星野リゾートが長野・軽井沢にオープンしたホテル「星野リゾート BEB5 軽井沢」がTwitterなどのSNS上で話題沸騰している。このホテルの特徴は、
・軽井沢という立地やブランド
・お洒落な内装や共同スペース
・1人5,000円台で宿泊可能な利用しやすい価格
といったところらしい。新しいリゾートホテルのカタチを探りに、実際に宿泊してみたところ、様々な発見をすることが出来た。
東京から新幹線で約1時間!アクセスのしやすさが魅力
東京から軽井沢までは、思ったより近い。北陸新幹線で約1時間。自由席で片道5,000円ほど。高速バスも選択肢に上がるが、この新幹線の手軽さと速さはやはり魅力だ。
軽井沢から「BEB5 軽井沢」までは、タクシーか路線バス、しなの鉄道中軽井沢駅から徒歩を利用できる。車で10分ほどの距離なので、そこまで移動費も高くつかない。
しかし、こんなに気軽にアクセス出来るにも関わらず、標高は1,000メートル程度で、首都圏と異なる豊かな自然を堪能出来る、リラックスするのに優れた環境。古くから避暑地として人気なのも納得できる。
軽井沢の雰囲気を存分に堪能できる「BEB5 軽井沢」
「BEB5 軽井沢」に足を踏み入れて、まず、緑豊かで都会の喧騒と離れられる軽井沢の魅力を、施設にいながら楽しむことが出来ると感じた。
竣工から間もない建物は大きなガラスを採用。1階の多くを占める共同スペース「TAMARIBA」にいれば、ガラスを通して、庭の緑豊かな樹木を眺めることが出来る。スマホやPCのディスプレイまみれな日々から離れてきたことを実感させられる。
建物には木材が多用されており、その色が建物を有機的に彩っており、客室も同様だ。この施設の多くを占める仕様「YAGURA Room」は、ロフト形式。
下層のソファはエキストラベッドとして利用可能で、3人まで宿泊できる。決して広いとは言えない客室だが、空間を暖かみを感じながらのびのび、そして層構造によって広々と使うことができるように工夫されていると感じた。
「語りながら泊まるカフェ」
確かに、この施設の魅力的な要素は多々ある。しかし、この「BEB5 軽井沢」が若者の間で話題になっているのは、「今までのホテルと違うところ」があるからだろう。
「BEB5 軽井沢」が活気に満ちるのは、夜だ。共同スペース「TAMARIBA」には、多数の宿泊者が集う。自由に利用できるボードゲームで和気あいあいとしている人々もいれば、併設のカフェ(24時間営業)や、近くのコンビニエンスストアで手に入れたのだろうか、お酒やおつまみで話に花を咲かせる人々もいる。
都会の喧騒から離れる「非日常」もあれば、違う「非日常」もある。この場合の非日常は、終電や家の心配をせずに語り合えることなのかもしれない。特製の卓球台やボードゲームを楽しみながら、他愛のない会話をするのもひとつの「非日常」、踏み込んで言えば「贅沢」とも言えそうだ。
この宿のメインターゲットは20~30代の若者という。若者の旅行離れというトレンドは否定できない。旅行を好む人々向けの宿泊施設は当然あるが、この施設は、そういう既存の施設のコンセプトから離れた「旅行にあまり行かない人も楽しめる」ホテルだろう。
SNSなら365日24時間連絡を取ることができるが、文字で伝わらないニュアンスがある。人と人が集うことで生まれる温もりは、SNSでは伝わりにくい。ここ「BEB5 軽井沢」は、その温もりを求める人々が、「夜な夜な」集まっているのかもしれない。
高原の朝を爽やかな朝食とともに
個人的には、長野県の高原地帯の魅力は朝にあると思う。朝霧や朝露の下りる雰囲気は、都会ではあまり味わえない。澄んだ少し冷たい空気は、夜ふかしをしてしまっても優しく目覚めさせてくれる。
夜型の人々の朝を、「BEB5 軽井沢」の朝食が優しく迎えてくれる。3種の朝食から選べ、おすすめは「羽根つきフレンチトースト」。まろやかなフレンチトーストに、チーズの羽根の食感がアクセントを加える。
筆者は美味しい朝食を楽しみに早起きしたが、夜ふかしして寝坊してしまっても、朝食の代わりにアップルパイなどのカフェのメニューの提供が受けられるという。ホテルという格式張る要素をなるべく排除し、ルーズに過ごしてほしいという狙いだ。
「軽井沢星野エリア」の宿泊特化型ホテル
この「BEB5 軽井沢」と、「星のや軽井沢」「軽井沢ホテルブレストンコート」という2つの趣きの異なる宿泊施設が集う地域を、星野リゾートは「軽井沢星野エリア」としている。「BEB5 軽井沢」はその中の宿泊特化型ホテルという位置づけだ。
エリア内には、昼食・夕食が摂れるレストランなどが集まる「ハルニレテラス」や、「星野温泉 トンボの湯」もある。「BEB5 軽井沢」では、朝食のみの提供だが、徒歩や、無料シャトルバスで周遊できるエリアで1日過ごすことが出来る。
既存の2宿泊施設によって培われていた飲食・入浴施設をもってすれば、決して広くはないけども快適な施設を提供すれば、十分に楽しむことが出来る。「BEB5 軽井沢」は相場より安めの料金で客室を提供しているが、この攻めの姿勢から来ているはずだ。
宿泊料金は、宿泊者全員が35歳以下のグループならば、1室素泊まり税抜15,000円の均一料金(10月1日から)。1人あたり約5,000円だ。予算に応じて食事をカスタマイズ出来るのが嬉しい。その他のプランも、価格を抑えているのが特徴だ。
価格と「リゾート性」の両立
今回、実際に「BEB5 軽井沢」に滞在し、非常によく練られたコンセプトがあると感じた。この施設のターゲットを若者に設定し、ターゲットがどのような過ごし方をしようとするのか分析した上で、満足できるような価格と設備を両立しているのが特徴だろう。
LCCと似たようなコンセプトだとも感じた。航空会社に一番必要なものは、安全に旅客を目的地に届けること。対して、リゾートホテルに最も必要な要素は、利用者が快適に楽しめること。若者に利用者のターゲットを絞ることで、必要かつ十分に設備を整えられている。
この「BEB5 軽井沢」の滞在では、十二分なパフォーマンスがあると感じた。今回は取材で滞在したものの、プライベートでも再訪したいと強く思った。
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