【ソフトバンク】引退決めた和田毅「悔いのない野球人生」最後のダイエー戦士、最後の松坂世代
さらば、最後のダイエー戦士。ソフトバンクは5日、和田毅投手(43)が今季限りで現役を引退すると発表した。日本シリーズ終戦から2日後で、引退表明と会見を同日に行う電撃発表。たび重なる故障で5年前から引退が脳裏によぎり、今年の7月に決断を下した。NPB最後の「松坂世代」とも呼ばれたレジェンド左腕が、ユニホームを脱ぐ。今後については未定とした。
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午後5時1分39秒。和田が、本拠地・みずほペイペイドームの引退会見場に足を踏み入れた。笑っていた。「うわ、いっぱいいる」が報道陣への第1声だった。22年間のプロ野球人生にピリオドを打った43歳に、悲壮感はなかった。
現役引退が頭に浮かんだのは、5年前の19年。「5年前ぐらいから肩の痛みと戦いながら投げていた。18年は投げられずに。19年はできたんですけど、その年からこの5年間ですかね」。徐々に「ホークスで、選手としての役割というのはだんだん終わりを迎えているのかな」と思い始めた。引退の意思を固めたのは、今年の7月だった。
24年は苦しい1年だった。本拠地の開幕投手が決定しながら、足の指のマメなどで出遅れ。今季初登板から3試合は2勝0敗、防御率2・12と奮闘したが、その後は2試合連続4失点で7月6日に2軍再調整を通達された。左膝に痛みを覚えたのも同時期だった。「決断したからかは分からないですけど、体がどんどんボロボロになってきている」と感じた。引退後は「選手じゃない立場でホークス、そしてプロ野球界に貢献できるといいますか。勉強をする時間にあてたい」という思いがあり「その比率が(現役続行を)完全に上回ったので。今年は」と明かした。
最後のダイエー戦士であり、NPB最後の「松坂世代」でもあった。今季は2勝2敗、防御率3・76。9月は中継ぎに配置転換されてプロ初ホールドも記録したが、ポストシーズン前に左内転筋の肉離れで離脱した。「僕らの同世代も自分が最後ですし、ダイエーの選手としても最後。寂しい気持ちはあります」と心境を明かしつつ「悔いのないと言いますか。やり残したことのない野球人生だと自分では思っています」と晴れやかな表情を見せた。
球団は来季も契約する方針だったが、和田は引退を決断。今後は「ゆっくり休みながらぼんやり考えていきたい」と未定を強調した。本人の意向で、引退試合やセレモニーは来年3月のオープン戦になる可能性がある。引退表明と会見を同日に行う電撃発表。日米通算165勝のレジェンドが、ユニホームに別れを告げる。【只松憲】
▽ソフトバンク小久保監督「まず、22年にわたる長い現役生活お疲れさまでした。1軍監督としてスタートした年に、一緒に優勝を目指して戦えたことはうれしく思います。それと同時に毅との最後の年になってしまいましたが、これから始まる毅の第2の人生の出発を応援しています」
▽ソフトバンク王球団会長兼特別チームアドバイザー「とにかく投手としての22年間っていうのは本当に素晴らしいよね。日米通算165勝はすごいですね。本当によく頑張ったと思いますよ。彼の生きざまっていうのは若い選手たちにもずいぶんお手本になったんじゃないかな。本当に長い間お疲れさまでした。第2の人生を頑張ってください」
▽阪神小谷野打撃チーフコーチ(同じ松坂世代)驚きしかない。寂しい。大学時代、彼から打ったおかげで全然無名だった自分がプロ入りできた。トップで長く走ってくれたから僕らの世代がいまだクローズアップされている部分もある。やっぱり彼はすごかったんだなと思う。