「オレってスイフト博士カモ?」の加茂 新氏の解説で贈るスイスポ丸ごと講座・4日目。エンジン(後編)。ターボ車ならではの利点として挙げられるのは「モアパワーが出しやすい」こと。ブーストアップなら30ps程度のパワーアップが可能。なんとタービン交換をすると60psアップも狙えちゃうのであ~る。磨くほどに光るのもZC33Sの魅力なのだ。




TEXT:加茂 新(KAMO Arata)

エンジンパワーももちろんだがトルクの太さがZC33Sの最大の魅力!!

ヘッドにタービンが直接取り付けられ、コンパクトにまとまったK14Cエンジン

エンジン講座(後編です)。今回は、エンジンのチューニングについて語っていきたいと思います。


さて、K14Cエンジンは、オートバックスやディーラーでも装着可能な交換用タービンもあるのが魅力のひとつ。交換用タービンは各社からいわゆるハイフロータイプが発売中です。


純正品同様にきちんとしたメーカー製作品で耐久性も問題なし。ECUデータを合わせ込めば約200psへのパワーアップも可能だ。ちなみに200ps程度ではコンロッドもピストンも、もちろんエンジン自体の強度もまったく問題ない。

HKSからGTⅢタービンが登場。ほかにもトラスト、ブリッツ、モンスター、アールズなどからオリジナルタービンがリリースされている

わずか200psと思えるかもしれないが、トルクは28kgm程度まで向上する。その状態でのトルクウエイトレシオでは34.6kg/kgm。これはWRX STIの35.6kg/kgmにも勝る数値だ。


ちなみにノーマル状態は41.5kg/kgm。フェアレディZ(Z34)は38.6kg/kgm、86/BRZは58.9kg/kgm、S2000は56.0kg/kgm。ZC31Sは70.1kg/kgm、ZC32Sは64.4kg/kgm。相当格上のスポーツモデルと同等の加速性能を持っているのだ。

車重をトルクで割った、トルクウエイトレシオの表がこちら。数値が小さいほど力強いということ。見てのとおり、スイフトシリーズでは圧倒的性能だ

このミルフィーユのようなものが水冷式オイルクーラー。内部でエンジンオイルとクーラントが熱交換をする構造になっている

そんな高性能なエンジンなのに、水温も油温も大した対策は必要なし。水温はいつでも100℃程度で収まり、油温は130℃近くなるが、そこで収まるので温度が高くなったらオイル交換をしていれば問題なし。シリンダーブロックに取り付けられた純正の水冷式オイルクーラーが相当の効果を発揮しているようだ。


ちなみにオイル容量は3.5ℓ程度でランニングコストも安心。指定粘度は5W-30とイマドキの低粘度オイルでないのは、ターボエンジンとしての保険だろうか。

燃費はWLTCモードで17.6km/ℓ。実際に都心で街乗りをしていると10~12km/ℓ。高速道路では15~17km/ℓくらいといったところ。さすがにハイブリッドカーには敵わないが、効率よくパワーとトルクを出すエンジンだけに、むしろ燃費はいいのだ。




発売当初、高回転まで回らないことが指摘された。メーターのレッドゾーンは6500rpmながら、なぜか6000rpmをちょっと超えたあたりでレブリミッターが介入。実質6000rpmリミッターなのだ。


6500rpmからレッドゾーンでメーターの盤面を製作し始めてから、やっぱりエンジンは6000rpmリミッターに下げたくらいしかそうなる理由が思い当たらないが……どうなんでしょう。

6000rpmリミッターとなると、たしかにヴィッツとかマーチとかの一番安いおばちゃんお買い物グレードのレブリミットくらいだが、ターボエンジンとしては高回転まで回ってもメリットはなし。実際、1500rpmも回っていれば充分ブースト圧がかかるので、NAエンジンよりも遥かに下から使えるので使える幅の広さとしてはむしろ高回転型NAエンジンよりも広い。


ミニサーキットでも3速でコーナリングするのがベストなほどで、回転数的には低いがエンジンの抑揚があり、官能的な回転の高まりを感じでシフトチェンジを6000rpmでする感じ。


走って楽しくない低回転型ターボエンジンではないのだぞ。

高回転型NAエンジンから真逆のキャラクターのエンジンにスイッチしたZC33S。


それによって普段乗りではトルクフルな楽さを手に入れた。サーキットではライバルはランエボ&インプレッサであり、86/BRZは格下であるほど。そんな魅力に溢れたエンジンがK14Cなのだ。【明日に続く】

情報提供元: MotorFan
記事名:「 スイスポエンジン論② 高回転型NAエンジンから真逆のキャラクターのエンジン、K14CにスイッチしたZC33S【連載|スズキ・スイフトスポーツを愛しすぎた加茂からのラブレター④】