理解できます。甘えたい時には「くぅーん」と鳴いたり、体をくっつけてきたりしますよね。
愛犬のそのような仕草ってとても可愛いですよね。では肩とか背中によじ登ろうとしてくる時はどんな気持ちでいるのでしょうか?いろいろな理由が考えられるようなので、1つ1つ見てみたいと思います。
優位に立ちたい
愛犬が自分に寄り添ってきたり、自分の上に乗ろうとしてくる行動ってとても可愛いですよね。飼い主さんの中には、愛犬がどんなことをしても許してしまう飼い主さんもいます。でも、よく言われているように、犬という動物は主従関係を持つ生き物です。つまり、犬の社会には必ずボスがいて、自分より上か下か、優劣をつけています。
よくテレビなどで「愛犬を肩の上などに乗せてはいけない」という情報を聞くのはこのためです。人間の肩の上に乗ろうとするのは、「自分が優位に立っていると感じているから」というわけです。これは、肩に乗るということだけでなく、自分のあごを乗せてくるとか、背中に上る場合にも言えることです。それで、絶対的な主従関係を築きたいという飼い主さんは、肩に上ることを許しません。
警察犬とか狩猟犬など、飼い主の指示に絶対服従できるように訓練されている場合、飼い主さんは犬にとって絶対的なリーダーとなっていなければなりません。こういうケースでは、自分の方が優位に立とうとする犬の行動は絶対に許してはいけません。もちろん一般家庭ではそこまで主従関係を厳密に設定する必要を感じないかもしれませんが、ある程度意識するのは大切です。甘やかすのではなく、犬の特性を理解し、主従関係をハッキリさせることによって、飼い主さんを信頼させ、指示や命令に従うようにしつけるようにしましょう。
甘えたいだけ
愛犬が肩や背中など飼い主さんの上に乗ろうとしてくる行動は、必ずしも自分が上に立ちたいという心理があるとも言えない場合があります。つまり、飼い主さんを見下しているから登るわけではない、ということです。ただ飼い主さんに甘えたいだけなのかもしれません。
時に、愛犬と飼い主さんの関係は母親と子どものようだったりします。子犬は母親に甘えたいときに、母親の上にのっかったりします。そのように、ただ甘えて飼い主さんのうえに乗っているというわけです。
犬は、自分が信頼している人に自分の体をくっつけたがります。飼い主が寝ているときに、犬が自分の体がくっつけながら横に寄り添ってくるのは、信頼しているからです。甘えん坊な犬の場合、スキさえあれば飼い主さんにくっつこうとすることもあります。飼い主さんの背中があまりにも気持ちよくて、安心するのかもしれません。
そう考えると「愛犬が肩の上に乗っかってくるのも悪くないか」と思えますよね。もし本当に甘えているだけなら、それも悪くないかもしれません。ただ注意点として、犬の甘えにすべて応じていると、犬は「飼い主さんはなんでも自分のいう通りにしてくれる」と考えてしまう恐れがあります。
犬は賢いので、飼い主さんがどこまで自分の行動を許してくれるのか良くわかっているのです。ですから、犬の甘えた行動に応じるのもほどほどにした方が良いでしょう。
飼い主さんを独り占めしたい
飼い主さんを「自分のものだ!」とアピールするために、肩に上っているという意見もあります。これは、自分のライバルと思える対象がいる場合に、ライバルに向けて自分の方が上だとアピールしているサインとされています。
例えば、家庭に小さなお子さんがいて、愛犬と小さなお子さんがライバルのような関係担っていることがあります。愛犬は飼い主さんの注意を自分に向けたいので、お子さんよりも自分の方が上だと主張するために、飼い主さんの上に登ってアピールするかもしれません。この場合も犬の優劣社会が関係しているわけですね。
興奮しているだけ
とにかく興奮しているときに、飛び回って背中に飛びついてきたり、肩にまで登ってくることがあるかもしれません。飼い主さんが帰ってきてうれしい、新しい人がいて興奮が止まらないという場合に、走り回って飛び回ってそのようにする小型犬もいます。その場合、とくに悪気があったりすることはないのかもしれません。とにかく遊んでほしくて、一生懸命アピールしているだけかもしれません。
小型犬であっても大型犬であっても、興奮して行動が止められない、というのはあまりよくありません。危険があります。とくに大型犬であれば力も強く、大人でも圧倒されてしまいます。特にまだやんちゃ盛りな、元気な若い犬の場合、興奮のままに人の上に手をかけたり、上に乗ろうとしたりすることがあります。しつけのためにも、このような行動はコントロールするように心がけましょう。
日本でタブー化された理由
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ここまで見てきたように、犬が飼い主さんの上に乗ろうとする理由についてはいろいろな意見があります。ただ、一般的によく言われているのは、「犬が肩に乗るのは自分が上だとアピールしていることになるのでよくない!」という意見です。
これは、「もともと犬の先祖はオオカミであり、群れのリーダーを決めて絶対的な上下関係の中で生きる動物である」という考えに由来した意見です。「犬は人間とも上下関係を築くので、もし犬がリーダーになってしまったら問題行動が増えるので良くない」というわけです。
日本の犬のしつけ本の多くはこの点を取り上げていて、人間が絶対的なリーダーポジションに立つべきだと主張しています。家庭犬であっても、飼い主さんの上にあごを乗せることさえも許してはいけない、という情報までありました。
テレビでも、愛犬をだっこする時は絶対に肩以上の位置に愛犬を上げてはいけない、という情報を伝えています。そのようなことから、日本では愛犬を肩に乗せることや、人間の肩の位置以上の目線に置くことが一種のタブーのように見られるようになったようです。
しかし最近では、このような意見は否定されることがあります。飼い主がある程度リーダーシップをとって犬の行動をコントロールするのは大事だとしても、甘えているだけの仕草を全て止めさせる必要はない、という意見も多くなっています。