スバルの最新ボクサーエンジン、CB18型1.8ℓ直噴ターボを搭載するレヴォーグとフォレスターを710kmのロングドライブに連れ出した。能登半島からスバル本社(東京・恵比寿)まで、どちらがグランツーリスモの素養が高かったか? 両車の燃費も比較してみた。
スバルの1.8ℓボクサーエンジン、CB18型は最新技術を詰め込んだ意欲作である。現在、CB18型を搭載するのは、レヴォーグとフォレスターだ。
今回は、レヴォーグSTI Sport EX(車両価格409万2000円)とフォレスターSPORT(車両価格328万9000円)という2台のCB18型搭載モデルをロングドライブに連れ出した。
レヴォーグが積むCB18型もフォレスターのそれも、スペックは同一だ。
型式:CB18
形式:水平対向4気筒DOHCターボ
排気量:1795cc
ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm
圧縮比:10.4
最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
燃料供給方式:筒内直接噴射
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
1.8ℓターボ過給エンジンとしては最高出力は抑えめ。そのぶんをトルクに振り分けたトレンドに則った、ライトサイジング過給エンジンだ。
トランスミッションもスバル自慢のチェーン式CVTであるリニアトロニックで、こちらもCB18型に合わせた最新ユニットを組み合わせている。
ギヤ比:4.065~0.502
最終ギヤ比:3.900
ともに共通だ。
試乗車の装着タイヤは、ともにヨコハマのスタッドレスタイヤ、Ice GUARDだった。
サイズは
レヴォーグ:225/45R18 (外径660.2mm)
フォレスター:225.55R18(外径705.2mm)
したがって、エンジン出力、ギヤ比が同じでも100km巡航時のエンジン回転数はレヴォーグの方がやや高い。メーター目視で
レヴォーグ:1650rpm強
フォレスター:1550rpm
だった。
新しいリニアトロニックのノイズ対策が行き届いていることもあって両車とも車内はとても静か。エンジン回転数が高めになるレヴォーグの方がより静かなのは、ボディ剛性がレヴォーグの方が構造的に高くなっているからだろうか。
モード燃費の比較もしておこう
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
WLTCモード:13.6km/ℓ
市街地モード10.0km/ℓ
郊外路モード14.5km/ℓ
高速道路モード15.3km/ℓ
スバル・フォレスターSPORT
WLTCモード:13.6km/ℓ
市街地モード10.3km/ℓ
郊外路モード14.3km/ℓ
高速道路モード15.2km/ℓ
とほぼ同じだ。
エンジン出力、ギヤ比、そして車重(フォレスターSPORTが1570kg、レヴォーグSTI EXが1580kg)もほぼ同じだから当然と言えば当然だ。
レヴォーグはCB18エンジンだけだが、フォレスターではFB20型2.0ℓ水平対向4気筒(145ps/188Nm)+モーター(13.6ps/6.6Nm)のe-BOXER搭載モデルもある。こちらのモード燃費は
WLTCモード:14.0km/ℓ
市街地モード11.2km/ℓ
郊外路モード14.2km/ℓ
高速道路モード16.0km/ℓ
と少しCB18型より良好な数値だ。思いのほかマイルドハイブリッドとターボの燃費が拮抗しているのは、e-BOXER搭載モデルの車両重傷が少し重いから(Advanceで1640kg)とリニアトロニックのギヤ比が3.600~0.512で、少しレシオカバレッジが狭いからだろう(最終減速比は同じ)。
さて、スバルが大事にしている価値観に「グランツーリスモ」としての資質がある(と勝手に思っている)。
「500マイル・ア・デイ」
500マイル=804.7kmだから、今回のドライブは少し足りないのだが、WLTC燃費と燃料タンク容量の関係を記しておくと
■フォレスターAdvance(e-BOXER搭載モデル)
14.0km/ℓ×48.0ℓ=672km
■フォレスターSPORT/レヴォーグSTI Sport EX(CB18搭載モデル)
13.6km/ℓ×63ℓ=856.8km
とある。つまりe-BOXERでは「500マイル・ア・デイ」ができないのだ。
どうしてレヴォーグにe-BOXERを設定しないのか? という問いに、スバルのエンジニアは、「e-BOXERだと、バッテリーを搭載する関係で燃料タンク容量が少なくなってしまいます。そうすると航続距離が短くなってしまうしまうんです。レヴォーグはグランツーリスモですからね」と話していた。
果たして実燃費はどうだったのか?
同じエンジン、同じトランスミッション、ほぼ同じ車重だが、フィーリングはかなり違う。
簡単に言うと、「大らかなフォレスターとタイトなレヴォーグ」である。
ボディサイズは大らかなフォレスター方が全長が短い。
トータル700kmのドライブで燃費は車載の燃費計で次のような結果となった。
レヴォーグSTI Sport EX
トータル701.2km走って14.0km/ℓ 航続可能距離110km
フォレスターSPORT
710.8km走って13.7km/ℓ 航続可能距離 80km
となった。ほぼ拮抗している。
残りの航続可能距離と走行距離を足すと
レヴォーグSTI Sport EX:811.2km
フォレスターSPORT:790.8km
となる。
フォレスターは、初日の海岸で、砂浜でスタックしていた車のレスキューで少し余計にガソリンを消費してしまったから、500マイル=804.7kmに届かなかったが、それでもほぼ500マイル。
レヴォーグもフォレスターもグランツーリスモとしての資質は非常に高いことを再確認できた。
個人的なチョイスでは(価格は少し高いけれど)、レヴォーグ
STI Sportだ。どちらも長距離走っても疲れなかったが、シャキッと引き締まった走行フィール(エンジンもボディも)、そしてシートがいいレヴォーグを選ぶ(ただし、オフロードの走破性はフォレスターの方が頼り甲斐がありそうだ)。
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1570kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.4m
燃料タンク容量:63ℓ
エンジン
型式:CB18
形式:水平対向4気筒DOHCターボ
排気量:1795cc
ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm
圧縮比:10.4
最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
燃料供給方式:筒内直接噴射
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:63ℓ
トランスミッション:チェーン式CVT(リニアトロニックCVT)
WLTCモード:13.6km/ℓ
市街地モード10.0km/ℓ
郊外路モード14.5km/ℓ
高速道路モード15.3km/ℓ
車両本体価格○409万2000円
スバル・フォレスター SPORT
全長×全幅×全高:4625mm×1815mm×1730mm
ホイールベース:2670mm
車重:1570kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rダブルウィッシュボーン式
エンジン
エンジン形式:水平対向4気筒DOHC
エンジン型式:CB18
排気量:1795cc
ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm
圧縮比:10.4
最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
過給機:ターボ
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量:63ℓ
トランスミッション:チェーン式CVT(リニアトロニックCVT)
WLTCモード:13.6km/ℓ
市街地モード10.3km/ℓ
郊外路モード14.3km/ℓ
高速道路モード15.2km/ℓ
車両価格○328万9000円