一塁でノックを受ける阪神井上(撮影・前田充)

挑戦の秋だ。みやざきフェニックス・リーグに参加していた阪神井上広大外野手(23)が29日、甲子園での秋季練習に合流。一塁守備に就いた。約2カ月前にファーストミットを準備。積極的な姿勢に藤川球児監督(44)も「魅力的な選手になる」と絶賛した。プロ5年間で1軍での一塁経験はゼロ。出場機会を増やすべく、新たなポジションへ果敢にチャレンジする。

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フェニックス組が合流して総勢42人が甲子園に集結した。20人の野手陣がぐるりと囲み、指揮官の言葉で練習スタート。シートノックでは1つのポジションに4人が入るなど、大にぎわいのグラウンド。藤川監督はじっと見つめる視線の先には、一塁で声を出して白球を追う井上の姿があった。

指揮官は一塁に挑戦する若虎の姿勢に太鼓判を押した。「また魅力的な選手になるんじゃないですかね、そういう気持ちがあれば」と貪欲さを絶賛した。自身も先発、中継ぎ、抑えと経験してきた。秋季練習だからこそ、可能性を広げることができると説く。「この時期しか逆に言うといろんな兼務はできない。選手のキャリアを通じて見ると複数ポジションをやっている選手の方が実は長かったり。選手の可能性を狭めないのがすごく大切なのかな」。出場機会を増やすため、藤川監督も背中を押した。

これまで1軍での一塁経験はない。阪神の一塁は今季130試合を守った大山が主戦場。だが、外野も森下や前川、野口らとの激しい争いが待ち構える。「ゲームに出られる可能性があるのであれば、いろんなところを準備していきたい」。ウエスタン・リーグでは今季、25試合で一塁を守り、28日までのフェニックス・リーグでも3試合に「4番・一塁」で出場。高卒5年目を終え、新たな挑戦を決意した。

ファーストミットは約2カ月前に準備。3年連続で自主トレをともにしている巨人岡本和が使用しているモデルで、選んだ理由は「ゴールデングラブとってるので」と明解だ。三塁で2度、ゴールデングラブ賞を受賞した力も借りるつもりだ。

今季はプロ初アーチを含む3本塁打を放ったロマン砲。複数ポジションをこなし、出場が増えれば、打線全体の重みも増す。一塁は「打球が速い。とれなかったときは体で止めるくらいの気持ちでやっていけたら」と気合十分だ。23歳の挑戦が新たなチームを熱くする。【村松万里子】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】一塁挑戦の井上広大に「魅力的な選手になる」藤川監督が絶賛 一塁ミットは誰モデル?