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なにやら不思議な画像です。グレーの正方形の中に64個の半球が並んでいます。すべての半球は膨らんで見えるように描かれています。なぜそのように見えるかというと、脳が、この画像から、これらの半球は膨らんで見えるんだという情報を受け取っているからなのです。そして、その情報によって、私たちは膨らんでいる半球を見ているのです。
この画像をひっくり返す(さかさまにする)と、どのように見えると思いますか。思わず、「なにコレ!」と口にしてしまいそうになります。先ずは試してみてください。
グレーの正方形の中に膨らんで見える半球が描かれています。この画像をひっくり返して(逆さまにして)みてください。
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ひっくり返すとこんな画像が見えるはずです。この画像を実際に印刷して確かめることもできます。
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いかがでしょう。「なにコレ!」と思わず言ってしまいませんか。膨らんでいた半球が引っ込んだ半球になっています。決して引っ込んだ画像を新しく作っているわけではありません。
同じ半球が、膨らんだり引っ込んだりするのはなぜでしょうか。
-半球が膨らんで見えたり、引っ込んだりして見える理由
私たちは、脳から目の前にあるものがどのように見えるのかという情報を受け取ることによってものを見ています。
脳は光は上から来ると考えています。最初に見た半球は上の方が明るく下のほうが暗くなっているので、光は上から来ていることになります。脳にとってはこれが正常な光の向きで、この画像を膨らんでいると認識します。ところが画像をひっくり返すと、上の方が暗く下の方が明るくなるので、光は下から来ることになります。光の向きが逆になったことにより、脳は画像の情報を正しく受け取ることができなくなってしまい、私たちに引っ込んだ半球を見せてしまうのです。つまり、私たちに錯覚を起こさせてしまうのです。
このように、光の向きが変わることによっておこる錯覚(錯視)をクレーター錯視といいます。
-クレーター錯視の画像をもうひとつお見せします。
1枚の画像の中に、飛び出している部分と引っ込んだ部分があります。こちらの画像は、中心部分が飛び出しています。
この画像をひっくり返すとどのような画像になると思いますか。
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画像をひっくり返すとこんな風になります。
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中心部分が引っ込んでいます。でも、これは錯覚です。半球自体はもとと同じものです。
色々なクレーター錯視の画像を見ていると、時間が立つのを忘れてしまいます。
クレーター錯視による画像はいかがでしたか。クレーター錯視は、1938年にフィンランドの心理学者であるK.von Fieandt によって発表されたそうです。
脳がだまされる錯視画像の種類はほかにもたくさんあります。実際には無いのに見えてしまう錯視画像、実際とは異なる色が浮かび上がってくる錯視画像などがあります。えっ!と驚いてしまうような錯視図形もお見せしたいと考えています。お楽しみにお待ちください。
(秒刊サンデー:わらびもち)