もともとは堅実な中型ファミリーセダンとして1973年に誕生したが、1996年、5代目となるB5からは高級化路線に方向転換、現在に至るまでフォルクスワーゲンのフラッグシップモデルの座にある。代によっては他の車型が用意されることもあったが、基本的にはセダンとワゴンの2車型での展開。世界中にファンが多く、Motor-Fan TECHの会員の方々にもオーナーは少なくない。そのオーナーにアンケートを実施、オーナーだからこそわかる燃費、不満、よいところを見てみよう。
現行8代目(B8) 2015-
現行の8代目は新モジュラー戦略である「MQB」に基づいて開発され、ボディやシャシー、エンジンに至るまで「MQB」コンセプトに則って全面的に再設計されると同時に更なる安全面の強化がはかられたのが特徴。ドイツ本国を含むヨーロッパでは2014年に、日本では2015年にデリバリーを開始。2015年の欧州カーオブザイヤーに選出されている。また2016年6月にシリーズ初のプラグインハイブリッドモデルである「パサートGTE」 が発売されたことも話題となった。
2019年式 PASSAT ALLTRACK TDI 4MOTION AD「荷物をたくさん積んで、長距離を移動する人にはぴったりだと思う。」
排気量:1968cc トランスミッション:DCT
平均燃費:15.0km/ℓ(高速6割・郊外4割:15km/L 都内:10km/ℓ 高速で90km/h維持:18km/ℓ)
長所:乗り心地が良い(DCC不要というコメントも見かけるが私は気に入っている)。荷室が広い。トルクが強くて高速・山道走りやすい。
短所:内装のビビリ音が大きい(ディーラーに都度直してもらえますが時間がかかる)。発進時の加速が悪い(慣れるときにならないが最初は拍子抜けした)。給油穴が燃料の泡で詰まり給油できないことがある。
評価
外観:★★★★☆ 普通。無駄な装飾なくシンプルで良い。
室内:★★★★★ シンプルで手に触れる物の感触が良い。ハンドルの感触は特に好き。荷物がたくさん詰める。居住スペースも広い。車内の遮音は少し不足。前後席の会話は少し大きい声が必要。エンジンの音が独特で好き。
走行性能:★★★★★ パワー充分、ハンドリングも充分正確。荒れた路面での乗り心地も充分。全体的にちょうどよい。
燃費性能:★★★★★ 給油回数が少なくて良い。市街地中心でも満タンで700Km前後は走る。
装備:★★★★☆ コネクティビティはないものと思ったほうが良い。他は充分現代的。
満足度:★★★★☆ コスパは良いと思うが、気軽に買える値段ではない。
このクルマの購入を検討している人にひと言
「荷物をたくさん積んで、長距離を移動する人にはぴったりだと思う。一日試乗でもさせてもらって、中央道の坂とカーブが多い区間を走ると車の良さがよくわかると思う。パワーは有るが出だしが遅いので、せっかちな人は市街地ではイライラすると思う。アクセルを強く踏めば強い加速はできる。キャンプに家族四人で行く場合にギリギリ荷物が入り切る感じ。冬キャンプでストーブを載せようとするとかなりキツイ。360°カメラがついているので、細い道やバックするときは便利。ナビが酷いというコメントを見かけるが、普通だと思う。スマホを繋げばGoogleMapも使用可能。必要なものが程よい品質で装備されていると感じる。豪華とか優雅とかそういう感じではない」
2018年式 ハイライン 「走行性能は文句なし、特に高速道路では運転しやすい。」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:13,0km/ℓ(通勤7割、郊外3割)
長所:加速が良い。燃費が良い。室内が広い。
短所:エンジンをオフにするたびにドライブモードがリセットされる。パーキングブレーキがスイッチの為、段差や坂道での前後進時に微調整がやり難い。ACCの動作を細かく設定できない。
評価
外観:★★★★★ 高級感のあるデザイン
室内:★★★★★ 高級感、重厚感のあるデザイン
走行性能:★★★★★ 加速が良い。タイヤのせいかロードノイズが大きい
燃費性能:★★★★☆ 平均18km/ℓ以上は走ってほしい
装備:★★★★☆ ナビのタッチパネルは押し間違えやすい
満足度:★★★★☆ もう少し価格が安いと良い
このクルマの購入を検討している人にひと言
「車体の大きさの割に車体を把握しやすい。走行性能は文句なし、特に高速道路では運転しやすい。ルーフは思ったより低い」
2018年式 GTE「いち早く未来体験できるPHEVを体感できるコストパフォーマンスの非常に高い車です。」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:20km/ℓ~25km/ℓ(PHEVのため、近距離中心だとガソリン不要)
長所:PHEVのため、通常走行は電気自動車。静かで快適。いざとなれば260psのハイパワーを味わえる。カーゴルームがこのクラス最大。ふたりでの車中泊も可能。そつのないデザイン。
短所:シートベンチレーションがないのが唯一の欠点。これからのシーズンはつらい。ステアリングヒーターが欲しい。可能ならモーターのみで100kmほど走行できれば……。
評価
外観:★★★★★
室内:★★★★☆
走行性能:★★★★★
燃費性能:★★★★★
装備:★★★★☆
満足度:★★★★★
このクルマの購入を検討している人にひと言
「いち早く未来体験できるPHEVを体感できるコストパフォーマンスの非常に高いクルマです。国産車のように金太郎あめのごとくどこに行っても同じ車が周りにいませんから気持ちいいです。また、いざという時のGTEモードではスポーツカーのパワーも味わえます」
2018年式 エレガンスライン 「東京から長崎まで無給油で行けます。」
排気量:2000cc トランスミッション:DCT
平均燃費:17.0km/ℓ(郊外路中心。高速だと20km/ℓ)
長所:VWディーゼルで最も高出力エンジンによるトルク感あふれるドライバビリティとそれを支える優れたシャシー性能。シンプルで飽きの来ないデザイン。水平基調(と言っても本当に水平ではなく水平に感じさせる)インテリアデザインと周囲の状況が掴みやすいノイズレスな視界。
短所:ディーゼルエンジンなのに対策が不十分でやや気になるエンジン音。車格から期待するほ静かではないロードノイズ。ゴルフ6よりチッピング耐性が低い、薄いボンネット塗装。
評価
外観:★★★★★ 2年経っても飽きません。
室内:★★★★★ 見た目、手触り感から来る品質感が高く満足。疲れないシートで長距離が楽。
走行性能:★★★★★ 40km/hくらいでキックダウンすると加速ショックを感じます。シフトによる加速とトルクが立ち上がっている回転域での加速が合わさるためで7速だと改善されるかもしれませんが気にしません。
燃費性能:★★★★★ 東京から長崎まで無給油で行けます。
装備:★★★★☆ ACCの減速パターンが最後に立ち上がるので不安感をあおる、ブレーキを踏みたくなります 。レーンキープアシストは効きが弱く簡単にレーンから外れる。
満足度:★★★★☆ 完璧なクルマは存在しないと思いますが、Passatは完璧に近い出来です。
このクルマの購入を検討している人にひと言
「ドイツのDセグメントとして最もCPが高いクルマです。毎日接してみるとさまざまな部分の造りにスキがなく信頼が高まっていく、愛着がわきます。まだ2年ですが、車両全体に劣化は感じられず長く乗れそうです」
2017年式 テクノロジーパッケージ 「日本ではほとんど見かけない唯一感」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:15.0km/ℓ
長所:圧倒的に広いパーソナリティスペース。小気味良いシフトフィール。他者と被らないレアリティー。
短所:融通の効かないナビゲーションシステム。クラッチの摩耗負担が大きい。リセール評価の低さ。
評価
外観:★★★★★
室内:★★★☆☆
走行性能:★★★★☆
燃費性能:★★★★☆
装備:★★★★☆
満足度:★★★★★
このクルマの購入を検討している人にひと言
「直線的で鋭い眼光。日本ではほとんど見かけない唯一感」
2017年式/エレガンスライン 「端正で清潔感のあるデザインだと思います。」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:15.0km/ℓ(都内が7割程度、郊外2割、高速1割)
長所:端正なデザイン。ワルター・デ・シルヴァ率いていた時代のVW車はいずれも端正で清潔感のあるデザインだと思います。とにかく車内とラゲッジスペースが広い。後席に置いた手荷物取るのも一苦労(笑)。音響環境。スピーカーは純正としては立派。静粛性もそこそこあり。discover proがハイレゾ対応など、想像以上に音楽環境は良かった。
短所:DSG。1速はDSG保護のためかものすごくモッサリ。私のは20,000kmでジャダーが激しくなり保証交換ました。discover proの位置。インテリアデザインは悪くないものの、今時の車にしてはdiscover proの位置が下過ぎなので、運転中見づらい。ホイールハウスの隙間。タイヤとホイールハウスの隙間が流石にデカすぎ。思わずローダウンしちゃいました^_^。
評価
外観:★★★★★ 直線的(B8.5は…)、清潔感あり。プレスラインが素晴らしい。
室内:★★★★☆ 質感は値段相応。discover proの位置がもう少し高ければ…
走行性能:★★★☆☆ 1.4リットルでこれだけ走れば充分。ただDSGではなくATだともっと良かったのではないかと。
燃費性能:★★★★☆
装備:★★★☆☆ ナビは使い物にならない。これでスムーズに行先設定できる人、尊敬します。
満足度:★★★★★ なんなかんやで、ものすごく気に入ってます。
このクルマの購入を検討している人にひと言
「このデザインが好きなら絶対買って後悔しませんよ! マイナーな車なのでほとんどすれ違いませんし(^_^;)広くて静かで燃費が良くて、私は本当に気に入ってます。ゴルフのようにアフターパーツが豊富ならば尚更いいんですけど、そこはDIYと流用で乗り切ってます^_^」
2016年式 1.4TSI ハイライン 「低走行の中古車を狙うのが断然お得。」
排気量:1400cc トランスミッション:AT
平均燃費:11.0km/ℓ(街乗り、高速では20km/ℓに達する)
長所:直線的なスタイルと積載力。装備に対するお得感。
短所:特にないが、DCTの出だしのギクシャク感。
評価
外観:★★★★☆ シャープで好み
室内:★★★★☆ 充分な広さ、高級感に若干かける
走行性能:★★★★☆ 充分きびきび走る
燃費性能:★★★☆☆ 1.4ℓにしては、悪い。
装備:★★★★☆ 充分ハイテク
満足度:★★★★☆
このクルマの購入を検討している人にひと言
「新車で買ってしまったが、低走行の中古車を狙うのが断然お得」
B8 TDI Highline 「このクラスのドイツ車としては価格も内容も満足できました。」
排気量:2000cc トランスミッション:DCT
平均燃費:15.0km/ℓ(都内の高速を使う移動などで。)
長所:ディーゼルなのに回転の上がりがスムーズ。燃費が良い。サンルーフが大きくて開放感がある。
短所:始動する度にアイドリングストップモードになること。始動する度にドライブモードがノーマルに戻るのに、表示はエコノミーなど前回の設定のままになる。車内に漏れるエンジンの音はガソリン車より大きい。
評価
外観:★★★★★ 存在感がある。
室内:★★★★★ 本革でかつ余分なものもなくシンプルで良い
走行性能:★★★★☆ 力強く雨の日の発進は少し気を付けます
燃費性能:★★★★★ ガソリン車(GOLF 6 GTI)からの買い替えで燃費のよさに驚きました。
装備:★★★★☆ ナビが携帯から扱う前提になっており、ネットに繋がってない場合は検索が良くない
満足度:★★★★★ このクラスのドイツ車としては価格も内容も満足できました
このクルマの購入を検討している人にひと言
「よく走りますし。内装もシートヒーター、クーラーなど快適に使えます。サンルーフがあればとても開放的です!」
2015年式 TSI コンフォートライン 「ボディサイズ以上の走りが期待できると思います。」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:14.0km/ℓ(ほとんど市内走行)
長所:VWワゴンタイプ最大のボディで安定の走り。1400㏄とは思えないほどの加速。安全装備の充実。
短所:欧州車特有のメッキモールの腐食。
評価
外観:★★★★★
室内:★★★★★
走行性能:★★★★☆
燃費性能:★★★★★
装備:★★★★★
満足度:★★★★★
このクルマの購入を検討している人にひと言
「ボディサイズ以上の走りが期待できると思います。何と言ってもスタイリッシュなボディ、VWならではの安定した走り、充実した装備が魅力な一台です」
TSI Eleganceline 「コストパフォーマンスは良いと思います。」
排気量:1394cc トランスミッション:DCT
平均燃費:15.0km/ℓ
長所:標準で安全装備充実(ACC,LKA,AEB等)。巨大な荷室空間。
短所:純正ナビゲーションが貧弱。
評価
外観:★★★★☆
室内:★★★☆☆
走行性能:★★★☆☆
燃費性能:★★☆☆☆
装備:★★★★☆
満足度:★★★☆☆
このクルマの購入を検討している人にひと言
「コストパフォーマンスは良いと思います。」
7代目(B7)2011-2014年
2011年(ドイツ本国では2010年)から デリバリーされた7代目はフォルクスワーゲンBプラットフォームを使用した最後のモデル。基本的には先代のB6と同様のキープコンセプトだが、ワルター・デ・シルヴァによるフォルクスワーゲン車の統一デザインアイディンティティが導入されて外観が若返ったのが最大の特徴。 北米地域ではB7ではなくNMSというモデルが発売されたが、日本では欧州同様にB7が発売された。
2013年式ハイライン 「しっとりとした乗り心地とブレないハンドルで長距離運転でも疲れません」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:16.9km/ℓ
長所:しっとりとした乗り心地とブレないハンドルで長距離運転でも疲れません。ダウンサイジングターボで燃費は非常に良好。信号の少ない岩手県では高燃費連発です。一方でそれなりのトルクがあるので、動力性能に不足は感じません。FFですが車のバランス剛性の影響なのか雪道、氷雪路でもコーナリングは安定してます。
短所:積雪時、車高が低いので、脱出出来なくなることが何回もありました。タイヤが太すぎ。235なんて国産ならスポーツ車。1400ccには太すぎ。ディーラーが少なく、修理とか点検が大変です。
評価
外観:★★★★★ 塊感があって好きなデザインです。
室内:★★★★★ スッキリして快適です。
走行性能:★★★★☆ 必要に充分です。
燃費性能:★★★★★ 満点。
装備:★★★★☆ 新しいモデルは充実してますが、次のモデルを楽しみにしてます。
満足度:★★★★★
このクルマの購入を検討している人にひと言
「比較的長距離を運転する人にはピッタリだと思います。荷物も沢山積めますし、燃費も良く、疲労も少ない車だと思います」
2011年式 「わかる人には満足できるクルマ。」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:高速15km/ℓ、市街地12km/ℓ(市街地60%)
長所:室内スペースと巨大なラゲッジスペース。70l入る燃料タンクと1.4シングルターボとDCTによる燃費の良さ。落ち着いたエクステリアデザインとシンプルなインテリアデザイン。
短所:乾式DCTのスタート時のクラッチジャダー。日本仕様のダンパー設定がフワフワ。ビルシュタインに換装済み。恐らく日本仕様のブレーキパッドの効きの甘さ、特に踏み込み初期の効きのあまさ、ミューの高いパッドに交換済み。
評価
外観:★★★★☆ 無駄なラインのないシンプルな外観
室内:★★★★★ 乗員、荷室スペースは大満足、シートクッションが起こせるので、フラットなラゲッジスペースが出来る、本来のワゴンとしての使い方が考えられている。
走行性能:★★★☆☆ やはり、1.4シングルターボでは、加速時のパンチ不足
燃費性能:★★★★★ 高速を90km/hあたりで巡航すると、18km/ℓに届く燃費
装備:★★★★☆ 製造当時としては、必要充分な装備
満足度:★★★★★ スペース、燃費、信頼性、清くシンプルなデザインは、満足度高い。
このクルマの購入を検討している人にひと言
「派手さは無く目立たないが、長く乗ってみて実用車として高度に洗練されたクルマ。わかる人には満足できるクルマ」
2011年式 COMFORTLINE「ボディサイズの割に取り回しがしやすい」
排気量:1400cc トランスミッション:DCT
平均燃費:15~16km/ℓ(田舎道6割、高速1割、市街地3割)
長所:室内とトランク空間が広々している。シャシーとシートの出来が良い。ボディサイズの割に取り回しがしやすい。
短所:パワー不足。もう少し外寸が小さいと良い。取説を、手抜き翻訳・編集してあり読みにくい。
評価
外観:★★★★★ 端正でクリーン
室内:★★★☆☆ ダッシュボードから低級音する
走行性能:★★☆☆☆ 遅い(UPよりは速い)
燃費性能:★★★★☆ ボディーサイズの割に良い
装備:★☆☆☆☆ 年式が古いので仕方ない
満足度:★★★★☆ 目方あたりの単価はバーゲン価格
このクルマの購入を検討している人にひと言
「R-LINEかディーゼルなら満足されるでしょう」
総合評価:まさに質実剛健、大人の選択
堅実な中型ファミリーカーとしてスタートし、現在ではフォルクスワーゲンのフラッグシップの座を担う高級車だけに、オーナーの声を見ると極めて冷静に愛車を分析して下さっている生真面目な方が多く感じる。パサートの魅力をひと言で言うなら「ブランド名や流行に左右されない大人の選択するクルマ」という印象だ。
5点満点の各評価点すべてにおいて4.0を上回っていることからもわかるように、欠点らしきものが見当たらず、逆に言えば「際立った欠点が見当たらないことが最大の欠点」と言えるのかもしれない。
いささか無責任な物言いになるが、おそらく次の新型が出ても「パサートはパサート」という堅実かつ不動の価値観を持ち続けるに違いない。
ユーザーの平均評価
外観:4.7
室内:4.3
走行性能:4.2
燃費:4.2
装備:4.0
満足度:4.4