スバルは、東京モーターショー2019で次期レヴォーグのプロトタイプを出展する。これは2014年に登場した現行レヴォーグの後継・2代目モデルのプロトである。この次期レヴォーグ、ティーザー画像が公開されたが、その中身について推測してみよう。
19年プロト発表 20年ジュネーブで生産型発表
現行スバル・レヴォーグは2014年デビューのスポーツワゴンである。もともと、北米を主要市場とするレガシィのボディサイズが大型化して国内に合わなくなってきたことから「日本専用モデル」として、かつてのレガシィ・ツーリングワゴンのポジションに向けて開発されたスポーツワゴンがレヴォーグだ。
したがって、あくまでも主要市場は日本。北米での販売はなく、欧州の販売もごく少数にとどまる(そもそもスバルの欧州販売比率は高くない)。
まず、スケジュールから。
2019年10月の東京モーターショーでプロトタイプ発表
2020年3月のジュネーブ・モーターショーで正式発表
その後、欧州、日本で発売(2020年中盤〜後半)となるはずだ。
今秋の東京モーターショーでプロトタイプを発表するということは生産型は3月のジュネーブ発表となるだろう。スバルのメイン市場は北米だが、レヴォーグは北米スバルのラインアップに含まれていない。スバルの北米販売を支えているワゴンはアウトバックである。アウトバックはSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)採用の新型が2020年モデルとしてデビューしたばかりだ。サイズ違い、しかも北米向けにはやや小さいレヴォーグを北米に投入する意味はないだろう。
一方の欧州は、スバルが販売を拡大したい市場だ。後述するが、パワートレーンが一新される新型レヴォーグは欧州でも一定層に受け入れられるモデルとなるはず。ジュネーブ・モーターショーでデビューを果たすというのは充分にありそうだ。
メイン市場の北米を軽視するわけにはいかないスバルとしては、2020年、北米で次期WRXをお披露目することになるだろう。現行WRXと現行レヴォーグは、同じプラットフォーム(従来のタイプにSGPの知見を先行して投入したもの)を使っている。次期WRXは、2020年4月開催のニューヨーク・モーターショー(New York INTERNATIONAL AUTO SHOW 2020)か、20年に1月から6月に開催時期を移すデトロイト・モーターショーでデビューすることになるだろう。
当然、新型レヴォーグも次期WRXもスバルの最新技術基盤であるSGPを使う。この2モデルのモデルチェンジを終えれば、スバルの全モデルがSGPベースになるわけだ。
パワートレーン予想 新開発1.8ℓダウンサイジングターボ搭載
まずはエンジンの話から。
現行レヴォーグのエンジンは、
1.6ℓ水平対向4気筒ターボ( FB16ターボ)
170ps(125kW)/4800-5600rpm
250Nm/1800-4800rpm
と2.0ℓ水平対向4気筒ターボ(FA20ターボ)
300ps( 221kW)/5600rpm
400Nm/2000-4800rpm
の2種類。組み合わすトランスミッションはリニアトロニックCVT(チェーン式CVT)だ。
では新型レヴォーグはどうなるか?
その前に、現行スバルのエンジン・ラインアップを整理してみよう。
すべて水平対向エンジンで
FB16:1.6ℓ自然吸気
FB20:2.0ℓ自然吸気
FB25:2.5ℓ自然吸気
FA20:2.0ℓ自然吸気
FB16ターボ:1.6ℓ直噴ターボ
EJ20ターボ:2.0ℓターボ(2019年度内での生産中止がアナウンスされた)
FA20ターボ:2.0ℓ直噴ターボ
FA24ターボ:2.4ℓ直噴ターボ
である。
スバルは、ひとつ前の中期経営ビジョン「際立とう2020」で2021年度までに世界生産の8割をダウンサイジングターボへ以降するとしていた。となると、近い将来のエンジンラインアップはこうなると予想できる。
◾️2020年時点
FB16:1.6ℓ自然吸気
FB20:2.0ℓ自然吸気
⭐︎1.5ℓ直噴ターボ←FB16:1.6ℓ直噴ターボ
⭐︎1.8ℓ直噴ターボ←FA20:2.0ℓ直噴ターボ
FA24ターボ:2.4ℓ直噴ターボ
FB25:2.5ℓ自然吸気
生産終了となるのが次のエンジンだと予想する。
FA20:2.0ℓ自然吸気→廃止
FB16ターボ:1.6ℓ直噴ターボ→廃止
EJ20ターボ:2.0ℓターボ(2019年度内での生産中止がアナウンスされた)→廃止
FA20ターボ:2.0ℓ直噴ターボ→廃止
となると、新型レヴォーグが搭載するのは、2020年に登場する1.8ℓ水平対向4気筒直噴ターボ、そしてその後に登場する1.5ℓ水平対向4気筒直噴ターボということになる。
トランスミッションは熟成を重ねたリニアトロニックCVTだろう。
欧州での販売を考えると、なんらかの電動化は必須だ。一気にPHEV版の登場も期待したいが、現実的にはe-BOXER(マイルドハイブリッド)の搭載になるだろう。ただし、欧州の主流は48Vマイルドハイブリッドだ。現行XVやフォレスターが採用する12V版e-BOXERは欧州では商品力が低いだろう。次期レヴォーグで新しい(48V版?)e-BOXERが搭載される、と希望的観測をしておく。
北米のクロスバック(XV)ですでに販売されているPHEV版は、トヨタのTHS2をスバルが水平対向用に載せたものだが、これはあくまでも暫定仕様と思ったほうがいい。スバル版のPHEVは、もう少しあとの登場になるのではないか。
次期レヴォーグのAWDシステムはどうなるか?
現行レヴォーグのAWDシステムは、1.6ℓターボと2.0ℓターボでは方式が違う。
1.6ℓは、「アクティブトルクスプリットAWD」2.0ℓは「VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD」を採用する。新型レヴォーグがどんなAWDシステムを使うかにも注目だ。現在のトレンドは、カップリングを使ったシンプルなオンデマンド型が主流だ。アウディもA4までカップリング式AWD(センターデフを使わない)になった。スバルがどうするか。これも楽しみなところだ。
生産終了となるエンジンの「次は?」
当サイトで予想する生産終了エンジンについても少し説明をしておこう。
EJ20については説明はいらないだろう。
FA20型自然吸気BOXERエンジンは、現在トヨタ86/スバルBRZが搭載しているのみ。これは次期型でFA24ターボへ切り替わる。
FA20型直噴ターボは、現行レヴォーグとWRX S4が搭載しているが、レヴォーグは前記のとおり、新開発1.8ℓBOXER直噴ターボと1.5ℓBOXER直噴ターボへ切り替わる。残るはWRX S4だが、WRX S4は、次期型でFA24型2.4ℓ直噴ターボの高出力版へ切り替わると予想する。FA24エンジンは、スバル技法にあるように、さまざまなモデルに載せられるように既存エンジンと体格を同じにしてある。FA20ターボからFA24ターボへの移行は比較的スムーズにできるのではないだろうか。