一般的にキャンバー角はタイヤを踏ん張らせるためのもの。
となると、リアキャンバーを増やすほどに、リアはどっしりとして曲がりにくくなるはず。
なのにクスコZC33Sはリアキャンバーが7°!!これじゃ曲がらないハズなのに、
筑波でトップタイムをマークしているのはなぜなのか
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10008473/big_1085494_201903051853040000001.jpg)
タイヤを『ハの字』に傾けるネガティブキャンバー角。
コーナリング時にクルマがロールすると、タイヤの外側ばかりに車重が掛かってしまい、タイヤの内側が浮き気味になってしまう。それによってコーナリング速度は落ちるし、タイヤも外側ばかりが減ってしまう。
それを防ぐためにレーシングカーやサーキット走行をメインとするクルマではタイヤを『ハの字』にして、あらかじめコーナリングに備えている。
と、ここまでで説明したように基本的にキャンバー角を付けるとコーナリングの限界はアップする方向にある。
しかし、必ずしもリアタイヤのグリップ限界を高めればいいとは限らないのがFF車だ。
フロントタイヤを駆動するFF車はアクセルONでドアンダーが基本。
アクセルを踏むと曲がりにくくなる。
対してFR車はリアタイヤを駆動するので、アクセルを大きく踏むとドリフトに近いような姿勢で、リアタイヤを意図的にスライドさせながら向きを変えることができる。そこまで大きくアクセルを踏まなくても、基本的に曲がりやすい。アクセルで姿勢をつくって向きを変えられる。
FF車はアクセルで姿勢をつくって向きを変えることができないのだ。
そこで生まれた考えが、FFのリアタイヤを滑らそうというもの。
意図的にリアタイヤを細くしたり、リアの車高を上げる、リアのみ空気圧を上げる、などの手によって、向きを変えやすくするセッティングが好まれるのだ。
となると、リアキャンバーを付けて限界を上げると、曲がりにくくなって遅くなってしまうのではないかという懸念だ。
ところが、クスコがセッティングに用いたこのリアキャンバー角は踏ん張るためのものではなく、その逆なのだという。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10008473/big_1085497_201903051854110000001.jpg)
そこでキーとなるのがトー角だ。これはタイヤを上から見たときの『ハの字』のこと。直進方向に向かってスキーのボーゲンのように『ハの字』になっているのはトーイン。その逆のガニ股状態をトーアウトという。
一般的にリアタイヤは、トーアウトにするほど向きが変わりやすいというか、不安定になる。
このリアキャンバー角多めなセッティングは、トーアウトにすることで成立するセットなのだ。
どういうことかというと、
通常コーナー進入でリアを早く外側に出し、回り込んでいくためには、トー角をアウト側にすればいい。しかし単純にそうすると、真っ直ぐ走ることさえ困難になって危険だ。そこで必要だったのが大きなキャンバー角。キャンバーを付けると直進状態ではタイヤの接地面積が小さくなり、そのぶん面圧が高くなる。その面圧の高さを直進状態の安定に使い、コーナー進入で片側に荷重が掛かると、すぐにリアタイヤが外に向かい、素早く向きが変わるようになる。ということなのだ。
クスコのリヤキャンバーアジャスターがあれば、リアタイヤのキャンバー角やトーを思い通りにコントロールすることができる。
ZC33S/GK5用 3万2400円