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バイクに乗るためには、まず運転免許を取得すること。これが第―歩。これがなければ公道は走れません。運転免許の登竜門でもある、50ccのバイクが運転できる「原付免許(最短1日で取得可能)」の取得方法や費用などを紹介します。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
バイクの運転免許の種類
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バイクの運転免許は1から7までの7種類。1とAT(オートマチック)限定のない2・4・6は、手動式クラッチ付ミッション車及びスクーターともに運転できるが、AT限定の3・5・7はスクーターなどのクラッチなし車両のみ運転可能。
なお、運転免許の学科試験(実技試験は公認教習所を卒業の場合は免除)は、すべて各都道府県の運転免許試験場で申請し受験する。購入するバイクや今後のバイクライフに合わせて、取得する免許をセレクトしよう。
1:原付免許 難易度★☆☆ 取得可能な年齢:16歳
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原動機付自転車免許(原付免許)、通称「原チャリ」免許。排気量50cc以下(電動の場合は出力0.6kW以下)のバイクなら、スクーターorミッション車を問わず、何でも運転できる運転免許。
実技試験のある普通二輪や大型二輪(公認の自動車教習所を卒業すれば免除される)とは異なり、試験は学科のみ(ただし実技講習あり)。試験時間は30分。問題数は46問+危険予測2問。50点中45点以上で合格となる
原付免許は、各都道府県の運転免許試験場(運転免許センター)にて、最短1日で取得でき、取得費用もリーズナブル。市販の間題集で独学し、運転免許試験場(運転免許センター)で実施される試験に挑むのが定番。
試験問題は決して難しいものではなく、事前に問題集を使って予習しておけば、一発で合格する人は多い。
原付免許の取得は簡単だが、法律的には普通二輪とは別物の「原動機の付いた自転車」であるため、法定速度は時速30km/h、2人乗り不可、2段階右折義務など制限が多いのがネック。
とはいえ、原付は原動機付きの「自転車扱い」となるため、「バスレーンの走行」がOK(自動二輪車は走行不可)。最高速度の30km/h制限、アンダーバスの走行はNG、2段階右折義務、2人乗りNGなど制限が多い一方で、こんなメリットがあることを覚えておこう。
1: 交差点で対面する信号が、赤色の点減をしている時は、徐行して進むことができる。〇or✖?
2:歩道のない道路で子供の横を通過する場合、安全な間隔がとれる時は徐行しなくてよい。〇or✖?
3:急ブレーキをかけると横すべりを起こす危険があるので、ブレーキは数回に分けてかけるほうがよい。〇or✖?
4:徐行とは、時速10キロメートル以下の速度で走ることである。〇or✖?
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原付免許の試験問題には、いわゆる「ひっかけ問題」と呼ばれる、意地悪なものがある。とはいえ、出題される問題は、その元となる問題を少しひねったり、変化を加えているだけ。パターンさえ把握し、認識しておけば、ほとんどの問題は容易にクリアできるはず。
問題集を選ぶ時の注意点は、できるだけ問題パターンの多いもの。また、各問題のポイントを、分かりやすく解説したものを購入すること。答え合せ時に、解説箇所もしっかりと読み、「なぜその答えになるのか?」を理解することが重要だ。
なお、原付免許試験の合格率は55%程度。基本的に、一切勉強せずに合格できるほど甘くはないが、事前にしっかりと勉強していれば、一発合格できるはず。
【上記の答え】
1:✖(停止する必要あり)
2:✖(徐行する必要あり)
3:〇(いわゆるポンピングブレーキ)
4:✖(車両がすぐに停車できるような速度で走行すること)
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原付免許は普通自動車免許を取得すれは(AT限定を含む)、オマケで付いてくるのがポイント。
普通自動車免許を持っていれば、排気量50cc以下(電動の場合は出力0.6kW以下)のバイクなら、スクーターorミッション車を問わずに運転できる。
・年齢が16歳以上
・90dB(デシベル)の音を10メートル離れていても聞き取れること
・色の判断(赤・青・黄の区別)がつくこと
・身体機能障害がないこと
・必要視力は両眼で0.5以上
・片眼が見えない場合、他眼の視野が左右150度以上で視力0.5以上
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一般的に普通自動車免許を教習所で取得する場合、30万円~40万円程度の費用が掛かる。一方、原付免許は、合計7,800円というリーズナブルな価格で取得可能。内訳は下記の通り。
・受験料:1,650円
・原付技能講習受講料:4,050円
・交付手数料:2,100円
◎合計:7,800円
※東京都の場合。費用は地域によって異なる場合あり
・本籍地記載の住民票:1通(コピー不可) ※市区町村役場や出張所で発行してもらう。価格は300円(市区町村役場や出張所によって異なる場合あり)
・申し込み用写真:6ヶ月以内に撮影したもの。サイズは縦3.0cm横2.4cm
・認印
・取得費用
・筆記用具
・視力の低い人は眼鏡、コンタクトレンズなど(忘れると適性検査で不可となる)
※地域によって異なる場合あり
原付免許は筆記試験のみなので、服装に決まりはない。ただし、午前中の筆記試験に合格し、午後に実技講習(実際にバイクに乗る講習)を受ける場合は、長ズボン、スニーカーなど、バイクの乗車に適した服装で挑むことが重要。
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必要なものを用意したら、住民票のある管轄の運転免許試験場(運転免許センター)へ。※住民票のある住所以外の都道府県では受験不可
各運転免許試験場(運転免許センター)によって異なる場合があるが、基本的には、
1:試験場にて申請書に必要事項を記入。所定の金額の印紙を購入後、受付に並ぶ
2:適性検査(聴力、視力、運動能力などの検査)
※注:視力が弱い人は、メガネやコンタクトレンズを忘れると不合格になる
3:適性検査合格後に学科試験
※注:時間は30分。46問+危険予測2問。50点中45点以上で合格
4:合格発表。不合格者は、その後の手続きの説明を聞いて解散
5:学科試験に合格したら、原付技能講習を実施。2~3時間の実技講習後、ビデオ講習を受講
※注:時間のない人は、別日でも受講可能
6:すべて終了したら、運転免許証が交付される
50ccのバイク、お値段と交通ルールの話
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現在主流となっているクリーンな4スト50ccスクーターは、燃費の良さも見逃せないところ。四輪はもちろん、ビッグバイクや原付2種の125ccと比べてみても、その差は非常に大きく、お財布に優しい移動手段とも言えるだろう。
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50ccは車両価格の安さも大きな魅力。便利な装備を持ちながら、10%の消費税込みで、16万円台の超お買い得モデルもラインナップ。
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多くの50ccは、コンパクトで軽量。なので非力な男性、女性でも、センタースタンドの上げ下げ、エンジン停止時の押し歩きなど、街中での取り回しは非常にラク。
また、大都市周辺地域などでは、駅前や駅近辺の駐輪場が利用できるのも見逃せないところ(駅によって受け入れの有無は異なる)。自転車置き場に駐車できるコンパクトさも、大きな魅力。
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50ccは「30km/h制限」や「二段階右折義務」が設けられているので、長距離走行にはやや不向き。しかし半径15km圏内程度の、いわゆる“近所"の移動には、もっとも適したお手軽コミューターだ。
50ccは、主に幹線道路に設置された「バス専用」と書かれた「バス専用レーン」の走行が原則認められているので、朝の通勤ラッシュ時などには比較的スムースに通行できるはず。
・職場や学校が近所にある
・買い物など、普段の足としも使いたい
・駅前の駐輪場を利用したい
・渋滞しやすい道をよく通る
・住宅街や裏通りなど細い道をよく通る
・流れの速い幹線道路はあまり利用しない
以上のような人には、ぜひとも利用をオススメしたい。