【新春特別企画】レーシング ポルシェの世界 ③「911 GT3 R」初試乗！《動画あり》

911RSRと911GT3カップカーに続き、最終回となる今回はニュル24時間レースでマンタイ・レーシングを使用した「911GT3 R」をレポートする。




REPORT◎田中哲也（Tetsuya Tanaka）　PHOTO◎PORSCHE AG

【オンボード映像】911 GT3 R ☓ 田中哲也

911RSRからGT3カップと乗り継ぎ、最後に「911GT3R」に試乗した。その方が違いが分かりやすいというポルシェサイドの配慮だ。おかげでそれぞれの差を鮮明に理解できた。GT3Rは非常に興味深いマシンだ。いわゆるスーパーGTのGT300クラスにエントリーしているGT3マシンである。僕自身、スーパーGTでは、アウディR8やメルセデス・ベンツSLS-AMGに乗り、ニュルブルクリンクでもニッサンGT-Rでレースした経験がある。それゆえにGT3Rはどれほどの性能を秘めているのか興味深かった。




コクピットに座った印象はカップカーとそれほど変わらず、ドライビングポジションも似ている。エンジンスタートもシフトも同じで、操作に関してはカップカーから乗り換えても何の違和感もない。しかし、実際走り出すとカップカーとの差は歴然で、明らかに速い！　エンジン自体は正直それほどの違いは感じないが、むしろマシンのグリップレベルが高く、カップカーより思い切ってスロットルワークを行えるほどだ。さらにGT3Rにはトラクションコントロールが装備され、コーナー出口で微妙にスライドを制御してくれた。

コーナリングに関してはマシンの剛性が高く、グリップレベルもすべてのコーナーでカップカーより速い。特にフロントグリップが高いのでアンダーステアが少なく、コーナリング速度を高く保てる。カップカーとの最大の違いはABSで、ブレーキングの安定感やストッピングパワーが格段に強い。“思い切り踏めば止まる！”というか、思い切り踏まないと止まらない。カップカーの倍くらいの踏力で、ABSをフル作動させるイメージのブレーキングを行うと驚くほど制動距離を短くできる。ある意味GT3R最大の特徴は、このABSだといっても過言ではないだろう。




しかし、不思議とカップカー、GT3Rと連続で試乗しても、その根本的なイメージは市販車のGT3RSにそっくりだ。特にエンジンはそのままだと感じるほどである。それは、いかにGT3RSが元々レーシーなマシンであるかということの表れでもある。3台のレーシングカーで１日中走ってみて、ポルシェのレーシングカーと市販車が非常に近い位置にありながら、カップカー、GT3Rと進化させていることを実感できた。同時にカップカーを速く走らせることができるドライバーなら、このGT3Rも絶対に乗りこなせるだろう。

ニュルブルクリンク24時間レースを戦うマシンらしくコース図がステアリングに貼られている。カップカート較べて圧倒的にスイッチの数が多い。

至る所に軽量化と空力に腐心した様が見て取れるのもGT3Rの特徴だ。

【SPECIFICATIONS】


ポルシェ911GT3R


■ボディサイズ：全長4604×全幅2002×全高1232mm　ホイールベース：2463mm　■乾燥重量：1220kg　■エンジン：水平対向6気筒DOHC　総排気量：4000cc　最高出力： 368kW（500ps）　最大トルク：480Nm（48.9kgm）／6250rpm　■トランスミッション：6速シーケンシャルMT　■駆動方式：RWD　■サスペンション形式：前マクファーソンストラット 後マルチリンク　■ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク　■タイヤサイズ（リム幅）：前300/65-18（12J） 後310/71-18（13J）

PORSCHE 911 GT3 R

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