10月号の富士スピードウェイアタックでは雨のため、本来の性能を発揮できなかったメルセデスAMG GT R。リベンジを果たすため晴天の日を狙い、再度FSW本コースでレーシングドライバー田中哲也選手による全開試乗が実現した。ライバル車として用意したのはポルシェ911ターボSとコルベットZ06。果たして3台はどのようななポテンシャルを披露したのか?
PHOTO◎森山俊一
ノルトシュライフェ7分10秒9というFR市販車最速記録を叩き出したスーパースポーツ、メルセデスAMG GT R。GENROQ10月号ではライバルにポルシェ911ターボSを迎え、レーシングドライバーの田中哲也選手に富士スピードウェイで両車の試乗記をお届けした。だが、取材当日は生憎の雨。AWDのポルシェ911ターボSは雨中のFSW本コースを卓越した安定感で走り抜けたが、AMG GT Rはそうはいかなかった。
なぜならAMG GT Rはドライ路面でこそ本領を発揮するミシュラン・パイロットスポーツカップ2を履いており、ウェット路面ではタイヤが温まるまでグリップレベルが上がらないからだ。9段階調整可能なAMGトラクションコントロールの効きは確かめられたものの、オフにするとトラクションがほとんど掛からない。AMG GT Rにとっては不本意なテストとなってしまったのだ。
と、前置きが長くなってしまったが、AMG GT Rの本来のポテンシャルを確かめるため再度FSWでテストすることになった。もちろんテスターは田中哲也選手だ。今回はポルシェ911ターボSの他に、アメリカ代表としてコルベットZ06を迎え3台のスーパースポーツの比較試乗だ。9月にしては気温が低い中、完璧なドライ路面でのテストとなった。585ps/700Nmを発生する4L V8ツインターボを搭載するAMG GT Rは、タイヤが温まるまではフルパワー時に派手なテールスライドを発生させたが、熱が入ると性格は一変した。パイロットスポーツカップ2の本籍はやはりドライである。
タイヤのグリップレベルが非常に高いこともあり、低速コーナーから高速コーナーまで兎に角よく曲がる。「旋回する行為がこれほどまでに楽しいクルマは稀」と田中選手が評するほどだ。また高速コーナーになればなるほどに安定性を増すエアロダイナミクスシステムの性能にも好感触を得たようだ。
同じくFRスーパースポーツのコルベットZ06は“アメリカンマッスルは直線番長”というイメージを覆すマシンだった。コーナーの旋回する速さには目を見張るものがあり、659ps/881Nmの6.2L V8スーパーチャージャーが発生するハイパワーもうまくしつけられていてドライバビリティが高い1台だと田中選手は語る。
一方、3台の中で唯一の4WDにして、前号のウェット路面でも圧倒的な安定感を見せつけたポルシェ911ターボS。このクラスのベンチマークである911ターボSは、ドライ路面でもフラッグシップに相応しいパフォーマンスを見せつけた。ストレートスピードは280km/hオーバーと他の追随を許さない。特筆すべきはコーナー出口の振る舞いだと田中選手は褒める。トラクションレベルが非常に高いので、早めにアクセルを開けることができるのだ。580ps/750Nmの3.8L水平対向6気筒ツインターボも能力を使い切ることができるのもターボSの美点だ。
3車3様、それぞれに異なる思想とアプローチで速さを追求した3台のリアルスーパースポーツ。詳しいインプレッション記事はGENROQ11月号(9月26日発売)をご覧下さい。田中選手のFSWインプレッションのほか、モータージャーナリスト高平高輝氏によるワインディング試乗記も掲載しています。

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