2020年9月10(木)に国内で発売予定の250cc水冷4気筒モデル「カワサキNinja ZX-25R」。新設計のエンジンやフレーム、強靭な足周り、最新の電子システムなどが盛り込まれた「カワサキNinja ZX-25R」を徹底解剖。ここでは、さらに突っ込んだ技術詳細をメインにレポート。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
カワサキNinja ZX-25Rシリーズ(国内仕様) 2020年9月10(木)発売予定
新設計の249cc水冷4ストローク並列4気筒エンジン
インドネシア仕様の最高出力は、ラムエア加圧時で51ps/15500rpmだが、日本版の国内仕様は、ラムエア加圧時で46ps/15,500rpmにデチューンされた「カワサキNinja ZX-25R」。
目を見張るパワーと、強力なトルクを持つ、レーシーな超ショートストローク型(ボア×ストローク=50.0mm × 31.8mm)の249cc水冷4ストローク並列4 気筒DOHC 4バルブエンジンは、リニアな出力特性を発揮。
低回転域を使用した街乗りでの扱いやすさを確保しつつ、高いレブリミット領域までエンジン回転を上昇させる。エンジンは10,000~17,000rpmの範囲で、特にエキサイティングなフィーリングを提供。スポーツライディングでの操る悦びを向上させている。
・すべてのNinja ZXシリーズと同様、Ninja ZX-25Rは、DOHC 4バルブの動弁機構を備えている。精密な時計のように小さく複雑な部品群は、高性能を確保するため、厳密な品質管理と組み立てチェックを実施。
・ハイスペックなECU は、カワサキの最新の電子制御技術を搭載した「Z H2」のECUと同じプラットフォームを使用。
・スロットル径ø30mmの電子制御スロットルバルブを採用し、インジェクターとスロットルバルブをECU でコントロールすることで、常に最適な混合気をエンジンに供給。これにより、スムーズで自然なエンジンレスポンスの提供に加え、KTRC、パワーモード、KQS など、ライダーがよりマシンとの一体感を感じることができるライダーサポートシステムの使用を可能としている。 また、自然なフィーリングを実現するため、あえてスロットルケーブルの操作感を残している。
・「Ninja ZX-10R」と同様、吸気ポートの出口を2段階に加工(1 段目はバルブシートに沿っており、2 段目はポート傾斜角度に沿う)し、燃焼室に入る混合気の流れを直線化。この直線的で幅広なポート設計が空気量を増量し、流れもスムーズにすることで、エンジンパフォーマンスを向上させている。
・軽量な鍛造カムシャフトが、高回転域のパフォーマンスに貢献。
パワーアップに貢献する「ラムエアシステム」と「ダウンドラフトインテーク」
・Ninja ZXシリーズのトレードマークである、カウル中央に配意されたラムエアシステムは、吸気効率を向上させ、エンジン性能向上に貢献する。「Ninja H2」と同様の、エアボックスに向かう途中でフロントフォークの左側を迂回するダクトレイアウトを採用。
・このレイアウトノウハハウにより、フロントから冷却された高圧の空気を効率的に取り込むことが可能となっており、全回転域でのエンジン性能向上に貢献。 また、雨天時におけるエアボックスへの水の浸入防止に効果的なデザインになっている。
・インテークファンネルを異なる長さとし、効率的な吸気充填を実現。フラットなトルク曲線とスムーズなパワーデリバリーを可能にしている。
・シリンダーへの吸気経路が、より短くよりダイレクトな、ダウンドラフトタイプのインテークを採用。シリンダー充填効率を高め、特に高回転域でのエンジン出力の向上に貢献。
Ninja ZX-25Rの動力パフォーマンスとエキゾーストサウンド
・ヘッダーパイプとコレクターパイプの2レイアウトは、「Ninja ZX-6R」のエキゾーストレイアウトにインスパイアされており、ヘッダーをつなぐジョイントパイプが低回転域のパフォーマンスを強化している。
・4.5リットルの大容量チャンバーは、二重構造を持つ特徴的なデュアルチャンバーで、並列4気筒エンジンの陶酔感のあるエキゾーストサウンドに貢献している。
・大容量チャンバーにより、サイレンサーの小型化を実現。シャープな外観と低重心化、マスの集中化に貢献する。また、サイレンサーの大径テールパイプエンドは、Ninja ZX-25R のパフォーマンスを引き立てている。
6速トランスミッション、アシスト&スリッパークラッチ
フレーム&足周りのポイント
・高張力鋼製軽量のトレリスフレームは、異なる径と厚さを持つパイプと、モナカ形状のスイングアームピボットセクションの組み合わせで構成。カワサキ先進の解析技術を駆使し、剛性と柔軟性をバランスさせている。
・重心位置、スイングアームピボットの位置、エンジン軸の位置、キャスター角など、シャーシの主要寸法は、スーパーバイク世界選手権に参戦しているレースマシン「Ninja ZX-10RR」のシャーシ設計思想にインスパイア。
・高張力鋼製のロングタイプスイングアームは、湾曲形状とし、バイクの前後重量配分を最適化。ハンドリングにおいて、軽快さと安定感のバランスを確保。また、ショートタイプのサイレンサーを中心寄りに配置することを可能にしており、マスの集中化とスタイリッシュでスポーティな外観にも貢献。
Ninja ZX-25Rのライディングポジション
・ライディングポジションは、「Ninja 250」よりもアグレッシブながらリラックス感もあり、ライダーは過度な前傾姿勢を取らされることなく、Ninja ZX-25Rの機敏なスーパースポーツハンドリングを堪能することができる。
・このポジションはウインドプロテクションとエアロダイナミクスをバランスさせており、ライダーは上半身を伏せることで効果的に風圧を低減させることができる。
・ライダーの両足に挟まれるフューエルタンクはスリムな形状で、マシンとの良好な一体感を実現。フューエルタンクの上部は低くデザインされ、上半身を伏せたポジションを取りやすくなっている。
・しっかりとしたシートクッションは、スポーツ性能と快適性を両立。スポーツライディングやサーキット走行におけるライダーの体重移動と、長時間の快適な着座を両立。
・785mmのシート高と形状設計により、良好な足着き性を確保。
・スーパースポーツスタイルのアルミ製ステップは、スポーツライディングにおけるダイレクトなフィーリングと優れたコントロール性を獲得。
・アジャスタブルブレーキレバーとアジャスタブルクラッチレバー(それぞれ5段階調整)を採用。ライダーの手の大きさや好みに合わせて、レバー位置の調整が可能。
Ninja ZX-25Rのスタイリング
・Ninja ZXシリーズのトレードマークである、フロントカウル中央に配意されたラムエアシステムにより、Ninja ZX-25R のスタイリングは250cc クラスの他モデルと一線を画す。さらに乗車時に視認できるフロントフォーク左側を貫通するラムエアダクトが、Ninja ZX-25R の高性能をアピール。
・ツインLED ヘッドライトは、高い光量を実現しながら、Ninja ZX-25Rの外観を際立たせている。
・フロントカウルには、Ninjaファミリーの力強いイメージに寄与する、シャープなチンスポイラーを装備。
・スーパースポーツスタイルの低く構えたフューエルタンクデザインと、並列4気筒エンジンにフィットしたボディワークが、Ninja ZX-25R の凝縮感あるハイクラスな外観に貢献。 シャープなラインは、俊敏なスーパースポーツスタイルのハンドリングを反映した軽快なイメージを演出。
・フロントウインカーはフェアリングの造形ラインに沿って埋め込まれている。
・フェアリングのサイドエアダクトが走行風をエンジンルームに導風し、エンジン熱の放出を促進するとともに、アグレッシブなデザインに貢献。
Ninja ZX-25Rのハンドル&メーター周り
・洗練されたデザインのインストゥルメントパネル。両脇に警告インジケーター類を配した大径アナログタコメーターに、ギヤポジションインジケーター/多機能液晶パネルを配置。
・中央に位置するギヤポジションインジケーターは、ギヤチェンジの正確さと信頼性を高め、Ninja ZX-25R のスポーティなイメージにも貢献。
・シフトアップインジケーターは、エンジン回転数が選択したシフトアップタイミングの500rpm 以内にある時に点滅。さらにエンジン回転数が選択したシフトアップタイミングに達すると、急速に点滅するしくみ。 ライダーはシフトアップのタイミングを、5,000~ 17,000rpmの範囲から、250rpm 刻みで設定可能。また、シフトアップインジケーター機能はOFFにすることも可能。
・デジタルスピードメーター、ギヤポジションインジケーターのほか、オドメーター、デュアルトリップメーター、燃料計、航続可能距離、瞬間/平均燃費、吸気温度、水温(棒グラフ表示もしくは数値表示)、時計(12 / 24 時間表示)、パワーモード&KTRC インジケーター、KQSインジケーター(SE モデル)、エコノミカルライディングインジケーター、ETCインジケーター(アクセサリーのETC2.0車載器キット装着時に表示)を表示可能。
・燃費が良好であることを示す、エコノミカルライディングインジケーターを液晶パネルに表示。
・キーシリンダーには盗難防止機能であるイモビライザーを装備。
Ninja ZX-25Rの電子制御
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