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世界的アーティストのゴージャスなライブ会場を舞台にした予測不能のスリラー『トラップ』が10月25日より公開。本作を手掛けたM.ナイト・シャマラン監督のインタビューが到着した。本作の撮影方法や、二面性を持つ主人公がもたらす作品のテーマなどについて語られている。
愛する娘に同行して“レディ・レイヴン”のアリーナライブへとやってきたクーパーは、指名手配中の切り裂き魔という別の顔を持っている。しかし実は、厳重な警備体制が敷かれたこのライブ全体が、クーパーを捕らえるための“罠”だという話を耳にしてしまう。その瞬間からクーパーは、何も知らない娘に対する“良き父親”の顔を守りながら、この場所から脱出するという不可能に近いことを成し遂げなくてはならなくなる。
「私は映画の作り⽅を、⾃分⾃⾝の再発⾒、トーンの再発⾒、ジャンルの再発⾒だと考えている。それが私をワクワクさせる。そのために、私は常に何かしら違ったやり⽅を模索している」と語るシャマラン監督。『トラップ』の着想について、「⾳楽を題材にしたスリラー映画はできないだろうか」と考え、「⽗と娘がコンサートに⾏き、コンサートと、そこで起こる恐ろしい事件とを組み合わせたストーリーを作った。こうして『トラップ』は⽣まれた」と説明する。
アリーナライブの空気感とスリラーが同居し、かつてないムードを醸し出す本作では、オンタイム進⾏するライブ撮影に徹底的にこだわったという。
シャマラン監督は「私はCGIを使うタイプではないので、ライブをやると決めたとき、みんなに“本物のライブをやって撮影するんだ。ごまかさない”と⾔い続けた。というのは、私は監督として視点を重視したいからだ」と語り、「クーパーと娘のライリーが話している瞬間にスクリーンに映っているステージは、その瞬間に実際に起きていることなんだ。本物だからリアルな映像になる。CGI ではなく、後から考えて加⼯したものでもない。 テイクごとにスクリーンに映っているライブを⾃分で演出することになった。スリラー映画を撮影している最中に本物のコンサートを開き、それをやり遂げるのは⾄難の業だ。信じられないほど挑戦的だったけれど、とてもやりがいがあった」とその難しい撮影を振り返る。
シャマラン映画のもう⼀つの秘密は、デジタル撮影が当たり前の時代に、制約の多いフィルム撮影にこだわっていること。
「フィルムは化学薬品を使うから、実際に有機的な反応が起こる。ある意味、⽣きている。フィルムは、デジタルにはできない⽅法で⼈⽣や経験を捉えることができる。フィルムは⼈⽣を表現しているように感じる。フィルムは、その限界の中で、観客との関係を築き、それが⽣きている表現を⽣み出す。フィルム撮影という制限がある中で仕事をすることが、最⾼の作品を⽣み出す⽅法だ」とその理由を明かしている。
“娘思いの朗らかな父親”と“冷酷無比な切り裂き魔”という2つの顔を持つクーパーを、恐ろしくも惹き込まれるキャラクターとして演じきったのは、ジョシュ・ハートネット。
シャマラン監督はキャスティングについて、「私は、⼈⽣においてちょうどいい位置にいて、本当のリスクを取ることを厭わない⼈物を探した。挑戦的な映画なら、観客は珍しくて凄いものを観ることができるし、それは映画を観に⾏く新しい理由になる」「ジョシュ・ハートネットはまさに、この表現にぴったり当てはまる⼈物だった。彼は⾮常に思慮深く、哲学的な男だ。彼に会ったとき、彼は私の⽬を⾒つめた。彼は何でもする準備ができていると思った。彼はエネルギーに満ちていて、電撃を感じさせた。クーパーのような特別な役を演じるには、すべてを受け⼊れ、リスクを取って全⼒で勝負する準備ができている俳優が必要だった」と、彼に会ったときの印象を振り返り、「観客にとって、この映画を観る⼤きな理由の1つは、ジョシュの素晴らしい演技を観ることなんだ」とその熱演に太鼓判を押した。
また、クーパーが持つ二面性は、観客の深層心理に訴える本作の重要なテーマだという。
「誰しも、複雑でダークなキャラクターに魅了される。私たちの中にはダークな⼈物が住んでいる。それは現実だ」
「現実に存在する怪物は現代にもいる。ダークなキャラクターを描いたり、ダークなキャラクターを演じたりするのは魅⼒的だ。それは現実の経験とつながっているからなんだ。私にとって重要なのは、極端に恐ろしいことをするキャラクターの中に、ほんの少しでも⼈間らしさを⾒出すこと。それは挑戦的でおもしろいことであり、その⼈間性を⾒つけることが観客の⼼に響くんだ。なぜその⼈物は恐ろしいことをするのか、その⼈間的な理由を⾒つけることで、私たちはお互いに共感し合えるようになる。お互いをもう1⼈の⾃分として⾒ることができれば、その認識はとても感動的なものだからだ」
『トラップ』
10月25日(金)ロードショー
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