【新型車インプレッション】
オンでも、オフでも本領発揮
走りの違いを実走査定!
TOYOTA/RAV4
トヨタ/ラブフォー
50系
ついに発売された新型RAV4。見たまま感じるタフさだけでなく、肝心要の走りにも違いありと前評判は上々だが、現実は果たしてどうなのか。百聞は一見にしかず。数々のクルマを乗り比べているプロが、ジャーナリスト目線でリポート!
RAV4が帰ってきた! 日本では約3年間にわたり販売を休止していたが、販売が再開されることになったのだ。
新型が登場した背景には、日本でのSUVブームの高まりがある。日本のSUVの市場規模は、ここ5年で2倍に拡大。かつては「あまり多くの販売台数を見込めない」という判断で、日本販売を終了したのだが、市場が盛り上がってきたことで販売再開となったわけだ。
実はここ数年で、世界的なRAV4人気は爆発的に拡大。たとえば北米では、2017年に「乗用車の年間販売ランキング」のトップに躍り出たうえに、もちろん2018年もその座をキープ。さらに、2018年には「世界最多販売SUV」という称号も得ている。つまりRAV4の国内販売再開は、SUVの聖地である北米、そして世界の頂点に上り詰めたRAV4が凱旋帰国したということなのだ。
そんな新型RAV4の見どころはたくさんある。まずはデザインだ。かつてのRAV4は、力強さよりもスマートさを重視していた。ところが新型は、タフギヤ的な力強さを感じさせる無骨さ。押し出しの強さで、個性が重視されているのがよくわかる。
しかも、「Adventure(アドベンチャー)」というグレードはさらに見た目がワイルド。よりアグレッシブなデザインのフロントバンパーが装着されるほか、オーバーフェンダーもひときわ張り出しの大きな専用形状で力強いから要チェックだ。
乗用車のメカニズムを使ったSUVというコンセプトは新型も不変。プラットフームはカムリと共用し、車体は全長4610㎜×全幅1865㎜(アドベンチャー)まで成長していて、SUBARUフォレスターやマツダCX‐5など国内のミドルクラスSUVと競合するサイズ。パワートレーンは、2・5Lエンジンを組み合わせたハイブリッドと、日本向けのトヨタブランド車では初となる新型の2・0Lガソリンエンジンだ。
いずれも次世代を担って新開発されたユニットだけに、実力は高い。動力性能的に勝るのはハイブリッドで、プリウスに比べると燃費は劣るものの、アクセル操作に対する加速のダイレクト感が高いのが魅力だ。ガソリン車はトランスミッションも特徴的で、CVTながら発進用に1速ギヤを組み合わせ、走り出しのキビキビ感が印象的だ。
また、ガソリン車の一部仕様には新開発の「ダイナミックトルクベクタリング4WD」を搭載している。これはリア左右輪に伝わる駆動力を電子制御により左右0対100~100対0まで自由自在に配分できる機構が特徴。
極悪路走行時には路面に設置しているタイヤのトラクションを高めるほか、滑りやすい路面や舗装路ではクルマの向きを変える働きを作り出してハンドリングの向上にも一役買う。走りを気にするなら、ぜひともこの4WDを試してほしい。
Adventure
HYBRID G
デザイン
ゴツいボディは「クロスオクタゴン」と呼ぶ、8角形を前後に重ね合わせたような造型。アドベンチャーと他グレードでは顔の仕様(グリル、フォグ周辺、バンパー裾など)が違う。ルーフホワイトの2トーンはアドベンチャーだけ。エクストレイル比較で、全長は短く幅はややワイド、全高は低い。それなりの大きさがある。
コックピット
ドライビングを重視した広々とした解放的な前方視界を確保。オフロード系SUVに見られる圧迫感がなく、見晴らし良好。Aピラー根元のアウターミラーや三角窓、リアクォーターガラスの拡大など、視界確保も重視した設計となっており運転しやすい。グレードによりメーター意匠も異なり、上位は7インチ液晶付きの3眼だ。
エンジン
エンジンはダイレクト感のある力強い走りを追究した2.0Lガソリンと、省燃費性にも特化した2.5Lハイブリッドの2系統をラインアップ。オフロード感の強いグレード、アドベンチャーはガソリンしか設定がない。ガソリンエンジンは国内トヨタ車では初搭載となる新型機。CVTは10速シーケンシャルシフトを組み合わせる。
ハンドリング
ハンドリングの正確さや乗り心地の良さもこだわったポイント。衝撃吸収性、振動遮断性の高い、前足ストラット+後足Wウィッシュボーンを組み合わせ、路面状況に影響されすぎることのない、安定したドライビングを楽しめる。
ボディ剛性
オフロード性を高める見過ごせない要素が、軽量&高剛性ボディ。ねじれを抑制させる左右フレームを連結させる環状骨格を採用したほか、面で溶接することで単純剛性をアップ。ボンネットやフェンダー等は軽量のアルミ製だ。
荷室
荷室ストレージはクラストップレベル。後席は4対6可倒式で、フル乗車でもゴルフバック4個を楽々収納できる。荷室床のデッキボードは裏面が樹脂製となっており、水や泥汚れが気になる荷物を載せる場合はひっくり返せばOK。
バックドア
リアバンパー底に足を近づけるだけで、バックドアを自動で開閉できる便利なハンズフリー機能が最上級車に標準装備(ほか一部グレードでオプションで追加可能)。スマートキーを持っていれば、子供でも作動する便利機能だ。
高い走破性を実現する世界初の4WD機構搭載!
シチュエーションにあわせて、前後のトルク配分だけでなく後輪トルクを左右独立で制御して、コーナリング時のスタビリティをアゲる「トルクベクタリング機構」に、4駆走行が不要と判断された場合に、動力の伝達を前後でシャットアウトする「ディスコネクト機構」を備えた、世界初となる「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載。無駄な駆動の伝達を省き、意図したままの走りを生み、結果として燃費性も上げる、新型RAV4の核といえる機能だ(ガソリン車の上位機のみ搭載)。4WDモードを自由に調整できるスイッチも付く。
問:トヨタ自動車お客様相談センター 0800-700-7700
https://toyota.jp
Photos by 木村博道(イーグル)/TOYOTA、Text by 工藤貴宏(本文)
スタイルワゴン2019年6月号より
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