アドレスV125/Sの後継モデルとして、2018年6月26日から295,000円で販売されているスズキ・スウィッシュ。モトチャンプ誌による分解比較では、前後10インチタイヤという共通項はあるものの、加速特性といった走行性能面ではキャラクターに明らかな違いが現れた。
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kosaku)
REPORT●宮崎正行(MIYAZAKI Masayuki)
取材協力●モトメディコ
当企画のナビゲーター
モトメディコ代表・メンボー山根
国内外車、排気量を問わず、スクーターのカスタム&チューニングを得意とするバイクショップ「モトメディコ」。その代表である山根氏は、メンテナンス時に数種類の綿棒を駆使したていねいな作業(すぎる)に定評があり、モトチャンプ誌面では「メンボーさん」の愛称でお馴染み。なお、アドレスV125Sに関する知識も豊富。
アドつ~さん
ブログ「アドレス通勤快速プロジェクト」でおなじみのスーパー読者。モトチャンプ誌の0→50.29mミニバイクドラッグレース「SS1/32mile」では、アドレス110のクランクケースにRS125Rシリンダーを組み合わせたエンジンを用いて、ワールドレコードを記録したこともある。
アクセルシャフト
スウィッシュ用を見てしまうとアドレス用が貧弱に見えてしまう。同じ10インチ、同じ扁平率とはいえ、100mmと90mmのトレッド差は大きく、支えるタイヤも俄然ファット(重く)になるゆえの大径化だ。
フロントウォーク
フロントフォークはスウィッシュがシルバーで、インナーチューブの太さはφ33。加えてゴム製のフォークブーツも装着されるなど抜かりがない。対してアドレスは、φ30。重量はスウィッシュ用1.73kg、アドレス用1.52kg。
フロントホイール
車体デザインの高級化とともに、タイヤそのものの絶対的なボリューム増に合わせて、フロントホイールはアルミ製にグレードアップされた。重量は実測でスウィッシュ用5.27kg、アドレス用4.76kg。
ブレーキパッド
ブレーキは、スウィッシュが2ポット、アドレスがシングルポットと大きな差がある。結果的に13kgほどヘビーなスウィッシュだが、ブレーキ性能はむしろ優れている。
リヤショック
スウィッシュの大きなアドバンテージポイントがここ、2本のリヤショック。車体の剛性アップによる走りへの好影響は計り知れない。しかもタンデムや積載状況に合わせて3段階でアジャストが可能。
ECU
おおぶりな筐体をフロントカウル内に収めるスウィッシュのECU。アドレスの24ピンよりもさらに大きい36ピンを採用しているので、将来的な発展性の高さが織り込まれているのもうれしい。
O2センサー
コネクターの形状よりもむしろ装着位置が大事。社外マフラーを装着する場合などにアドレスはシート下のボックスをはずす必要があるが、スウィッシュは車体下に手を伸ばせば簡単に抜き差しできる。
マフラー
ますます厳しくなる騒音規制をパスしたスウィッシュ用マフラーの重量は4.7kgで、エキパイの内径は18.8mm、外径は22.8mm。アドレス用は4.5kgで、エキパイの内径は19.4mm、外径は22.0mm。
エアエレメント
エアクリーナーのエレメントはアドレス用が「湿式」なのに対して、スウィッシュ用は使用環境を選ばない「乾式・湿式併用タイプ」で、それぞれのメリットを享受できるのがうれしい。アジアのダスティな悪路にも負けないぞ!
駆動系カバー
駆動系のメカニズムを保護する金属製カバーの実測重量は、スウィッシュ用が1.33kgで、アドレス用が2.60kgと倍近く重い。スウィッシュにはキック始動のための機構が備わっていないゆえの、当然の重量差と言えるだろう。
キック始動機構の有無によるレイアウト差もさることながら、熱を帯びる駆動系冷却のための通風孔の取り回しにもかなりの違いが認められた。シンプルなのはスウィッシュだ。
駆動系周り
エアクリーナーBOXの位置など、マスの集中化が図られているスウィッシュの駆動系。プーリーとクラッチの軸間距離はスウィッシュ/234mm、アドレス/222mmと、スウィッシュのほうがロングだ。
Vベルト
駆動を司るVベルト。その山が多くて細かいのがスウィッシュ用で、長さ760mm・幅19.24mmのMITSUBOSHI製。一方、アドレス用は長さ729mm・幅18.81mmでゲイツ社製。
センター スプリング
スウィッシュ用は巻きが細かくヒゲ無し、左巻き。高さ106.35mm、3.94mm径。アドレス用は巻きが荒くヒゲあり、右巻き。高さ102.45mm、4.04mm径。
トルクカム
約50度のスウィッシュ用トルクカムと、約45度のアドレス用。それぞれ直溝タイプ。なおスウィッシュはピンが固定(圧入)されているため、パーツ取り寄せの際はアッセンブリー注文となる。
プーリー
プーリーそのものはスウィッシュ用もアドレス用もほぼ同一規格、同一サイズ(メーカーは違う)。重さはアドレス用がわずかばかり軽く234g、スウィッシュ用は249gとなる。
クラッチ
本体の金属部分が肉抜きされていて軽量なのはスウィッシュ用のクラッチで、実測重量970g。一方、アドレス用は1044gとなる。接触面の形状にもしっかりと違いがある。
ランププレート
写真では少々分かりにくいが、ランププレート自体のハイトはスウィッシュ用のほうが高く、また径も大きい。“坂”もなだらかにセッティングされている。
スウィッシュにアドレスV125S用パーツを付けてみた
満足な走行性能が得られるかはさておき、まずはアドレス用パーツがそのままスウィッシュの駆動系に付くかどうかを検証!
ドリブン周り:
スウィッシュに、アドレスV 125Sの純正クラッチキットを装着。付くには付いたがシャフトの飛び出しが長く、カラーを入れないと使えない。
ドライブ周り:
スウィッシュのドライブ側にキタコ製プーリーは外径が大きく干渉があって装着不可、デイトナ製V 125G用はぎりぎりOKだった。メーカーによってはポン付けOK。あとはセッティング次第!?
ノーマル同士で対決!
0-50m加速 ストップ&ゴーで差が付く加速バトル!
スウィッシュ:5.56秒
アドレス V125S:5.62秒
最高速 エンジンの潜在パワーを感じろ!
スウィッシュ:105km/h
アドレス V125S:105km/h
柔らかいセンタースプリングで最高速がアップ
アドレスに愛を注いだアドつ~氏の新スウィッシュ・プロジェクト「S.S.A.(スウィッシュ・ストリート・アタック)」
購入してから早2か月が経過したアドつ〜氏が、あらゆるパーツを引っ張り出し通勤のたびにセッティングを繰り返したのが上の表です。結論から言うとノーマル状態で素晴らしく高度にチューニングされているため、速くするのは至難の業でした。今後はボスを長くし、Vベルトをもっと落とし込んでスタート時のタイムラグを減らしつつ、変速域を広げてやることで上も下も良くなるのではと画策しております。
SPECIFICATIONS(スウィッシュ&アドレス V125S)
スウィッシュ/アドレス V125S
全長×全福×全高(㎜):1830×690×1095mm/1780×635×1035mm
軸間距離:1250mm/1235mm
シート高:760mm/745mm
車両重量:114kg/101kg
エンジン種類:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒/空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
総排気量:124cc/124cc
最高出力:9.4ps/7000rpm/9.9ps/7500rpm
最大トルク:1.0kgm/6000rpm/1.0kgm/6000rpm
燃料タンク容量:5.5ℓ/6.3ℓ
燃費(WMTCモード値):50.1km/ℓ/42.6km/ℓ
ブレーキ(前・後):ディスク・ドラム/ディスク・ドラム
タイヤ(前・後):100/90-10/90/90-10・100/90-10
価格:31万8600円/26万8920円
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