犬の皮膚トラブル
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被毛に覆われている愛犬の皮膚トラブルはなかなか見た目だけでは見極めることが難しいですが、普段よりも体を掻いている時は何らかの皮膚炎にかかっていると考えることができます。
皮膚炎には大きく分けて3つあります。
「アレルギー」、「ノミやダニなどの寄生虫」、「皮膚疾患」による皮膚トラブルです。
これら3つについてさらに詳しく説明します。
アレルギー性皮膚炎
人間だけでなく、犬もアレルギーによってトラブルを抱えるようになっています。
アレルゲンと呼ばれる原因物質に触れたり、それを口に入れることにより体の免疫機能が異常に反応してしまう事をいいます。
そして、それによって皮膚炎を起こしてしまうことがあります。
アレルギーが原因の皮膚炎はドッグフードに含まれている食材が原因になることが多くあります。
肉食動物である犬は動物性タンパク質を必要としていますが、そのタンパク質がアレルギーの原因になるようです。
特に牛肉、豚肉、そして鶏肉はアレルギーが出やすいとされています。
また同じタンパク源を長期的に摂取していると、突然アレルギー症状が出てしまうということもあるようなので注意が必要です。
穀類などの植物性タンパク質を含むドッグフードも多く見られますが、穀類は犬にとって消化に悪いだけでなく、アレルギーを起こす原因にもなりやすいとされています。
特にトウモロコシ、小麦、大豆などはアレルギーを起こしやすいので、グレインフリーまたはグルテンフリーのドッグフードを選ぶようにすすめられています。
また、着色料や防腐剤などの人口添加物がアレルギーの原因になることもあります。
アレルギー性皮膚炎の場合は、まずはドッグフードの見直しをすることによって対策することができます。
また同じものを長期にわたって与えることによって突然アレルギーが出ることがあるので、ドッグフードも違う種類のものをローテションで与えるなどの工夫をすることができます。
「アトピー性皮膚炎」は食べ物が原因ではなく、呼吸によってアレルギー物質を吸い込んでしまい、過敏症を起こす病気のことをいいます。
幼い子供に多い皮膚のトラブルですが、最近では犬のアトピー性皮膚炎も増えているようです。
アトピー性皮膚炎にかかった犬はひどい痒みの症状がでて、特に夜の間に体を掻きむしってしまい、症状をさらに悪化させてしまうことが多くあります。
ノミやダニが原因の皮膚病
ノミやダニによる皮膚病も非常に多いと言われています。
ノミやダニに噛まれることによってアレルギー反応を起こし、痒みや皮膚病を起こしてしまいます。
伝染力も強いため、病原体を感染させることもあります。
放っておくと他のペットや人間にも影響を与えることがあるので注意が必要です。
すぐに対処するようにしましょう。
予防薬を飲ませることによってノミやダニによる感染症から愛犬を守ることができます。
「疥癬症(カイセンショウ)」はヒゼンダニによる皮膚炎で、強い痒みを伴います。
掻きむしってしまうことによって皮膚の状態をさらに悪化させてしまう、犬にとっては非常に厄介な皮膚炎です。
他の犬に移ったり人間に寄生することもあるので、まずは犬に寄生しているヒゼンダニを退治することが大切です。
治療としては、駆虫剤の使用によってヒゼンダニを退治し皮膚の炎症を抑える治療も同時に行います。
「毛包虫症」はアカラス症、ニキビダニ症ともよばれる、寄生虫による感染症です。
毛包虫はもともと犬の皮膚に常在しているダニですが、病気になったりして免疫力が落ちた時に増殖して痒みの症状を起こすようになります。
疥癬症と同じで駆虫剤を使用して毛包虫の除去をしますが、病気ゆえに免疫力が落ちていることがあるので、病気の治療を同時に行う必要があります。
皮膚疾患によるもの
アレルギー、ノミやダニなどの原因以外でも皮膚炎が起きることがあります。
その原因として、犬の皮膚の中に潜伏している菌を挙げることができます。
犬の免疫力が落ちたり、ノミやダニに噛まれて皮膚が弱っている時に痒みや皮膚炎などの症状が起きます。
「細菌性皮膚炎」は犬の皮膚の中にいる常在菌が増殖することによって感染し、痒みや炎症を引き起こします。
ひどくなると化膿してしまうことも多いやっかいな皮膚炎です。
治療としては抗生物質を投与することを必要としています。
アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患と同時にかかってしまうと完治に時間がかかることがあるようです。
「真菌性皮膚炎」は犬の皮膚に潜伏しているカビによって引き起こされる皮膚炎です。
皮膚のバリア機能によって抑えられているカビの感染ですが、免疫機能の低下やその他の原因によって皮膚のバリア機能が弱くなるとカビが発生します。
治療は長期化しやすい傾向にあり、数か月かかると言われています。
「漏症(シロウショウ)」はマラセチアという菌が活発化することによって起こる皮膚炎で、マラセチア皮膚炎とも呼ばれます。
症状には2つのタイプがあり、1つ目は皮膚が脂っぽくなってべたついたフケが出て痒みも伴うものと、もう1つのタイプは乾燥したフケが出て皮膚がカサカサになるものがあります。
症状に合わせて犬用のシャンプーを変えたり、ドッグフードの種類を変えて対策ことがあります。
「膿皮症(ノウヒショウ)」はブドウ球菌という犬の皮膚に常在している菌が大発生して起きる皮膚炎です。
小さな発疹から始まりますが、だんだんと大きな発疹にかわってそれがどんどん広がっていきます。
そのままに放っておくと、たくさんの穴が開いたり、膿から悪臭が発生するようになる危険な皮膚炎です。
抗生剤を飲ませて治療することが必要になります。
また殺菌性の強いシャンプーの使用や保湿剤によって皮膚のバリア機能を高める必要もあります。
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