スノーボードの鬼塚雅選手(星野リゾート)は、北京五輪に「今度こそ」の強い思いを込めた。世界選手権は16歳だった2015年にスロープスタイルで優勝し、昨年はビッグエアで3位。賞金大会のXゲームズでも優勝するなど数々の実績を積み上げた。 しかし、五輪ではうまくいかなかった。平昌大会では、スロープスタイルは強風の影響を受け19位に沈み、ビッグエアも8位。全く力を出し切れなかった。さらに、今回の北京も重圧からか最初の種目、スロープスタイルはまさかの予選落ち。「今は何も考えられない」。ショックを受けて涙をこぼした。 ただ、これで終わるわけにはいかない。5歳で競技を始め、母美代子さんのサポートを受けながら、海外遠征なども重ねて世界トップクラスになった。五輪のメダルはそんな母娘の悲願でもある。14日の予選では3回ともジャンプを決め5位で決勝に進んだ。「予選を通れてよかった」。五輪の嫌なイメージも少しは拭い去られたようだった。 北京に向けては進化を求め、前回と違う手応えもあった。「未熟な部分が多かったけど、4年かけて成長でき、たくさん変わった」。 スクワットなどのトレーニング量を増やして大幅な筋力強化を図った。ボードも変えた。それほど形状が違うわけではないが、平昌大会後に別メーカーのものに試しに乗ったところ、滑り出しが全く違った。日本代表の西田崇コーチも「こんなに変わるんだと驚いた」と振り返るほどだった。 トレーニングの成果とボードの加速が良くなったことでジャンプの飛距離も伸びた。これが技の難易度アップ、安定感にもつながった。本番でメダルは獲得できなかったが、難しい技で思い切り攻めた結果だった。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕スノーボード女子ビッグエア決勝、鬼塚雅の2回目=15日、北京 〔写真説明〕スノーボード女子ビッグエア決勝、鬼塚雅の3回目の演技=15日、北京 〔写真説明〕スノーボード女子ビッグエア決勝、3回目の演技で転倒する鬼塚雅=15日、北京