三菱アウトランダーといえば、「世界最量販PHEV」であるアウトランダーPHEVが人気だ。PHEVの陰に若干隠れ気味ではあるが、2.0ℓと2.4ℓのガソリンエンジン搭載グレードもある。Motor-FanTECHの会員の方々にも多くのオーナーがいる。そのオーナーにアンケートを実施。オーナーだからこそわかる燃費、不満、よいところを見てみよう。
三菱のSUV、アウトランダーの初代は「エアトレック」の後継モデルとして2005年に国内デビューした。エンジンは、2.4ℓ直4(4B12型)、3.0ℓV6(6B31型)、そして2010年には2.2ℓ直4ディーゼルターボ(4N14型)も加わった。
プラットフォームは、ダイムラー・クライスラーと共同開発したGSプラットフォームを採用していた。
現行のアウトランダーは2代目にあたる。デビューは2012年だ。プラットフォームは初代からキャリーオーバー(もちろん様々な改良はされている)している。デビュー当初のエンジンは
2.0ℓ直4SOHC(4J11型)
2.4ℓ直4SOHC(4J12型)
2.0ℓ直4DOHC(4B11型)+PHEVシステム
の3種類を設定。2種類のエンジンは、三菱自慢の可変バルブタイミング&リフトをシングルカムで実現したMIVECを搭載する。
PHEV版は2018年8月に大幅改良を受けて、エンジンが2.0ℓから2.4ℓ直4DOHC(4B12型)に変更されている。
アウトランダーPHEV
まずは、「アウトランダーといえばPHEV」と言っていいほどの人気を博している「アウトランダーPHEV」のオーナー報告だ。登場以来、優れた燃費性能と世界最先端のPHEVシステムのモーター駆動の気持ちよさが評価されてきた。2019年末現在、間違いなく「世界でもっとも売れたPHEV」である。
Gセーフティパッケージ(2015)「電気を使ったティータイムやランチが手軽にできる」
排気量:2.0ℓ トランスミッション:AT
平均燃費:50km/ℓ 電気で走っているのでなんとも。(ちょっと郊外に行って、電気を使ったティータイムやランチが手軽にできる。)
長所:EV走行の滑らかさ、静かさ、4駆性能、など車としての完成度が高く乗って楽しい車。100V電源が使えることで、キャンプなどの遊び方が変わり幅が広がった。乗り方次第だが非常に燃費がいい。2000㎞/月でガソリンの給油量は平均40ℓ程度で財布にやさしい。
短所:内装の質がもう一歩。7人乗れるサイズだが5人乗り。どうしてもない!これが短所。
評価
外観:★★★★☆ 外観悪くないが、流行を追ってほしくない。
室内:★★★☆☆ 初期型から見るとかなり良くなった。MCでもう少し高級感を期待します。
走行性能:★★★★★ 車重の重さを感じるが雪道等文句なし。
燃費性能:★★★★★ 以前のデリカと比較すると、ただただびっくり。以前のデリカの1/5位
装備:★★★★☆ 実用面ではまったく問題ないですね。
満足度:★★★★★ 燃料、メンテナンスまったくと言っていいほどお金のかからない車です。
このクルマの購入を検討している人にひと言
「三菱だからな・・・という人がいますが、私は技術の仕事をしている目で見て素晴らしく良くできた信頼性の高い車です。初期型から現行に引き継ぎ乗り換え。技術的大幅な進化を感じます。発売当初から6年。未だに価格、性能を超える車が出てこないですね」
G「思っていたより、電費が良くないが、ガソリン車では味わえないトルク感で走りが良い」
排気量:2.4ℓ トランスミッション:その他
平均燃費:18.0km/ℓ
長所:モーター特有のトルク感。騒音対策の良さ。ガソリン代の節約。
短所:思っていたより、電費が良くない。内装の質感が良くない。下取り額が悪そう。
評価
外観:★★★★☆ 良くも悪くも
室内:★★☆☆☆ もう少し、高級感が欲しい
走行性能:★★★★★ 快適そのもの
燃費性能:★★★☆☆ 2トンの車なので
装備:★★★☆☆ LKAが欲しかった
満足度:★★★★☆ 気に入ってますよ
このクルマの購入を検討している人にひと言
「一度で良いので、試乗してみてください。ガソリン車では、なかなか味わえないトルク感で走りの良さがわかると思います。」
Gプレミアムパッケージ(2015)「車内でAC100Vコンセントが使用可能」
排気量:2.0ℓ トランスミッション:その他
平均燃費:14km/ℓ
長所:モーターによる発進時のトルク感と静粛性。車内でAC100Vコンセントが使用可能。
短所:エンジンがかかった時には、思ったよりエンジン音が大きい。高速走行での追い越し時に若干トルク不足を感じる。
評価
外観:★★★★☆
室内:★★★☆☆
走行性能:★★★★☆
燃費性能:★★★☆☆
装備:★★★★★
満足度:★★★★☆
このクルマの購入を検討している人にひと言
「ガソリンエンジン車に比べて、価格が高いです。燃費差から元を取ることは出来ないと思います」
G Navi Package
排気量:2.0ℓ トランスミッション:AT
平均燃費:30km/ℓ(高速4割、一般道6割)
長所:モーターによる力強くなめらかな加速。骨太な運転感覚、4WDであること。高い静粛性。
短所:衝突予防安全が遅れている。
評価
外観:★★★☆☆
室内:★★☆☆☆
走行性能:★★★★★
燃費性能:★★★★★
装備:★★☆☆☆
満足度:★★★★☆
このクルマの購入を検討している人にひと言
「現時点では最高のPHEV。コスパの面でもベストだと思います。」
G(2013)「日常的にはほぼEVとして使える。が、エンジンがかかるとうるさい」
排気量:2.0ℓ トランスミッション:AT
平均燃費:HV走行で13~17km/ℓ
長所:日常的にはほぼEVとして使える。
短所:EVでの走行距離がやや短い。エンジン走行時うるさくて非力。パワステが弱い。
評価
外観:★★★☆☆ 屋根に出来た塗料剥がれ部がすぐ錆びた、今時珍しい
室内:★★☆☆☆ 初期型なので質感が特に低い
走行性能:★★★☆☆ 電池が残っていれば快適
燃費性能:★★★★☆ EVで100km以上走れればもっと良いが!
装備:★★☆☆☆ ナビは立ち上がりが遅く操作しづらい、スマホの方が良い
満足度:★★★★☆ 総合的には良い車
このクルマの購入を検討している人にひと言
「日常30km程度の距離をEVとして使いたい人には良い車です」
Sエディション(2017)「基本的に電気自動車。回生ブレーキ(B5モード)が大変便利で、スピード制御はほぼワンペダル」
排気量:2.0ℓ トランスミッション:その他
平均燃費:21.8km/ℓ(購入1.5年、給油量804ℓで17000km、かなりの部分は充電で走行。最低燃費は11.0km/ℓ(高速440km 補充電無しで40ℓ)。)
長所:基本的に電気自動車と言ってよく、エンジン音が無く落ち着いて運転できる。フル加速も静か。回生ブレーキ(B5モード)が大変便利で、スピード制御はほぼワンペダル。ハンドリングが楽しい。コーナリング中に加速してもアンダーにならない不思議な乗り味。充電で走るので、ガソリンがなかなか減らない。旅行中も充電スタンドが豊富で、じつは意外と空いている。
短所:フル加速時のタイムラグ。エンジン発電出力が必要なので、エンジンがかかって最大回転になるまで2秒ほど加速が弱まる(18型からSPORTモードで改善)。車重。加速時は気にならないが、急カーブ・急ブレーキ時にはさすがに気になる。スーパーの立駐で2t制限と書いてあるとガッカリ。内装は他社SUVに比べてまだまだ。メーターの全液晶化(せめて標識表示)、電動ランバーサポートは期待したい。
評価
外観:★★★★★ 車幅が大きすぎずちょうどよい。個人的には外観は初代が好み。
室内:★★★☆☆ リヤのエアコン送風が無くて暑い(18型で改善)。リヤシートのリクライニングがもう少し欲しい。荷室長も含めてもう10cmでも。
走行性能:★★★★★ エンジン音が安っぽい以外は文句なし。最高速が高くないが加速力は十分で実用的。免許に優しいかも。
燃費性能:★★★★★ 車重を考えると立派すぎる。
装備:★★★★★ CarPlayはアップデートごとに使いやすくなってきている。市販ナビに比べて不満もあったが今は慣れた。
満足度:★★★★★ 走る充電器(発電機)として買ったのが大きいが、走りの良さに驚かされた。
このクルマの購入を検討している人にひと言
「1泊2日の試乗だけでベタ惚れして買いました。ぜひ乗ってみてください。走りが楽しく疲れないので、前の所有車よりもドライブする頻度が増えました。」
総合評価:PHEV、走行性能、燃費には大満足。EVならでは機能を満喫している
PHEV仕様とコンベンショナルな2.4ℓガソリンエンジン仕様の価格は、Gグレード
アウトランダーPHEV 430万9800円
アウトランダー24G 318万4500円
だから価格差は約112万円もある。だからPHEVを選んだオーナーの評価が気になるところだ。
オーナーが評価しているのは、はやり燃費性能だ。「日常的にはほぼEVとして使える」というのがやはりPHEVの魅力だろう。価格差については、コンベのパワートレーン搭載車と比較すると「割高」だが、PHEVとしては「抜群のコストパフォーマンス」と評価する人もいた。
また、走行性能では三菱自慢のAWDシステム、S-AWCへの信頼感も高い。
一方、装備(コネクティビティ、ACCなど)室内(インテリアのデザイン、質感)への評価は高いとは言えない。にもかかわらず、総合の満足度が「4.4」と高いのがアウトランダーPHEVだ。デザインやインテリアの質感、ナビやコネクティビティでアウトランダーPHEVを選んだのではなく、やはり「先進のPHEV」「AWDシステム」が魅力で選び、その部分は非常に高い満足感をアウトランダーPHEVが与えてくれているということだろう。
ユーザーの平均評価
外観:3.8
室内:2.5
走行性能:4.5
燃費性能:4.2
装備:3.5
満足度:4.3
24Gセーフティパッケージ(2017)「他社のSUVと比べ、機能と信頼性は高いです」
排気量:2.4ℓ トランスミッション:CVT
平均燃費:12.6km/ℓ(一般道路6割、高速道路4割)
長所:4WDの信頼性が高いところがあります。高速道路での安定感を感じます。
短所:直進性が少し悪く一般道路ではフワフワした感じがあります。
評価
外観:★★★★☆
室内:★★★★☆
走行性能:★★★★☆
燃費性能:★★★☆☆
装備:★★★☆☆
満足度:★★★★☆
このクルマの購入を検討している人にひと言
「他社のSUVと比べ、機能と信頼性は高いです。デザインは個々の好みにもよりますが無難だと思います。」
GF8WXTXXZ セーフティパッケージ「LDW とACCを組み合わせて欲しかった」
排気量:2.4ℓ トランスミッション:CVT
平均燃費:11km/ℓ(郊外混じりの通勤)
長所:安全装備が当時は充実していて、コストパフォーマンスが良い。長距離でも疲れにくい。雪に強い。
短所:前モデルと比べても、収納場所が極端に少ない。LDW とACCを組み合わせて欲しかった。LDWでハンドルを一時預かって欲しい。
評価
外観:★★★★☆ 前のモデルのデザインが秀逸だったので、これは少し残念。
室内:★★★☆☆ 収納場所が少ない。
走行性能:★★★★☆ 軽快
燃費性能:★★★★☆ まあまあ
装備:★★★☆☆ 少し古くなった
満足度:★★★★☆ まあまあ
このクルマの購入を検討している人にひと言
「セーフティパッケージは、新型D5が良い。」
総合評価:AWDの走行性能の高さが光る
コンベンショナルなアウトランダーを選ぶ際の基準は、「SUVとしての性能」のようだ。となるとAWDシステムの良さが「燃費性能」より選択基準として上位にくる。PHEV、コンベ版とも言えることだが、「室内」「装備」の評価が低い。これはデビューから7年経っていることに起因するところが多いのかもしれない。
次期モデルの噂も出てくるようになってきたアウトランダー。次期モデルは、日産のCMF(コモン・モジュール・ファミリー=日産のモジュラープラットフォーム)を使うと予想される。PHEVシステムは、もちろん現行アウトランダーPHEVの発展版になるはずだ。こちらも楽しみである。
ユーザーの平均評価
外観:4.0
室内:3.5
走行性能:4.0
燃費性能:3.5
装備:3.0
満足度:4.0