高速走行の乗り味も快適に!!
TEIN EDFC ACTIVE PRO(テイン イーディーエフシー アクティブ プロ)
車内からダンパーの減衰力をコントロールできるテインの「EDFC」シリーズ。気軽に走りや乗り心地を変更できるこの画期的な電脳系アイテムは、登場以来10万台以上を出荷するほどの人気を誇る。今回はその最高峰モデルであるEDFCアクティブプロを徹底研究。その魅力に迫る!
車内から減衰力を調整できる「EDFC」
その人気の秘密を探るべくテインにお邪魔しました。
編集部(以下=編):まずEDFCシリーズとしては、どんなラインアップを展開中なの?
ダンパッチ(以下=ダ):手軽でシンプルな「EDFCⅡ」と、車速や加減速Gに応じて減衰力を自動調整する「EDFCアクティブ」、そして今回取り上げる「EDFCアクティブプロ」を用意しているよ。アクティブプロは横Gに対しての減衰力制御もしていて、よりきめ細やかに走りの乗り味をコントロールできるのが特徴といえるね。
編:つまり、コーナリング中は踏ん張るようにダンパーの減衰力を調整してくれるってこと?
ダ:その通り。簡単にいうと右に曲るときは左側、左に曲るときは右側の減衰力が硬くなる方向で自動調整するのでスムーズに曲れるんだ。
編:ミニバンでそこまでの走りは求めていないって人が多い気もするけど。減衰力をイジらないひとも意外に少なくないみたいだし……。
ダ:それはもったいない話。じつは家族で乗ることが多いミニバンだからこそ、EDFCで減衰力を色々と変えてもらいたいし、その効果を発揮する場面も多いんだよ。
編:へぇ〜、それはどんな状況?
ダ:例えば峠道。背が高いミニバンは、どうしてもロールが大きくなりがち。でも、EDFCアクティブプロならカーブでの横Gを感知して、ダンパーの減衰力を自動的に硬くしてくれるんだ。ロールスピードが抑えられるので横揺れが収まることでお子さんが酔いにくくなったという声も多いよ。
編:ホント? それはミニバン乗りにとって見逃せないね。それでは早速、試乗させてもらいましょうか。
ダ:まずはマニュアルモードで減衰力の最弱と最強を比べてみよう。
編:へ〜、けっこう変わるもんだね。減衰力を緩めると乗り心地はソフトだけど、そのぶんロールの揺り返しが多いかな。対して、減衰力を強くするとクイックなハンドリングになるけど、段差などでは多少突き上げ感がある気がする。
ダ:EDFCが付いていれば、車内からスイッチ操作で減衰力を簡単に変えられるから、いろいろ試せて便利だよ。次は減衰力を真ん中にしてみよう。これはテインの推奨値だ。
編:凄くいいね〜。路面の継ぎ目を乗り超えた後の収まりがよくなったし、走りも安定している。ハンドル操作に対してリニアに反応してくれるので運転もしやすいよ。
ダ:3列目に座っていても不快に感じない硬さだと思うよ。横揺れも少ないので、むしろ快適なほど。お次はオートモードを試してみよう!
編:へ〜、このモードでは減衰力がリアルタイムで変わるんだ。なんの違和感もなく走れるんだけど、モニターで見ると減衰力が頻繁に調整されているのがよく分かるね。
ダ:ブレーキを踏んだり、カーブを曲る時など、必要な分だけ減衰力が硬く&柔らかくしているんだよ。
編:ロールやピッチングが抑えられるので、ぎくしゃくしない。なんか運転がうまくなった気分!
ダ:そうでしょ〜。段差やうねりに応じて減衰力を自動的に調整するのでフラットな乗り心地なんだ。
編:20インチにインチアップ&ローダウンしているのに、とてもそうは思えないほど快適だよね。しかもキビキビ走るんだから、いい所取りって感じ。ところで最近のミニバンは、ますますEDFCのメリットが高まっているって聞いたけど?
ダ:じつは近頃のミニバンは、その構造上、減衰力調整ダイヤルにアプローチしにくい車種が増えているんだよ。プリウスやヴェル&アルなんかもいい例で、カバーが付いていたり奥まった場所にあって気軽には調整できなかったりするよね。
編:それじゃ、せっかくの減衰力調整機能も宝の持ち腐れだよね。そこでEDFCの出番というわけか!
ダ:そう、EDFCを付けておけば室内から気軽に硬さを変えられるし、最適な減衰力になるよう自動調整してくれるのでセッティングの煩わしさもないんだ。
編:しかも、その日の気分でマニュアル調整もできる。これならサスチューンの楽しみも広がるよね。
ダ:乗り心地もよくなる方向なので、奥さんやお子さんにもきっと満足してもらえると思うよ!
Specifications
EDFC ACTIVE PRO
■価格:コントローラーキット 5万2000円
モーターキット 1万5500円
■対応車種数:386車種
※減衰力調整機能搭載のテイン車高調キットに装着可。
小型の高精度ステッピングモーターを採用。ワイヤレス式とするなど進化を遂げたEDFCの最上級モデル。車速や前後左右Gに応じ、4輪独立で減衰力を自動調整することが可能だ。
Democar
30ヴェルファイア(前期/2.5L)
試乗車が装着していたのはフレックスA。フル乗車時の突き上げ感を抑えるハイドロバンプストッパーを採用したストリート向けの全長式車高調だ。複筒式で減衰力調整は16段式。
街乗り〜ワインディングまで楽しめるオールラウンドモデルとなるフレックスA。スプリングレートはフロント=5kg/mm、リア=9kg/mmを採用する。
シチュエーションに合わせてモードを選択
G感応自動調整モード(旋回G+加減速G)
直進中は減衰力をソフトにして乗り心地を確保しつつ、カーブでは減衰力を高めることでロールスピードを抑えるのがこのモード。快適な乗り心地とスムーズなコーナリングを両立できる。
加減速Gに応じて減衰力が最適になるよう制御することで、クルマの姿勢を安定させる。アクセルを踏み込んだ時はリア、ブレーキを踏んだ際はフロントの減衰力を高める方向だ。前後方向の揺れが抑えられ同乗者も快適。
その他3モードを用意
低速時は減衰力を低めにして快適性を確保しつつ、高速走行中は減衰力を高めることで安定性を向上させる…といった使い方ができる車速感応モードも用意。また、Gと車速を統合制御するモードや、マニュアルモードも用意。走りに合った特性にコントロールできる。
状況がひと目でわかる大型ディスプレイ
ワイヤレスタイプのEDFCアクティブプロは、エンジンルームと室内を通す配線の手間が省けるため工賃も節約できる。直感で操作できるのもうれしい。
そもそも減衰力っていったいなに?
ダンパーの動きを制御する抵抗
スプリングが伸びたり縮んだりするのを抑える役割をしているのがダンパー。オイルが入ったシリンダー内をバルブが上下することで、そのための抵抗=減衰力を発生させる。要するに水鉄砲と同じような原理だ。減衰力調整式の車高調では、ダイヤルを締め込むとオイルの通り道(バイパス経路)が狭く、緩めると広くなり、ダンパーの動きがハード/ソフトになるようにコントロールできる。
近頃は構造上、減衰力ダイヤルに手が届きにくい車種が増えている。そこで便利なのが室内から減衰力を調整できるEDFCなのだ。また減衰力調整は64段階から選択可能で、数値が高いほど乗り味はソフトになり、数値が低いほどハードになる。