ホンダ・オデッセイがビッグマイナーチェンジを行い、11月6日から発売が開始される。今回の変更の目玉は、その堂々たるフロントマスクだ。そして、待望のパワーテールゲートや流れる光に手をかざして開閉が可能なスライドドアといった新装備でライバルを追撃する構えだ。
TEXT●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)
厚みのあるボンネットと大型グリルで押し出し感のあるフロントマスクに大変身
ホンダ・オデッセイの現行モデルである5代目が登場したのは、今からちょうど7年前の2013年11月。従来のスポーティ路線から大きく方向転換し、超低床設計による広い室内やスライドドアの利便性を売りとした、よりミニバンらしいミニバンへと生まれ変わって話題となった。
そんなオデッセイにマイナーチェンジが実施され、11月6日に発売されたので、詳細をレポートしていこう。じつはマイチェンはこれが初めてではなく、17年にも一度エクステリアデザインを小変更している。だが、今回のマイチェンはもっとドラスティック。厚みのあるボンネットと大型グリルを備え、ひと目で別物とわかるフェイスマスクへと刷新されている。
新型オデッセイは従来より約70mm持ち上がっているというボンネットのほか、フェンダー、グリル、フロントバンパーが新開発され、車格をワンランクアップさせたような押し出し感を強調。中国の合弁会社である東風ホンダから販売されている「エリシオン」の塊感もイメージとして継承されているそうだ。
薄型ヘッドライトにはシャープなデイタイムランプやシーケンシャル発光のターンシグナルランプが採用され、リヤコンビネーションランプも薄型かつ水平基調のセパレートタイプへと生まれ変わった。
インパネのデザインも変更されており、より質感の高い加飾を採用。コンビメーターは7インチのフルカラー液晶パネルとアナログスピードメーターの組み合わせにあらためられている。
既存のオーナーからは収納類の不足を指摘されていたそうだが、助手席の前にリッド付きの小物入れ、運転席側に収納式ドリンクホルダーを追加することで改善を図った。ナビゲーションに関しては、従来が7インチのメーカーオプション、7インチおよび9インチのディーラーオプションという設定だったのに対して、10インチのディーラーオプション Gathersプレミアムインターナビへと一本化されている。
そして今回のマイナーチェンジの目玉とも言えるのが、ジェスチャーコントロール・パワースライドドアやハンズフリーアクセスパワーテールゲートといった、ドアまわりの先進ユーティリティである。実際の使い勝手に関しては別の機会にレポートするので、ここでは装備の概要のみ紹介していこう。
まず、ジェスチャーコントロール・パワースライドドアは、キーを携帯し、スライドドアの非接触センサーに手をかざしてそのまま横にスライドさせると、スライドドアが自動で開閉されるという新機能だ。ドアに直接触れることなく、センサー部に設けられたLEDの光に従って操作するだけでドアを開け閉めすることができる。
また、スライドドアにはドアが閉じたあとに自動でロックする予約ロックもホンダ初採用。他メーカーの採用例もあり、すでにポピュラーな存在となっているが、施錠するためにスライドドアが閉まり切るのを待つ必要がなくなるため実用的だ。
そしてテールゲートには、リヤバンパーの下に足先を出し入れするだけで開閉できるハンズフリーアクセスパワーテールゲートをグレード別に設定。こちらも目新しいという程ではないが、パワーテールゲートを開けたときの高さを任意に設定できるなど、新型ならではの付加価値を備えた装備といえるだろう。
安全装備に目を向けてみると、安全運転支援システムであるHonda SENSINGには、後方誤発進抑制機能が追加されている。文字通り、クルマの後ろに障害物があるにも関わらずアクセルを踏み込んでしまった場合、パワートレーン制御で急発進を抑制する機能だ。
パワートレーンはというと、ハイブリッド車のシステムは従来のSPORT HYBRID i-MMDからe:HEV(イーエイチイーブイ)へと名称変更したものの、仕組み自体に変更はない。
逆に少しややこしいのはガソリン車の方で、従来は同じ2.4Lながら「アブソルート」には直噴、それ以外のグレードにはポート噴射が採用されていた。新型は全車「アブソルート」に集約されたが、ガソリンエンジンはポート噴射のみの設定となり、ガソリン車の動力性能は最高出力175ps、最大トルク225Nmに統一されている。
従来の「アブソルート」のFF車は190psと237Nmだったのでスペックダウンとなるが、ポート噴射仕様のWLTCモードの燃費最良値が従来の12.6km/Lから12.8km/Lへと向上したことで、従来の「アブソルート」と同等の燃費性能を誇っている。
ホンダ・オデッセイ e:HEV アブソルート・EX(FF)
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4855×1820×1695mm
ホイールベース:2900mm
車両重量:1930kg
乗車定員:7名
最小回転半径:5.4m
燃料タンク容量:55L(無鉛レギュラー)
■エンジン
型式:LFA
形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1993cc
ボア×ストローク:81.0×96.7mm
圧縮比:13.0
最高出力:107kW(145ps)/6200rpm
最大トルク:175Nm/4000rpm
燃料供給方式:電子制御式燃料噴射(ホンダPGM-FI)
■モーター
最高出力:135kW(184ps)/5000-6000rpm
最大トルク:315Nm/0-2000rpm
■駆動系
トランスミッション:CVT
駆動方式:フロントエンジン+フロントホイールドライブ
■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:225/50R18
■燃費
WLTCモード:19.8km/L
市街地モード:19.1km/L
郊外モード:21.4km/L
高速道路モード:19.4km/L
ホンダ・オデッセイ アブソルート(4WD)
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4855×1820×1725mm
ホイールベース:2900mm
車両重量:1840kg
乗車定員:8名
最小回転半径:5.4m
燃料タンク容量:50L(無鉛レギュラー)
■エンジン
型式:K24W
形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:2356cc
ボア×ストローク:87.0×99.1mm
圧縮比:10.1
最高出力:129kW(175ps)/6200rpm
最大トルク:225Nm/4000rpm
燃料供給方式:電子制御式燃料噴射(ホンダPGM-FI)
■駆動系
トランスミッション:CVT
駆動方式:フロントエンジン+オールホイールドライブ
■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rドディオン
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:215/60R17
■燃費
WLTCモード:12.2km/L
市街地モード:8.9km/L
郊外モード:12.7km/L
高速道路モード:14.1km/L