はじめに
与論島には、らしさを存分に生かした超絶きれいな海を臨むカフェがいくつもあります。しかもおしゃれ度が高くて、美味しいところ! 他の離島と比べても、行きたいカフェの条件が全て詰まったような店舗が多く、個人的には「カフェ島」の印象です。なんなら、カフェ巡りをしに与論島へ行ってみる!?
Text&Photo:とまこ
崖ギリギリの際どい絶景「シーサイドガーデン」で、イギリス仕込みのハンバーガーをどうぞ
とにかく立地がすごすぎて! 一度座ったら、もう立ち上がるなんて困難です。だって、席から眺める景色がこれですから。
ほぼ崖の上そのまんまからの迫力絶景! どういうことかって、こういう立地なんです。
写真真ん中の、赤いポツンが「シーサイドガーデン」です。なるほど納得の海ぎわっぷりでしょう。そのうえここは与論の東海岸。リーフが広く穏やかで、水色度の高い海に面しているんです。尊い場所だなぁとさえ思えてきます。
さらに席がハンモックときたものです。ゆーらゆーら、気分はまるで波の上……できすぎにもほどがあります。与論の“ここちいい“を全部集めたようなシチュエーションに、惚れ込まないはずがありません。
他にも、普通の椅子とはいえ、崖ギリギリに置かれた絶景席もいくつかありますよ。あなたが行くときも空いてるといいですね。オープン時間の10時に合わせていくのはどうでしょう?
ここでいただけるのが、イギリス人のご主人が仕込んだ「アイバンズバーガー」(600円)。手作りのパテがめちゃくちゃジューシーで、これぞ肉汁の嵐! 与論のパン屋さんで焼かれたバンズのふわふわ感も最高で、相性ばっちり。絶景も味も、まさにクセになる、強力おすすめスポットです。
◆シーサイドガーデン
住所:鹿児島県大島郡与論町古里2019
定休日:不定休
営業時間:10:00~17:30
森と同じ高さのテラスがメルヘンすぎる、手作りケーキの「ろんろなーる」
ご覧ください、森の高さと目線が同じ! その向こうに青い海、なんとも童話チックなテラスでしょう。ここ、ケーキ屋さん「ろんろなーる」のカフェスペースです。このメルヘンな空間でお茶するなんて、贅沢すぎてどうしましょう。しかもこちらは西向き。わたしが訪れたときは日の入りが閉店の18時の後だったのですが、日の短い冬ならば、このテラスで太陽が沈んでいくのを見守ることもできますね。最高にうらやましいです。
カフェスペースはテラスの下にもあります。こちらは南国の木にうずもれて、ジャングルの中にいるみたい。テラスも屋内も自然との融合っぷりがお見事で、ここを作った方の、与論への愛の深さが手に取るようにわかります。それで聞いてみたんです、この建物はどういう方が作ったのか。
「自分たちで作ったんですよ」
なんとまぁ、移住してきた神奈川出身のオーナーさんご夫婦の作とは!!
「ろんろなーる」のケーキは、東京のカフェでチーズケーキを作っていらした奥様の手作りです。ショーケースに並ぶケーキは、どれもおしゃれで美味しそう! 選ぶのは至難の技です。気さくな奥様とおしゃべりしながらじっくり選ぶ時間は、癒しそのものでした。
さて、わたしが選んだのは「カシスショコラ」(380円)。甘酸っぱいふわふわのクリームと、ほろ苦くてしっとりしたスポンジの組み合わせが絶妙すぎて、おかわりしたくなりました。
◆ろんろなーる
住所:鹿児島県大島郡与論町那間2644-1
定休日:月火
営業時間:10:30~18:00
人類をダメにする? 洗練されたガラス張りの「くじらカフェ」
こんな席に座ってしまったものだから、一瞬でダメ人間になりました。「もうここでいいよ、動くのやーめた、ずーっと座ってよ」心の中で声高に言っています。そりゃ、屋外の席より、海との距離は開きます。波の音は聞こえません。でもねぇ!
独り占め急の大パノラマで海を眺めながらも、快適な温度と、広々したスペースと、お尻に優しい適度な柔らかさの座り心地を与えられてしまったら……全てを放棄してダラダラするに決まっているではありませんか。そう、ここ「くじらカフェ」は、人類をダメにするカフェです。
このときいただいたのは、手作りの「ドラゴンフルーツとココナッツのマフィン」(350円)。エキゾチックなココナッツの甘さがドラゴンフルーツの酸っぱさを包み込んで、華やかでハッピーな味が広がります。甘さ控えめで後味がすっきりしているのも大好きなポイント。他にも「与論のハーブとレモンのマフィン」や「島有泉(与論の焼酎)とレーズンのマフィン」など、島由来の食材を使ったマフィンがたくさんあって、すっかり全制覇したい気持ちになっています。
◆くじらカフェ
住所:鹿児島県大島郡与論町立長1622-3
営業日:水木土(祝日除く)
営業時間:10:00~16:00
与論名物もずくそばの「蒼い珊瑚礁」
最後に、食べ物重視で、さらに絶景もついてくる食事処をご紹介いたします。与論を訪れたら、絶対食べていただきたいので!
これが、与論名物もずくそば。写真のメニューは、大根おろしとシラスをたっぷりのせた「大根おろしそば」(700円)です。
もずくそばは、小麦粉にもずくを練り込ませた生地で作ったおそばで、いわゆるそば粉は入っていません。もっちりして、少しヌルッとする食感がたまらないんです。冷やしメニューの場合は、生のもずくもドッサリのっていることが多くて、これがまた食感が複雑になって最高で! それに、もずくをたっぷり摂れるからいかにも美容によさそうでしょ。食べるのが倍に楽しくなります。
しかもこの窓の景色を眺めながら食べられるって、素敵でしょ。前にあるのはパラダイスビーチで、ウミガメが産卵のためにやってくるところでもあります。
写真は窓のすぐ外から見たビーチです。ぜひ食後に建物の周りを歩いてみてくださいね。
ところで、もずくそばの乾麺は、お土産にしたらきっと喜んでもらえると思うんです。スーパーやお土産屋さんなど、あちこちで同じパッケージの同じもずくそばが売られていますが、一番安く買えるのが「蒼い珊瑚礁」。なぜってここが製造元なんですよ。しかも空港がすぐそこという立地なので、帰りがけに寄ってもいいかもしれません。
◆蒼い珊瑚礁
住所:鹿児島県大島郡与論町立長637-1
営業時間:10:00~19:00(LO18:30)
おわりに
与論島ならではの絶景を存分に堪能できるカフェが多くて楽しいでしょ! そして田舎なのにこのオシャレ度、ちょっと意外でしょ? なんなら、与論を訪れる理由が“カフェ巡り”でもいいくらいです。あなたもぜひ、目から口から緩みにいらして下さい。
◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド』(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!』(幻冬舎)、『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)など既刊12冊。2018年5月14日には奄美観光大使に就任。