モペットや電動バイクなど、原動機(エンジンやモーター)を装備した「ペダル付き原動機付自転車」は道路交通法により、エンジンを切ってペダルを漕いで走る場合も、原動機付自転車の「運転」に該当。たとえエンジンを切った状態でも、公道を走らせる場合は乗車用ヘルメットの着用義務等々、原動機付自転車の運転方法に従うことが必要だ。しかしこの度、日本初となる、自転車として公道走行が認められた電動バイク×自転車=ハイブリッドバイクが誕生。詳細をレポートしよう。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
※注:販売時期及び価格未定(下記の動画は既存のglafit GFR-01)
「規制のサンドボックス制度(※注1)」を活用。電動バイクの電源をOFFにし、ナンバープレートを隠した時は道路交通法上、自転車としての取扱いを認定!
●備考:「ペダル付きの原動機付自転車」の取扱いについて(平成17年3月/警察庁交通局)
最近、ペダルを備え、ペダルのみによっても走行させることができる原動機付自転車が開発されているところですが、このような原動機付自転車の道路交通法上の取扱いについては下記のとおりですので、十分に注意してください。
1 「ペダル付きの原動機付自転車」
「ペダル付きの原動機付自転車」とは、道路交通法施行規則第1条の2に規定する大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車(自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等を除く。)であって、当該車に備えられたペダルを用い、人の力によっても走行させることができるものをいいます。
なお、人の力を補うため原動機を用いるものであって、道路交通法施行規則第1条の3で定める基準に該当する自転車(いわゆる「電動アシスト自転車」)は、道路交通法上自転車として扱われるものであり、ここでいう「ペダル付きの原動機付自転車」ではありませんので、ご注意ください。
2 道路交通法上の取扱い
(1)「ペダル付きの原動機付自転車 は」 、原動機を作動させず、ペダルを用い、 、かつ人の力のみにより走行させることができるものであったとしても、道路交通法第2条第1項第10号に規定する原動機付自転車に当たります(車両の種類は当該車両の属性をあらわすものであり、例えば、原動機を作動させて「自動車」 、 を発進させその後原動機を停止させて惰性走行した場合であっても、「自動車」を通行させていることとなるのと同様です 。)したがって、「ペダル付きの原動機付自転車」は、車道の通行等原動機付自転車の通行方法に従うことが必要です。
(2)「ペダル付きの原動機付自転車」は、原動機により走行することができるだけでなく、ペダルを用いて人の力のみによって走行させることもできる構造ですが、いずれの方法で走行させる場合もペダル付きの原動機付自転車の本来の用い方に当たることから、「ペダル付きの原動機付自転車」をペダルを用いて人の力のみによって走行させる場合も、原動機付自転車の「運転」に該当します。
したがって、原動機を作動させず、ペダルを用い、かつ、人の力のみによって走行させる場合であっても、原動機付自転車を運転することができる運転免許を受けていることが必要であり、乗車用ヘルメットの着用等原動機付自転車の運転方法に従うことが必要です。
新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進することを目的に、生産性向上特別措置法(2018年6月6日施行)に基づき創設。本制度は、参加者や期間を限定すること等により、既存の規制の適用を受けることなく、新しい技術等の実証を行うことができる環境を整えることで、迅速な実証を可能とするとともに、実証で得られた情報・資料を活用できるようにして、規制改革を推進する制度。
電動バイク×自転車の「ハイブリッドバイク」が認可されるまでの経緯と流れ
glafitでは、和歌山市と共同で規制サンドボックス制度の申請を行い、和歌山市内にて2019年11月から2020年1月の3ヶ月間に渡り、実証実験を実施。glafitが開発した市販の電動バイク「GFR-01」は、現行の道路交通法では原動機付自転車と区分されるため、いかなる場合でも通行できるのは車道のみ。
こうした状況について、ユーザーのニーズや安全面に関する意見を踏まえ、日々の近距離移動における社会課題、また都市部の渋滞問題や地方交通の問題、加えて昨今深刻になっている高齢者の免許返納後の移動課題も視野に入れ、公道にて通行区分の走行実証を行い、安全性などを実証した(下記)。
●新技術等実証の概要と参加者の意見
【サンドボックス実証の認定日】令和1年10月17日
【実証期間】令和1年11月6日~令和2年1月31日
【参加人数】累計107名
【実証場所】和歌山市内の公道
【実証方法】参加者からアンケートを取得し利⽤者のニーズや意⾒の収集等を⾏う
上記の通り、今回の実証実験の参加者の約80%が、ペダル走行時のglafitバイクを自転車相当として、自転車専用道や自転車通行可の歩道の走行等を認める、規制緩和をすべきと回答。
その多くは、ペダル走行での遅いglafitバイクでの車道走行は、glafitバイクの運転者の身の危険、及び他の交通主体への迷惑を挙げており、現状の車道走行には一定以上の速度で走行し、他の交通主体とある程度速度をあわせないとかえって危険であると考える人が多いと推測された。
また、自転車程度のスピードであるので、自転車と同等の規制にするのがよいという意見も一定数あった。他方、規制緩和すべきでない理由には、歩行者の通行を優先させたいという思いが感じられた。
●新機構の概要について
法規上の観点、取り締まりの観点等についての当局の懸念や考え⽅等を理解し、今回の実証で⾏った検証を含め、普通⾃転⾞と取り扱っていもらうために必要な内容を提案した結果、現⾏法令の解釈として認められた。
●人力と電動モードを切替可能なハイブリッドバイクの自転車レーン走行実証について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/project/gaiyou13.pdf
■具体的機構内容
1:モーターが駆動しないことを電⼦的な制御のみではなく、電源をカットする機構により担保することとする。
2:他の交通主体における識別可能性及び視認性(=⾃転⾞であるか原付であるか)を確保するため、1の時には、ナンバープレートにカバーをかけ、及び、交通標識デザインに沿ったピクトグラムで⾃転⾞であることを明確に⽰す。
3:ナンバープレートのカバーの切り替えは、電源を切った状態で、停車中にのみ可能なものとする。
※ 自転車⾛⾏を装って電動駆動により⾛⾏することを防⽌するため、利⽤者においては容易に改造できないものとする。
※機構については特許出願済み(特願2020-147073)
※この機構イメージは、機構の仕組をわかりやすくするために作成しており、今後の販売モデルのデザインとは全く異なる。
今後のスケジュール:2021年初夏を目途に、販売モデルの製品開発を推進
glafitによれば、2021年初夏を目途に、販売モデルの製品開発を推進。具体的には、現在販売中の電動バイク「GFR-01」にも後付けできるようフォローするとともに、バイク単体での開発を実施。完成後には、警察庁が改めて確認した上で、各都道府県警に対して通達の発出を依頼する形で生産・販売が開始される模様だ。
glafit株式会社の概要
所在地:和歌山県和歌山市出島36-1
代表者:代表取締役社長 鳴海 禎造
資本金:2.7億円(準備金含む)
社員数:16名(令和2年10月1日現在)
設立年月日:2017年9月1日
WEBサイト:https://glafit.com/