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雪も走れる夏タイヤとして登場したミシュラン・クロスクライメート。その性能を確かめに雪深い北海道試乗会で性能を試してきた。
近年オールシーズンタイヤに注目が集まっている。万が一の降雪時でも安心の雪道性能や、スタッドレスタイヤ購入時に発生する夏タイヤの保管場所問題の解決など、主に非降雪地域の都市圏の住む人にとっては魅力的な選択肢だろう。日本におけるオールシーズンタイヤに先鞭をつけたのは、グッドイヤーがラインナップするベクター4シーズンズであることに異論はないだろう。ドライからウエット、そして雪道を問題なく走行できるオールシーズンタイヤのカテゴリーをしっかりと日本人に認知させることに成功した。
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2月5日にミシュランが発売したクロスクライメートも雪道を走れることを訴求したタイヤだ。だが、ベクター4シーズンズと決定的に異なるのは、クロスクライメートはあくまでも「夏タイヤ」であることだ。ミシュラン自身も"雪も走れる夏タイヤ”とプレスリリースで謳っている。
それもそのはずで、ミシュランのスタンダードサマータイヤであるエナジーセイバー+との比較では、ドライ路面での静粛性やロングライフ性能ともにクロスクライメートが上回っているという。サマータイヤとしてのドライ&ウエット性能を高い水準で達成しつつ、雪道を安心して走行できる性能を担保したというのが本タイヤのコンセプトだ。そこがベクター4シーズンズとは異なる。
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そんな「雪も走れる夏タイヤ」を厳寒期の北海道・士別にあるテストコースで試乗してきた。
まずはクロスクライメートを装着したメルセデス・ベンツGLA(4WD)での雪上パイロンスラロームだ。40〜50km/hでの圧雪路スラロームにトライしたが、しっかりと雪を掴み、排雪するのでトラクションが一切失われることはない。路面からのインフメーションも掌にしっかりと伝わってくるので、安心感が高い。スピードを出しすぎても、アンダーステアに終始するのでアクセルを緩めれば何事もなかったかのようにGLAはパイロンの間を華麗に曲がっていく。雪踏み性能を引き出すVシェイプのトレッドパターンや幅広い温度域に対応する独自のコンパウンドが効いているのだろう。
ただ、注意したいのはブレーキングだ。圧雪路で40km/hからのフルブレーキングを試みたが、がっつりとABSが作動し、自分の意図した停止位置よりも1.5倍ほど制動距離が伸びた地点で停止した。あくまでも冬専用タイヤのスタッドレスタイヤとは異なることを念頭にいれて運転したほうがいいだろう。
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一方、アイス路面での性能はサマータイヤより多少グリップする程度。サマータイヤとクロスクライメートを履いた日産リーフで氷上ブレーキを試したが、どちらも基本的にはアイス路面はNGだ。
ドライやウエットでの快適な走りを満喫しつつ、いざというときに雪道も問題なく走行できる新感覚の夏タイヤ。非常に魅力的なタイヤの登場だ。ちなみにサイズは165/70R14〜275/45R20の全78サイズ(オープン価格)となる。