NVIDIAは4月13日、最新のNVIDIA DRIVEソリューションを使い、AIを活用した次世代の自律走行車を生み出そうとしている大手輸送関連企業が増え続けており、Volvo、ZooxおよびSAICも本ソリューションを導入することになったことを発表した。
次世代の自動車、トラック、ロボタクシー、および新エネルギー車(NEV)への採用が拡大しているのを受け、オートモーティブ関連企業からのNVIDIA DRIVEの受注高が今後6年間で80億ドル以上に達する見込みだ。
NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン・フアン氏(Jensen Huang)は、次のように述べている。
「輸送業界はテクノロジ業界になりつつあります。驚異的な自律走行テクノロジとAIテクノロジが搭載されるだけではなく、自動車は、ソフトウェア主導型のサービスを提供する、プログラマブルなプラットフォームとなり、輸送のビジネスモデルが再構築されるでしょう。数々の採用決定は、NVIDIAが世界最大級の、最も影響力のある業界の1つと連携し、モビリティの未来に革新をもたらしていることを表しています」
Volvo CarsとNVIDIAがコラボレーションを強化
Volvo Carsは、NVIDIA DRIVE Orinを搭載した次世代モデルを構築し、NVIDIAとの過去数年間の密接な協力関係をさらに強化すると発表した。DRIVE Orinテクノロジを活用した、最初の自動車となる、次世代のVolvo XC90は、来年公開される予定。
NVIDIA DRIVE Orinの高性能でエネルギー効率に優れた演算能力が、Volvo CarsとZenseact(Volvo Carsの自律走行用ソフトウェア開発会社)によって社内開発されたソフトウェア、LiDARを含む先進のセンサー群、およびステアリングとブレーキのバックアップシステムと組み合わされることになる。その結果、Volvo Carsが生み出すインテリジェントな車両は、より安全で、よりパーソナライズされ、持続可能になる。さらに十分にプログラマブルかつOTAでのソフトウェアアップデートを通じて永続的にアップグレード可能であるので、Volvo Carsの次世代車両は日々改良されていく。
ロボタクシーがDRIVEを搭載
全世界での移動距離は1年間に数兆マイルにのぼり、この距離がサービスとして提供される比率がどんどん増えている。これに貢献しているのが、NVIDIA DRIVEをベースにして開発を行っている、以下のようなロボタクシー会社である。
Zooxは先頃、都市部で日常的に走行することを想定した、専用のロボタクシーを発表した。この車両は、NVIDIA DRIVEを活用、双方向性機能を備えた最初のロボタクシーの1つであり、インテリジェントな次世代の輸送を実現している。
中国の大手MaaS(mobility-as-a-service:サービスとしてのモビリティ)プロバイダーであるDiDiも、自律走行テスト用車両すべてにNVIDIA DRIVEを採用すると発表した。これらのロボタクシー企業は、Pony.aiやAuto Xといった、すでにNVIDIA DRIVEプラットフォーム上で開発を行っている企業のリストに加わることになる。
NEV革命を主導
NVIDIA DRIVE Orinを使ってソフトウェアデファインドの車両を開発し、早ければ2022年よりAI機能を継続的に更新する計画を発表している自動車のスタートアップ企業やEVブランドが、ここ数か月で増えている。以下は、その一例である。
・中国最大の自動車メーカーであるSAICは、2つのEVブランドに先進のAI機能を搭載する準備を進めている。次世代車両のR Autoファミリーでは、NVIDIA DRIVE Orinを活用し、自動運転のための認識、センサーフュージョンおよび予測をリアルタイムで行う、先進のR-Techインテリジェントアシスタントを搭載する予定。Alibabaとのジョイントベンチャーである、ウルトラプレミアム車のIMブランドでは、NVIDIA DRIVE Orinを搭載した長距離対応のEVを提供し、セダンとSUVでは自律駐車や他の自動運転機能が備わる予定。現在、セダンの受注はすでに開始しており、SUVの受注は2022年に開始する予定。
・ 世界的なインテリジェントモビリティ企業であるFaraday Futureは、フラッグシップの超高級モデルであるFF 91 EVにNVIDIA DRIVE Orinを搭載し、2022年の発売時には先進的な高速道路自律走行機能と駐車および出庫の機能を確立しようとしている。それぞれ2023年と2024年に発売予定となっている、次世代の車両、FF 71とFF 81でも、NVIDIA DRIVE Orinが採用される予定。
・ベトナムの大手自動車メーカー、VinFastは、レベル2から3の自律機能を備えたインテリジェントEVのVF e34、 VF e35およびVF e36の大量生産を開始しようとしている。同社のプレミアムなEVモデルでは、NVIDIA DRIVE XavierからNVIDIA DRIVE Orinへとアップグレードする計画も立てられている。
・Nioは、4つのNVIDIA DRIVE Orin SoCを搭載した合計1000TOPSの処理能力を持つ、Adamという名前のスーパーコンピューターを同社のET7セダンに装備し、先進の自動運転機能を提供すると発表した。ET7は、2022年に中国で出荷が開始される予定。
・Li Autoは、NVIDIA DRIVE Orinを使用した次世代のEVを開発しており、この車両を2022年に出荷する予定。この中国の自動車メーカーの新しいEVは、一次サプライヤーのDesay SVと共同開発されており、先進の自律走行機能と航続距離の延長を特徴としている。
・ Xpengは、先進の運転テクノロジを同社のP7セダンで、すでに実用化している。昨月、同社は、NVIDIA DRIVE Xavierを搭載したP7車両の車隊を使い、自動運転によって6日間で国を横断するという偉業を達成した。Xpengでは、2022年にNVIDIA DRIVE Orinへのアップグレードを行う予定。
NVIDIA DRIVEを搭載したトラックが公道を走行
Eコマース商品への需要が高まっているなか、トラック業界は深刻なドライバー不足に苦しんでいる。NVIDIA DRIVEプラットフォームは、ジオフェンスで区切られたエリアや公道、高速道路で走行できる、安全で、完全な自律走行可能なトラックの開発を実現する。
NavistarはTuSimpleと連携し、NVIDIA DRIVEを活用して、レベル4までの自動運転が可能なトラックを新規に開発しようとしている。この米国メーカーのインテリジェントなトラックは、2024年までに生産が開始される予定。
中国最大のトラックメーカーであるFAWは、NVIDIA DRIVEプラットフォームを実装した自律走行トラックをPlusと共同開発している。このトラックは、今年後半に生産が開始される予定で、2022年にはOrinへのアップグレードが行われる予定。
Volvo Groupの一員であるVolvo Autonomous SolutionsもNVIDIAのエンドツーエンドのDRIVEプラットフォームを使って、自律輸送ソリューションと次世代のレベル4トラックの開発を行っている。